我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百九十二話 ブチからの噂話

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「にゃー(助かったのだ、ブチ)」

「ふにゃん(ふんっ、いいってことよ)」


 我輩、最初はバルディスを『探知サーチ』の対象に設定したのだが、無情にもサポートシステムからの解答は『範囲圏外です』とのこと。そして、気を取り直して調べたディアムまでもが『範囲圏外』という答えで、我輩、しばらくショックを受けていたのだが、ふと、ブチはどうだろうかと捜してみると、場所が分かった。
 大急ぎでブチの元まで駆けつけた我輩は、道に迷ってしまったことを正直に話し、宿屋までブチに案内してもらえることになったのだった。ただし、途中で集会所に寄るということを言われたが。


「ふにゃ? (そういえば、最近の噂、知ってるか?)」

「にゃ? (噂?)」

「ふにゃにゃ(あぁ、何でも、『入らずの祠』に入る人間が増えてるらしい)」


 『入らずの祠』。それは、前にラーミアの手がかりを求めて向かった場所だ。ただ、そこに入る人間が増えていることに、何の問題があるのか分からず、我輩、内心、首を傾げる。


「ふにゃ。ふにゃん(ある日様子がおかしくなった人間が、唐突にそこに向かうらしい。しかも、そこへ行ったっきり帰ってこないときた)」

「にゃあ……(それは……)」


 ブチの話を聞いて、我輩、あの死体の山を思い出す。バルディスによると、マウマウは人間にとって簡単に倒せる害獣だから、あの『入らずの祠』には子供でもない限り普通に入れるらしい。だから、マウマウにその『入らずの祠』に入った人間が殺されたわけではないと思うのだが……とても、嫌な予感がした。


「ふにゃあ(中には、それで飼い主を失った奴も居る)」


 どうやら、事態は深刻らしい。しかし、マウマウが大量に居る場所だと分かっていて近づく者も居なかったようで、同胞達の被害はないらしい。


「にゃ……にゃ……(『入らずの祠』……帰ってこない人間達……)」


 何だか、あのサナフ教国で見た異常な場所を思い起こさせる現象だ。


「にゃあにゃ(余裕ができれば、我輩、調べてみるのだ)」

「ふにゃっ!? (あの場所をかっ!?)」


 ブチは我輩の言葉に驚いてはみたものの、一緒に探索した時のことを思い出したのか、『危ない』だとか、『止めておけ』といった言葉を発することはなかった。代わりに、『……気を付けろよ』とは言われたが……。

 何はともあれ、同胞が困っていることを見過ごすわけにはいかない。紳士として、同胞を助けるのは当たり前なのだから。


 ラーミアの件を片付けたら、頑張って調べてみるのだ。


 飼い主を失うのはとても辛い。そんな辛い思いを、少しでも減らすために、我輩、できることは全てやる所存だ。そうして話しているうちに、我輩は、集会所へと辿り着いたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


本日二話目の更新完了です。

にゃんこの日、奮発です。

……まぁ、昨日更新できなかったので、本当の意味では奮発になってないような気もしますが……。

それでは、また!
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