我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百九十六話 バルディスの冒険(三)

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 結論から言おう。俺は、めでたくAランクになった。ギルド員の証しであるギルドカードももらい、それにもAランクと記入されている。


 ……ラーミアやディアムにバレたら不味い気がするが……。


 ともかく、これで活動ができる。ボードに貼り付けてある依頼の紙を見ながら、俺は絡んできそうな人間にちょくちょく殺気を当てて牽制する。


 俺は、目立ちたくないんだ。絡まれて反撃したら目立つだろうがっ。


 牽制は効果絶大。俺に絡んでくる人間は一人も居ないまま、どの依頼を受けるか決める。依頼を受ける場合は、ボードからその紙を剥がして受付に持っていけば良いらしいので、目当てのものを剥いで受付まで向かう。


「これを」

「はい、東門近くに住み着いたジャイアントスコーピオン三体の討伐ですね。……失礼ですが、パーティーは組んでいますか?」

「いや、組んでいない。一人で十分だ」


 確か、ジャイアントスコーピオンは複数の人間が束になってかかって討伐する相手だったような気がする。恐らく、受付嬢もそれを念頭において俺にパーティーの有無を聞いたのだろう。ただ、俺は誰とも組むつもりはない。これは、あくまで路銀を稼ぐためだけの活動なのだから。


「し、失礼しました。それでは、ジャイアントスコーピオン三体の討伐、受注手続きします。ギルドカードをお願いします。…………手続き完了しました。討伐の期限は十日以内となっております。期限が過ぎれば違約金が発生しますので、お気をつけください」


 どこか引きつった表情で受け答えする受付嬢だったが、俺はそれを気にすることなくギルドカードを受け取る。
 この依頼の報酬は、金貨十五枚だ。一般的な宿屋の一泊の代金が、一人につき銀貨三枚だから、今はディアムと二人で銀貨六枚。ラーミアが増えれば、銀貨九枚で、単純に十六日は泊まれる計算だ。ただ、それに食料やら様々な備品やらを買い足せば、それ以下になるだろうが、とにかく一つの依頼でそれだけ稼げるのは大きい。


「タロにささみも買ってやらないとだしな」


 タロは、ことあるごとにささみを要求してくる。もちろん、調達できない時は諦めてくれるだろうが、今はお金さえあれば調達できる環境だ。言い訳をしても許してもらえないだろう。

 そうして、俺は、ギルド内からの不躾な視線を無視して討伐に向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


何とか、バルディスをギルドの外に追い出すことに成功っ。

あっ、ちなみに、お金に関しての設定は以下の通りです。

半賤貨 1円
賤貨  10円
銅貨  100円
銀貨  1,000円
金貨  10,000円
白金貨 100,000円

次回は、ちょっとだけ『バルディスの冒険』を休止して、別視点の話になります。

それでは、また!
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