我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百九十八話 バルディスの冒険(四)

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 東門付近に住み着いたジャイアントスコーピオン三体の討伐。それは、散々ルーグ砂漠でジャイアントスコーピオンを討伐してきた俺にとって、造作もないことだった。そもそも魔王がこの程度の討伐もできないとなると問題だろう。しかし、実際に行ってみると……。


「……どう見ても、三体じゃないな」


 遠目でジャイアントスコーピオンの群れ・・を確認した俺は、依頼書に書かれていた依頼主の名前を思い出そうとする。


「あぁ、確か、こういった討伐は国から依頼が出るんだったか。『聖騎士長』とかって書いてあった気がするな」


 通常、国からの依頼はその国の軍部を担うトップから出されることが多い。稀に王から直接、なんてこともあるらしいが、大抵は軍部からだ。そして、国からの依頼となると、どこの国でも厳しい審査が行われているのが常であり、討伐対象の数の間違いなんて、ほぼあり得ない。


「ざっと見積もっても十くらいだよな」


 しかし、現実にはジャイアントスコーピオン三体・・の討伐のはずが、三倍以上の数を前にしている。これは、何かの異常があるとしか思えない。


「まぁ、路銀が潤う分には構わないか。……持って帰るのも、『収納』でなんとかなるだろうしな」


 少しばかり想定外ではあるものの、路銀が潤うことを考えれば大した労力ではない。それに、依頼書の不備ということで、多目に金貨をもらえる可能性もある。


「まずは、魔法で先制攻撃をさせてもらおうか。『炎爆えんばく』っ」


 得意の炎魔法をジャイアントスコーピオンの群れのど真ん中に発動させ、まずはジャイアントスコーピオン達を爆発で吹き飛ばす。周りに燃えるものはなく、ただただ砂地が広がるこの場所では、炎の魔法は使いやすい。爆風が肌を打つ中、俺はすぐさま次の手を打つ。


「『身体強化』、『炎付与』っ」


 体を強化する魔法、『身体強化』と、持っていた長剣に炎魔法の付与を行って俺はこちらに飛んできたジャイアントスコーピオン三体を素早く斬り刻む。

 ただの骸と成り果てて地面に落ちるジャイアントスコーピオン。そして、それを確認する間もなく、『炎爆』から逃れたジャイアントスコーピオンが四体、襲いかかってきた。


「『火炎竜巻かえんたつまき』」


 高火力の炎で作った竜巻で、俺は固まって襲ってきたジャイアントスコーピオン達を上に押し上げる。大気を圧倒的な熱が焼き尽くし、大地を焦がす。


「『火槍かそう』。貫け」


 ジャイアントスコーピオンに向けて四つの火槍を放った俺は、力を失って落ちてくるジャイアントスコーピオンの最期を見届けることなく、残りのジャイアントスコーピオンへと目を向ける。
 残りは、最初の『炎爆』によって吹き飛び、ひっくり返ったものが七体。つまりは、合計で十四体のジャイアントスコーピオンを相手にしたことになるが、俺はそれらのジャイアントスコーピオンへ魔法を放つ。


「『ばく』」


 本来は盗賊などを縛り上げるために使う無属性魔法。普段よりも大きく魔力を込めたそれで、俺は散らばっていたジャイアントスコーピオンを集めると、長剣を片手にその塊へと突っ込む。

 そうして、数分後、動きを封じられたジャイアントスコーピオンはあっさりと命を散らし、戦いはあっという間に終わった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今回はバルディスの戦闘シーン。

戦闘シーンは頑張って書いてますが、何となくまだまだな気がする今日この頃です。

やっぱり、戦闘シーンは難しいです。

あとちょっと、バルディスの冒険は続きますので、お付き合いください。

それでは、また!
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