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第三章 セイクリア教国の歪み
第百八十五話 これから
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ブチと別れて宿屋で待機していると、ディアムが戻ってきたため、我輩達はそれぞれの情報整理を行った。と、いっても、我輩達の方は何も収穫はなかったのだが……。
「俺、酒場で情報収集、セイクリアの情勢と、教皇庁で目撃される魔族の影、情報得た」
詳しく聞けば、セイクリア教国の情勢に関しては教皇が倒れ、教皇の息子二人が争っているらしいという情報と、『宵闇の一日』に教皇が魔族に毒を盛られたのではないかという噂と、最近、教皇庁に女の魔族が出入りしているらしいという情報だった。ここで重要なのは、明らかに『教皇庁に女の魔族が出入りしている』というものだ。
「裏付け、取りたい。調査、許可を」
「分かった。気を付けろよ」
「御意」
そう言うと、ディアムはそのまま影に潜って姿を消す。そうなると、室内には我輩とバルディスだけが残される。
「……」
「にゃー? (バルディス?)」
ディアムに命じたままの体勢で何か考えごとをするバルディスに、我輩、ひとまず声をかける。
「あぁ、なんだ? タロ?」
あまり深く考え込んでいなかったのか、返事はすぐに来た。
「にゃあ。にゃ? (これからのことを、教えてほしいのだ。我輩、何をすれば良いのだ?)」
今日のところはもちろん、休むつもりではあるものの、これからのことは知りたい。ラーミアのために、我輩に何ができるか、知っておきたい。
「今はとにかく、ディアムの情報次第ってところもあるが……タロには、また猫達から情報をもらってきてほしい。主に、噂されている魔族についての情報を」
「にゃ(分かったのだ)」
人間と同じように噂されているとは限らないものの、確かに噂になるくらいだから同胞達も何か知っているかもしれない。それに、我輩達のところには、ラーミアの匂いがついた布がある。どうにもそれは、ラーミアが頭に巻いていたターバンらしいとのことだったが、あれを持って行けば、もしかしたら匂いを知っている者が居るかもしれなかった。
「にゃあにゃ? (それと、今さっき、何を考えていたのだ?)」
「あぁ、いや……何で、ラーミアが教皇庁なんかにって思ってな。この国は、亜人の差別が強いことで有名だ。……そうだな、亜人というのは、魔族を含め、獣人や竜人、エルフにドワーフといった種族のことを言うんだが、とにかくそういった種族に対する差別が強い国なんだ」
バルディスの言葉に、我輩、『りゅうじん』だとか『えるふ』、『どわーふ』は分からないものの……いや、『えるふ』だけは何となく聞いたことはあったような気がするが、とにかく大人しく話を聞く。
「そんな差別の大元ってのが教皇庁みたいなものだからな。そんなところに魔族が出入りしてるってこと自体が異常なんだよ」
ふむふむ、なるほど、魔族を嫌っている者のリーダーのところに、魔族が行くわけがないという話のようだな。……うむ、我輩にも原因が分からないのだ。
「にゃ? (もう差別がなくなったとか?)」
「それはさすがにない。この国の亜人差別は根強いからな」
「にゃあ? (例の息子とやらは反対意見とか?)」
「……教皇の息子のことか? それもあり得ないと思うが……なきにしもあらず、か?」
何やら考え込むバルディスに、我輩、もしかしたらそれはあり得るのだろうかと考える。だから……。
「にゃにゃ(我輩、教皇の息子のことも調べてみるのだ)」
「あぁ、頼む」
今後の方針が決まったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
書き始める時間がいつもより遅かったので、いつもの更新時間に間に合わないかとちょっとヒヤヒヤしました。
なんとか更新できて良かったです。
次回は……猫の集会の話になるか、ディアムの調査の話になるかのどちらかになりそうです。
それでは、また!
「俺、酒場で情報収集、セイクリアの情勢と、教皇庁で目撃される魔族の影、情報得た」
詳しく聞けば、セイクリア教国の情勢に関しては教皇が倒れ、教皇の息子二人が争っているらしいという情報と、『宵闇の一日』に教皇が魔族に毒を盛られたのではないかという噂と、最近、教皇庁に女の魔族が出入りしているらしいという情報だった。ここで重要なのは、明らかに『教皇庁に女の魔族が出入りしている』というものだ。
「裏付け、取りたい。調査、許可を」
「分かった。気を付けろよ」
「御意」
そう言うと、ディアムはそのまま影に潜って姿を消す。そうなると、室内には我輩とバルディスだけが残される。
「……」
「にゃー? (バルディス?)」
ディアムに命じたままの体勢で何か考えごとをするバルディスに、我輩、ひとまず声をかける。
「あぁ、なんだ? タロ?」
あまり深く考え込んでいなかったのか、返事はすぐに来た。
「にゃあ。にゃ? (これからのことを、教えてほしいのだ。我輩、何をすれば良いのだ?)」
今日のところはもちろん、休むつもりではあるものの、これからのことは知りたい。ラーミアのために、我輩に何ができるか、知っておきたい。
「今はとにかく、ディアムの情報次第ってところもあるが……タロには、また猫達から情報をもらってきてほしい。主に、噂されている魔族についての情報を」
「にゃ(分かったのだ)」
人間と同じように噂されているとは限らないものの、確かに噂になるくらいだから同胞達も何か知っているかもしれない。それに、我輩達のところには、ラーミアの匂いがついた布がある。どうにもそれは、ラーミアが頭に巻いていたターバンらしいとのことだったが、あれを持って行けば、もしかしたら匂いを知っている者が居るかもしれなかった。
「にゃあにゃ? (それと、今さっき、何を考えていたのだ?)」
「あぁ、いや……何で、ラーミアが教皇庁なんかにって思ってな。この国は、亜人の差別が強いことで有名だ。……そうだな、亜人というのは、魔族を含め、獣人や竜人、エルフにドワーフといった種族のことを言うんだが、とにかくそういった種族に対する差別が強い国なんだ」
バルディスの言葉に、我輩、『りゅうじん』だとか『えるふ』、『どわーふ』は分からないものの……いや、『えるふ』だけは何となく聞いたことはあったような気がするが、とにかく大人しく話を聞く。
「そんな差別の大元ってのが教皇庁みたいなものだからな。そんなところに魔族が出入りしてるってこと自体が異常なんだよ」
ふむふむ、なるほど、魔族を嫌っている者のリーダーのところに、魔族が行くわけがないという話のようだな。……うむ、我輩にも原因が分からないのだ。
「にゃ? (もう差別がなくなったとか?)」
「それはさすがにない。この国の亜人差別は根強いからな」
「にゃあ? (例の息子とやらは反対意見とか?)」
「……教皇の息子のことか? それもあり得ないと思うが……なきにしもあらず、か?」
何やら考え込むバルディスに、我輩、もしかしたらそれはあり得るのだろうかと考える。だから……。
「にゃにゃ(我輩、教皇の息子のことも調べてみるのだ)」
「あぁ、頼む」
今後の方針が決まったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
書き始める時間がいつもより遅かったので、いつもの更新時間に間に合わないかとちょっとヒヤヒヤしました。
なんとか更新できて良かったです。
次回は……猫の集会の話になるか、ディアムの調査の話になるかのどちらかになりそうです。
それでは、また!
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