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第三章 セイクリア教国の歪み
第百九十七話 静かなる激動(一)
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町の荒くれどもが集まり、仕事をこなしていく場所、冒険者ギルド。そこで、私は受付嬢をやっています。ボブカットの茶髪に赤い花の髪留めがチャームポイントの受付嬢です。名前はホリー。独身です。
さて、そんな私は、今日も彼氏を求めて……いえ、違いました。今日も真面目に受付業務をしていたところ、ローブを被った男がやってきました。
「こんにちは。どういったご用件でしょうか?」
見るからに怪しいその男は、どうやら冒険者ギルドに登録をしたいらしく、『バル』と名乗っていました。何となく偽名っぽいですが、そこは詮索してはいけません。もしかしたら、どこぞの貴族がお忍びで登録に来たのかもしれませんし……触らぬ神に祟りなしです。
スキップ制度の説明をすると、しばらく悩んだ後に利用することを伝えてきました。見た感じ、そんなに強そうには見えませんので、きっとランクが上がったとしてもDかCランクくらいでしょう。
……試験が終わって、連絡を受けた私は、自分の目が間違っていたことを知ります。なんと、あのバルさんは、Aランクになったのです。試験で上げられるランクの上限がAまでですので、事実上最高ランクのようなものです。
動揺を完璧に隠して依頼を探すバルさんを見守っていると、何やらギルド内に居る男どもが静かなのが気になりました。
そっと見ると、新人に絡むことで有名な何人かが、泡を吹いて倒れていました。そして、それ以外の男どもは、じっと新人であるバルさんを見ています。ここまで見れば、原因がバルさんだということくらい私にだって分かります。この現象は、恐らく、バルさんが殺気を飛ばしたのでしょう。しかも、ピンポイントで。
改めてバルさんの強さを認識していると、どうやら仕事を決めたらしく、依頼書を持ってきています。仕事、しなくては。
「これを」
「はい、東門近くに住み着いたジャイアントスコーピオン三体の討伐ですね。……失礼ですが、パーティーは組んでいますか?」
この依頼は、パーティーでの討伐が推奨されている。と、いうか、パーティーでも組まなければ討伐できない。だから、すでに入っているであろうパーティー名を確認するつもりで私は問いかけたのですが……。
「いや、組んでいない。一人で充分だ」
ど、どうしましょう。ここは、止めるべき? ですが、もし本当に一人で何とかできるなら失礼でもありますし……。ええいっ、これだけ実力のありそうな人なんだから、きっと何か考えがあるんでしょうっ。なかったらなかったで、自己責任ですっ。
「し、失礼しました。それでは、ジャイアントスコーピオン三体の討伐、受注手続きします。ギルドカードをお願いします。…………手続き完了しました。討伐の期限は十日以内となっております。期限が過ぎれば違約金が発生しますので、お気をつけください」
期限が過ぎて違約金を払うことになるのだろうなと思いながら、私はバルさんを見送る。ちょっとドキドキする胸を押さえて、見送る。
あれ? ドキドキ? これって、もしかして……恋っ!?
気持ちを自覚した私は、バルさんを止めなかったことを後悔しながら、無事でいてほしいと願わずにはいられなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
受付嬢さん、名前が出てきました。
ホリーさん。
さぁ、その恋の行方はどうなるっ。
以後、お楽しみにっ。
それでは、また!
さて、そんな私は、今日も彼氏を求めて……いえ、違いました。今日も真面目に受付業務をしていたところ、ローブを被った男がやってきました。
「こんにちは。どういったご用件でしょうか?」
見るからに怪しいその男は、どうやら冒険者ギルドに登録をしたいらしく、『バル』と名乗っていました。何となく偽名っぽいですが、そこは詮索してはいけません。もしかしたら、どこぞの貴族がお忍びで登録に来たのかもしれませんし……触らぬ神に祟りなしです。
スキップ制度の説明をすると、しばらく悩んだ後に利用することを伝えてきました。見た感じ、そんなに強そうには見えませんので、きっとランクが上がったとしてもDかCランクくらいでしょう。
……試験が終わって、連絡を受けた私は、自分の目が間違っていたことを知ります。なんと、あのバルさんは、Aランクになったのです。試験で上げられるランクの上限がAまでですので、事実上最高ランクのようなものです。
動揺を完璧に隠して依頼を探すバルさんを見守っていると、何やらギルド内に居る男どもが静かなのが気になりました。
そっと見ると、新人に絡むことで有名な何人かが、泡を吹いて倒れていました。そして、それ以外の男どもは、じっと新人であるバルさんを見ています。ここまで見れば、原因がバルさんだということくらい私にだって分かります。この現象は、恐らく、バルさんが殺気を飛ばしたのでしょう。しかも、ピンポイントで。
改めてバルさんの強さを認識していると、どうやら仕事を決めたらしく、依頼書を持ってきています。仕事、しなくては。
「これを」
「はい、東門近くに住み着いたジャイアントスコーピオン三体の討伐ですね。……失礼ですが、パーティーは組んでいますか?」
この依頼は、パーティーでの討伐が推奨されている。と、いうか、パーティーでも組まなければ討伐できない。だから、すでに入っているであろうパーティー名を確認するつもりで私は問いかけたのですが……。
「いや、組んでいない。一人で充分だ」
ど、どうしましょう。ここは、止めるべき? ですが、もし本当に一人で何とかできるなら失礼でもありますし……。ええいっ、これだけ実力のありそうな人なんだから、きっと何か考えがあるんでしょうっ。なかったらなかったで、自己責任ですっ。
「し、失礼しました。それでは、ジャイアントスコーピオン三体の討伐、受注手続きします。ギルドカードをお願いします。…………手続き完了しました。討伐の期限は十日以内となっております。期限が過ぎれば違約金が発生しますので、お気をつけください」
期限が過ぎて違約金を払うことになるのだろうなと思いながら、私はバルさんを見送る。ちょっとドキドキする胸を押さえて、見送る。
あれ? ドキドキ? これって、もしかして……恋っ!?
気持ちを自覚した私は、バルさんを止めなかったことを後悔しながら、無事でいてほしいと願わずにはいられなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
受付嬢さん、名前が出てきました。
ホリーさん。
さぁ、その恋の行方はどうなるっ。
以後、お楽しみにっ。
それでは、また!
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