我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百八話 教皇

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「にゃにゃあ(ふむ、とりあえず、この部屋を調べるのだ)」


 しばらく落ち込み気味だった我輩だが、ちゃんと自分の役目くらい覚えている。体型のことは、今は気にしてはいけないのだ。


「ふにゃん。……ふにゃ? (おう。……ん?)」


 返事をしてくれたブチは、なぜか我輩の背後を見て固まる。それは、何か珍しいものを見つけたかのような表情で、我輩、つられて後ろを振り向く。


「にゃ? (何かあるのか?)」


 後ろには、一人の人間が寝ているくらいで、他は何もめぼしいものはない。


「ふにゃあ(そこで寝てる奴、教皇って人間だ)」


 きょうこう。……きょう、こう。教、こう。教皇……教皇!?


「にゃにゃっ? (それって、この国の偉い人間のことかっ?)」

「ふにゃ(多分それだ)」


 教皇のことは、バルディスやディアムの話を聞いていたから知っている。この国の偉い人間で、病床に臥せっていて、現在の混乱の元になっているらしい人間だ。

 我輩、眠っているのが教皇だと分かり、少し考えて『探索能力』を使うことにする。


「にゃ(『探索』開始なのだ)」


 『探索能力』は、知りたい情報を意識すれば、それが優先的に表示される。だから、我輩、病気の原因について考えながら教皇を見る。


『ジアス・ディバン。

男。

五十八歳。

セイクリア教国教皇。

『宵闇の一日』にディルク・ディバンによって呪いをかけられた。症状は食欲減退、全身の疼痛、吐き気。この時点での寿命は残り五年。その後、ラーミア・ネクロが薬と偽ってキリギリ毒を飲ませている。症状は麻痺、頭痛。この時点での寿命は残り半年。また、解呪、及び解毒が行われれば、寿命は元に戻る』

「……にゃ(……これは)」


 まさかここでラーミアの名前が出てくるとは思わなかった我輩は、大きく動揺する。しかも、ラーミアはなぜかこの教皇を殺そうとしている。ラーミアが操られているであろうことから考えるに、ラーミアを操っているマギウスとやらが教皇を邪魔に思っているのだろう。


「にゃにゃ(ブチ、我輩、すぐにバルディス達に伝えなければならない情報を手に入れたのだ)」

「ふにゃ? (そうなのか?)」


 我輩の言葉にキョトンとするブチ。

 無理もない。ブチからすれば、我輩はただ教皇を見ていただけのようにしか見えなかったのだろうから。しかし、我輩が情報を手に入れたのは事実だ。早く、バルディス達に知らせなくてはならない。


「にゃ(ここから出て、帰るのだ)」

「!? ふにゃっ(!? おうっ)」


 そうして、我輩達はまた、通気孔へと飛び込むのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


案外重要な情報をタロが掴みました。

やっとここまで来たか、という感じです。

ただ……すみません、そろそろプロットが詰まりますので、また三日間ほど更新をお休みします。

いつものごとく、なんとなーくならプロットはできているんですけどね。

しっかり詰めとかないと後が大変なので、頑張っておきます。

それでは、また!
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