我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百二十三話 神殿跡地にて(三)

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 襲ってきた黒装束達を全員気絶させ、一ヶ所に纏めて縛り上げると、何か身元が分かるものはないかと物色を始める。しかし……。


「やはり、何もないか……」


 身元に繋がるようなものを、この暗殺集団らしき者達が身に付けているわけもなく、俺は盛大なため息とともに辺りを見渡す。


「拷問はラーミアかディアムの専売特許、なんだがなぁ」


 辺りに人気はない。つまり、ここで拷問をしても誰にも気づかれない。ただ、問題なのは、俺自身が拷問に特化していないことだった。


「それに、本物の暗殺者かどうかも怪しいんだよな」


 黒い布で鼻まで覆われている一人一人の顔を、ひとまずあらわにさせて俺は首を傾げる。普通の暗殺者であれば、暗器を使ってきたはずなのだが、この黒装束達は皆、剣やナイフしか持っていなかった。しかも、その戦い方は暗殺者のトリッキーなものとはほど遠く、どこかの騎士団で鍛えられたものだと言われた方が納得できるものだった。


《にゃにゃあ? (バルディス、バルディス、ちょっと良いだろうか?)》


 と、そんな時、タロから唐突に『念話』が入ってきた。


《どうした? 何かあったのか?》


 タロは今、『入らずの祠』での調査を行っているはずだが、俺に『念話』をしてくるということは、何か不測の事態でもあったのかもしれない。


《にゃあ……。(それが……)》


 そうして話始めたタロの言によれば、どうやら『入らずの祠』に入った人間が帰ってこないというのは、マギウスに操られた人間が自ら生け贄となっていたからだという。


《なら、あの魔法陣が邪神復活のためのものだとして……マギウスの目的は邪神の復活か?》

《にゃ(恐らく、そうなのだ)》


 マギウスの目的らしきものが見えてきたところで、タロは俺のところに眠らせた人間を連れていきたいと言ってくる。まだ、『操術』を解除していないそうで、どう行動すれば良いのかの判断も仰ぎたいとのことだった。


《分かった。ただ、俺は今、宿屋には居ない。場所は魔力でマーキングしてやるから、それを辿って『転移』できるか?》


 そう言いながら、きっと大丈夫だろうと俺は近くの地面に魔力を流し込む。


《にゃ……にゃー(ちょっと待ってほしいのだ…………大丈夫なのだ)》


 その『念話』の直後、タロは『転移』してきた。意識を失っている青年の上に乗った状態で。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


とりあえず、今日はここまでっ。

明日、多分バルディス視点は終わるかなぁと思ってます。

その次はディアム視点を予定してますので、まだまだタロの活躍が遠いですが……もうしばらくお待ちください。

追記

すみません、更新予約の設定を間違えていたので、この時間に更新になりました。

それでは、また!
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