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第三章 セイクリア教国の歪み
第百九十九話 バルディスの冒険(五)
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荒くれどもが騒ぐ冒険者ギルド。そこで、ふいに扉が開くと、一瞬にしてその場は静まり返る。
「ん?」
扉を開けた張本人である俺は、あまりにも急な変化に少しだけ疑問を覚えるが、すぐにどうでも良くなる。今はただ、目立たないように路銀を稼げればそれで良いのだから。
「あっ、バルさん。戻られたんですねっ」
受付まで行くと、茶髪の可愛らしい顔立ちをした受付嬢が笑顔で出迎えてくれる。
「あぁ、依頼を達成したから、報告に来た」
「はい?」
そう言えば、受付嬢はなぜか聞き返してくる。ついでに、周囲の冒険者にどよめきが起こる。
「ただ、依頼書に数の誤りがあったぞ。ジャイアントスコーピオン三体ではなく、十四体だった」
一応、全ての報告をすませてしまおうと依頼書の誤りまで話せば、今度は受付嬢は笑顔のまま固まる。ついでに、周囲の冒険者はしん、と静まり返る。
「ジャイアントスコーピオンは十四体全部、『収納』してある。どこに行けば良い?」
俺だけの声が淡々と響く冒険者ギルドを、何となく居心地が悪く感じながら動かない受付嬢に問いかける。
「あぁ、後、依頼書のミスということで、報酬が増えるとかはあるのか? そこら辺の説明はなかったから、詳しく聞きたい」
そこまで一気に話せば、受付嬢はようやく動き出す。
「は、はい。えぇっと、ですね……まずは、このギルドの地下に大型の魔物を解体、査定してくれる場所があるので、そこに向かってください。それで、その、十四体のジャイアントスコーピオンが確認されれば、依頼書のミスが明らかになりますので、その際はギルドマスターとの話し合いとなります。報酬は確実に増えると思われます」
「そうか。だが、ギルドマスターとの話し合いか……」
正直、目立ちたくない俺は、ギルドマスターなんぞと話し合いたくはない。しかし、依頼書の明らかなミスを見つけて、ギルドマスターとしては放置するわけにもいかないのだろう。せめて、俺から詳しい情報を聞きたいはずだ。
「あ、あの。お時間がないようでしたら、また後日、時間を設けるということも可能です。恐らく、それだけのジャイアントスコーピオンなら、もしギルドに素材を売られる場合、査定に時間がかかるものと思われますし、その金額の支払いが明日以降になる可能性もあります」
おずおずと提案してくれる受付嬢。俺が懸念していることとは違うものの、確かにあれだけの量の査定は時間がかかることだろう。ジャイアントスコーピオンの素材を売ることも路銀の足しになるだろうから、俺としては大歓迎でもある。
「そうか。分かった。様子を見て決めることにする。ありがとう」
「はっ、はいっ。どういたしましてっ」
ポンッと真っ赤に染まった受付嬢を訝しく思いながら、俺は指示された場所に行ってみることにする。確かに、ギルドの奥に地下へ通じる階段がある。
俺は、なぜか集中する視線を鬱陶しく思いながら、階段を下りるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……どうしよう。
次回を『静かなる激動(二)』にしてしまいたい衝動がっ。
そうなると、前回の『静かなる激動』に『(一)』を付け足さなきゃいけなくなりますが……。
うーん、悩みどころです。
そして、随分とバルディスが活躍していて、『タロが主人公なのに、どうして?』って声が上がりそうで怖いです(ガタガタ)
……た、多分、明日か明後日あたりの更新でバルディスの冒険関係の話は終わる、はずっ。
その後にはタロが待ち構えているので、大丈夫……だと思いたいです。
それでは、また!
「ん?」
扉を開けた張本人である俺は、あまりにも急な変化に少しだけ疑問を覚えるが、すぐにどうでも良くなる。今はただ、目立たないように路銀を稼げればそれで良いのだから。
「あっ、バルさん。戻られたんですねっ」
受付まで行くと、茶髪の可愛らしい顔立ちをした受付嬢が笑顔で出迎えてくれる。
「あぁ、依頼を達成したから、報告に来た」
「はい?」
そう言えば、受付嬢はなぜか聞き返してくる。ついでに、周囲の冒険者にどよめきが起こる。
「ただ、依頼書に数の誤りがあったぞ。ジャイアントスコーピオン三体ではなく、十四体だった」
一応、全ての報告をすませてしまおうと依頼書の誤りまで話せば、今度は受付嬢は笑顔のまま固まる。ついでに、周囲の冒険者はしん、と静まり返る。
「ジャイアントスコーピオンは十四体全部、『収納』してある。どこに行けば良い?」
俺だけの声が淡々と響く冒険者ギルドを、何となく居心地が悪く感じながら動かない受付嬢に問いかける。
「あぁ、後、依頼書のミスということで、報酬が増えるとかはあるのか? そこら辺の説明はなかったから、詳しく聞きたい」
そこまで一気に話せば、受付嬢はようやく動き出す。
「は、はい。えぇっと、ですね……まずは、このギルドの地下に大型の魔物を解体、査定してくれる場所があるので、そこに向かってください。それで、その、十四体のジャイアントスコーピオンが確認されれば、依頼書のミスが明らかになりますので、その際はギルドマスターとの話し合いとなります。報酬は確実に増えると思われます」
「そうか。だが、ギルドマスターとの話し合いか……」
正直、目立ちたくない俺は、ギルドマスターなんぞと話し合いたくはない。しかし、依頼書の明らかなミスを見つけて、ギルドマスターとしては放置するわけにもいかないのだろう。せめて、俺から詳しい情報を聞きたいはずだ。
「あ、あの。お時間がないようでしたら、また後日、時間を設けるということも可能です。恐らく、それだけのジャイアントスコーピオンなら、もしギルドに素材を売られる場合、査定に時間がかかるものと思われますし、その金額の支払いが明日以降になる可能性もあります」
おずおずと提案してくれる受付嬢。俺が懸念していることとは違うものの、確かにあれだけの量の査定は時間がかかることだろう。ジャイアントスコーピオンの素材を売ることも路銀の足しになるだろうから、俺としては大歓迎でもある。
「そうか。分かった。様子を見て決めることにする。ありがとう」
「はっ、はいっ。どういたしましてっ」
ポンッと真っ赤に染まった受付嬢を訝しく思いながら、俺は指示された場所に行ってみることにする。確かに、ギルドの奥に地下へ通じる階段がある。
俺は、なぜか集中する視線を鬱陶しく思いながら、階段を下りるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……どうしよう。
次回を『静かなる激動(二)』にしてしまいたい衝動がっ。
そうなると、前回の『静かなる激動』に『(一)』を付け足さなきゃいけなくなりますが……。
うーん、悩みどころです。
そして、随分とバルディスが活躍していて、『タロが主人公なのに、どうして?』って声が上がりそうで怖いです(ガタガタ)
……た、多分、明日か明後日あたりの更新でバルディスの冒険関係の話は終わる、はずっ。
その後にはタロが待ち構えているので、大丈夫……だと思いたいです。
それでは、また!
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