我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百九十一話 追われる猫

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 ディアムに伝言を任された我輩は、走っていた。懸命に、何かから逃げるように……否、逃げるようにではなく、本当に逃げていた。


「にゃんこー」

「まてー」

「わー」


 追ってきているのは三つの人影。


「ねこちゃんっ」


 否、今、また一つ増えて、四つになった。それは、まだ幼い人間の子供だった。それは、男二人に、レディが二人という組み合わせで、我輩を追う。


「にゃっにゃっ(ほっ、とうっ)」


 我輩、歩く人間の間を抜けて、子供達が怪我をしないように気を付けながら走る。いわばこれは、遊びの一貫だった。ただ、我輩にも任務があるため、長くは遊べないが。

 我輩、わざと袋小路に入り込み、子供達を待つ。すると……。


「にゃんこ、いたー」

「つかまえられる?」

「もうにげられないぞー」

「ねこちゃんっ、ねこちゃんっ」


 男、レディ、男、レディの順番でそれぞれに発言する子供達。


 さぁ、ここが正念場なのだ。


 ゆっくり、慎重に迫ってくる子供達を眺め、我輩、グッと足に力を入れる。そして……。


「「きゃあっ」」

「「おぉーっ」」


 一気に飛び上がれば、子供達からは歓声が上がる。そう、我輩、建物の上まで飛んだのだった。ここ最近、力加減を覚えた我輩は、建物の上にまで上ることは簡単だった。
 そうして、我輩、悠然とその場を立ち去る。さすがに建物の上にまで子供達が上ってくることはなく、平和なものだった。子供達は子供達で、我輩のジャンプが気に入ったらしく、興奮してくれているから、これで良かったのだろう。


「にゃあ(楽しかったのだ)」


 子供達と遊んで、高揚した気分に浸りながら歩いていると、ふと、我輩、気づく。


 ……ここ、どこなのだ?


 何も考えずに走っていたせいか、我輩、その場所は全く知らない場所だった。


「にゃー……(誰か……)」


 また、迷子。それを自覚して、我輩、悲しい鳴き声を上げる。


「にゃっ(はっ、こういう時は、『探知サーチ』なのだっ)」


 しかし、我輩、すぐに解決策を思い出して試してみる。この『探知サーチ』は、どうやら範囲が限定されているらしく、ラーミアの捜索の際には全く使い物にならなかったものの、近くにその人物が居れば分かるようになる。だから、我輩、希望を込めて、対象を設定し、サポートシステムに頼む。全ては、迷子から脱するために。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ディアムの予想通り、迷子になったタロ。

タロには首輪が必要かもしれないと思う、今日この頃です(笑)

もしできれば、今日中にもう一話アップします。

せっかくのにゃんこの日(2月22日)なので!

それでは、また!
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