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第三章 セイクリア教国の歪み
第二百二十六話 逃亡劇
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あんなに警戒していたのに、なぜっ!
グラハムに見つかったと判断した俺の行動は早かった。『闇化』で姿を隠したまま、影から影へと飛び移る。しかし、グラハムは操られているとはいえ、さすがは聖騎士長。『侵入者あり!!』と大声で叫ぶや否や、俺の追跡を開始した。
っ、影に隠れてやり過ごしたいところだが、どういう勘をしてるんだ……。
俺は、影に潜んでは進路を変えてグラハムを翻弄しようとするものの、グラハムの目は正しく俺へと向けられていて、全く翻弄されてくれる様子がない。
とにかく、逃げるしかないっ。
直感的に、グラハムとまともに戦うべきではないと考えた俺は、ひたすらに逃げる。ラーミアがグラハムと対峙して敗れたということを考えれば、少なくともグラハムは四天王クラスの実力があるとみて間違いないのだから、この逃避行も当然のことだった。
「侵入者だっ! 影に潜んでいるっ! 捕らえろっ!」
逃げれば逃げるだけ、グラハムの警告は広く響き渡る。そして、その声を聞いて聖騎士が集まるのは当然の結果だった。
今、俺を追っている人間は、十人を越えたところだ。
待ち伏せされたら、不味いっ。
このまま逃げ続けて、土地勘のある聖騎士達に待ち伏せされれば、戦闘は避けられない。それでもどうにか逃げられれば良いものの、グラハムという強敵が居る限りはそうもいかないだろう。
こういう時に『転移』が使えればっ。
普段使える『転移』は、アルトルム王国へと飛ばされた際に封じられている。故に、俺はこのまま何としてでも聖騎士達を振り切るしかなかった。
「待てぇ!」
「侵入者だっ」
「捕まえろーっ」
そうこうするうちに、追手はどんどん増えていく。そうして曲がり角に差し掛かった時だった。
《こっちです》
小さな小さな『念話』が聞こえて、俺はすぐさま、その声の主が居る部屋の影へと飛び込んだ。
「っ、どこ行った!」
「捜せっ、捜せぇ」
部屋の中に入ってもなお、響いてくる怒声。肝の小さい者であれば震え上がるであろうそれに、俺は隠密部隊隊長として、冷静に…………なってはいられなかった。
俺を誘導した声の主……ラーミアは、俺の『闇化』を容易く解くと、壁に手をついて一気に迫ってきたのだ。
「ひっ!」
「静かに」
そう言われて、唇に感じたことのない感触が伝わってくる。しかし、その直後、扉が乱暴に開けられた。
「失礼しますっ! 薬師ど……のぉ?」
「あら、本当に失礼ですね。いえ、この場合は無粋と言った方がよろしかったでしょうか?」
明らかに男を襲っている体勢のラーミアを見て、聖騎士の男は顔を真っ赤にして狼狽える。
「しししししっ、失礼しましたーっ!!」
そうして、聖騎士は勝手に退出していく。あまりにも想定外の出来事を前に、呆然自失状態の俺と、なぜか満足げなラーミアを残して……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いやぁ、このブチューってなるシチュエーションを入れたくて入れたくて仕方なかったんです。
ん?
普通は男女逆?
……そこは気にしちゃいけませんっ。
と、いうか、ラーミアを前にしたら、どうしてもこんな状況にしかなりませんって。
定番の誤魔化し方ではありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。(ついでに感想でもあれば、もっと嬉しいです)
それでは、また!
グラハムに見つかったと判断した俺の行動は早かった。『闇化』で姿を隠したまま、影から影へと飛び移る。しかし、グラハムは操られているとはいえ、さすがは聖騎士長。『侵入者あり!!』と大声で叫ぶや否や、俺の追跡を開始した。
っ、影に隠れてやり過ごしたいところだが、どういう勘をしてるんだ……。
俺は、影に潜んでは進路を変えてグラハムを翻弄しようとするものの、グラハムの目は正しく俺へと向けられていて、全く翻弄されてくれる様子がない。
とにかく、逃げるしかないっ。
直感的に、グラハムとまともに戦うべきではないと考えた俺は、ひたすらに逃げる。ラーミアがグラハムと対峙して敗れたということを考えれば、少なくともグラハムは四天王クラスの実力があるとみて間違いないのだから、この逃避行も当然のことだった。
「侵入者だっ! 影に潜んでいるっ! 捕らえろっ!」
逃げれば逃げるだけ、グラハムの警告は広く響き渡る。そして、その声を聞いて聖騎士が集まるのは当然の結果だった。
今、俺を追っている人間は、十人を越えたところだ。
待ち伏せされたら、不味いっ。
このまま逃げ続けて、土地勘のある聖騎士達に待ち伏せされれば、戦闘は避けられない。それでもどうにか逃げられれば良いものの、グラハムという強敵が居る限りはそうもいかないだろう。
こういう時に『転移』が使えればっ。
普段使える『転移』は、アルトルム王国へと飛ばされた際に封じられている。故に、俺はこのまま何としてでも聖騎士達を振り切るしかなかった。
「待てぇ!」
「侵入者だっ」
「捕まえろーっ」
そうこうするうちに、追手はどんどん増えていく。そうして曲がり角に差し掛かった時だった。
《こっちです》
小さな小さな『念話』が聞こえて、俺はすぐさま、その声の主が居る部屋の影へと飛び込んだ。
「っ、どこ行った!」
「捜せっ、捜せぇ」
部屋の中に入ってもなお、響いてくる怒声。肝の小さい者であれば震え上がるであろうそれに、俺は隠密部隊隊長として、冷静に…………なってはいられなかった。
俺を誘導した声の主……ラーミアは、俺の『闇化』を容易く解くと、壁に手をついて一気に迫ってきたのだ。
「ひっ!」
「静かに」
そう言われて、唇に感じたことのない感触が伝わってくる。しかし、その直後、扉が乱暴に開けられた。
「失礼しますっ! 薬師ど……のぉ?」
「あら、本当に失礼ですね。いえ、この場合は無粋と言った方がよろしかったでしょうか?」
明らかに男を襲っている体勢のラーミアを見て、聖騎士の男は顔を真っ赤にして狼狽える。
「しししししっ、失礼しましたーっ!!」
そうして、聖騎士は勝手に退出していく。あまりにも想定外の出来事を前に、呆然自失状態の俺と、なぜか満足げなラーミアを残して……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いやぁ、このブチューってなるシチュエーションを入れたくて入れたくて仕方なかったんです。
ん?
普通は男女逆?
……そこは気にしちゃいけませんっ。
と、いうか、ラーミアを前にしたら、どうしてもこんな状況にしかなりませんって。
定番の誤魔化し方ではありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。(ついでに感想でもあれば、もっと嬉しいです)
それでは、また!
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