我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百二話 説教

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 我輩、ブチに案内してもらって無事、宿屋に辿り着く。今度から、子供達と遊ぶにしても、ちゃんと場所の把握をしっかりしようと決意しながら、ブチにお礼を告げて別れる。


「にゃー(今、戻ったのだ)」


 宿屋の主人達に見つからないようにスルリと部屋の前まで来ると、一つ鳴いて帰還を知らせる。しかし……。


 物音一つしない? しかも、誰か居る気配もない?


 部屋にはバルディスが居るはずだったのだが、どうにも出掛けているらしい。伝言を預かった身としては、早くバルディスに会いたいのだが、ここで動き回ってまた迷子になるのは御免だ。


 仕方ない。部屋の前で待つのだ。


 待っていれば必ず、バルディスとディアムは帰ってくる。だから、我輩、部屋の前でゴロリと転がる。


 少し休憩なのだ。


 ラーミアに蹴られたり、走り回ったり、迷子になったり、情報収集をしたり、今日はとても大変な一日だったのだ。少しくらい休んでもバチは当たるまい。しかも、外ではないから、また誘拐されることもなさそうだ。

 大きな欠伸を一つすると、我輩、目を閉じるのだった。







「……る……て……な……」

「わ……た……」


 何やら誰かの話し声が聞こえる。睡眠を取り始めてどのくらい経ったかは知らないが、もしかしたら二人が帰ってきたのかもしれないと思い、我輩、重いまぶたを持ち上げる。


「報連相、必要」

「わ、悪かった」

「バルに、何かあれば、俺、殺される」

「……悪かった」

「ラーミア、容赦ない」

「……本当に、本当に、悪かった」


 目を完全に覚まして聞こえてきたのは、バルディスとディアムの会話。と、いうよりも、バルディスがディアムに説教を受けているようだった。

 いつの間にか部屋の中に招き入れられ、タオルまでかけてもらっていた我輩は、ひとまず起き上がって我輩に気づいていない二人を見る。


「俺、死んだら、バル、恨む。絶対、化けて出る」

「……すみません」


 もはや平身低頭の状態のバルディスに、内心、『魔王とは偉い魔族だったのではなかったのだろうか?』と疑問に思うものの、何となく口出ししづらい。
 そうしてよくよく話を聞いてみると、バルディスは冒険者ギルドに行って仕事をこなしてきたらしいということと、その仕事が危険なことで、ディアムはバルディスの身を案じて怒っているらしいということが分かった。


 うむ、これはきっと、バルディスが悪いのだ。


 我輩、心配する心は良く分かる。今回は、勝手に行動したバルディスが悪いことくらい、我輩にも分かった。
 説教の途中から我輩が目を覚ましていることに気づいたバルディスが、チラチラとこちらに視線を送ってくるものの、我輩に邪魔をする意思はない。せいぜいしっかり説教をされると良いくらいの気持ちで、バルディスからの視線を受け流し、思いっきり伸びをする。そして、説教が終われば、きっと情報の確認になるだろうと考え、頭の中で情報整理を行うのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


バルディス、説教されました。

そして、タロには見捨てられました。

路銀が少ないという事情があるとはいえ、勝手な行動に出たバルディスが悪い、ということです。

……若干、ラーミアの凶暴性が見え隠れしてますが、まぁ、大丈夫です。

今はラーミア、居ませんしね。

それでは、また!
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