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第一章 異世界転移編
第5話 バースト
「ふーむ」
俺はとぼとぼと歩きながら、腕を組んで悩む。
先程、強敵レッドアイズホワイトビーストとの死闘を経て、俺のスーツはズタボロである。
袖や裾は擦り切れ、至る所に穴が空き、全体的に泥だらけだ。
あれほどの魔物との死闘、仕方あるまいて。
そうやって自分を慰めながらも、今悩んでいるのは、別のことだ。
《火魔法》の事である。
イグナイトぉ! とか叫びながら、強ライター程度の火力しか出せなかった、あのニューカマーな黒歴史。
言ってみれば、中学生がライターで火遊びしながら、厨二全開の技名を叫んでいるのと変わらない。
そう考えると、布団を抱えて小一時間、恥ずかし! 恥ずかし! と、のたうち回りたくなる。
もう2度と《火生成》をイグナイトなんて言わない。絶対。絶対にだ!
スライムはただ燃えやすかっただけだったんだな。
アレのせいで、久しぶりに調子こいてしまった。
それとも、俺を元気づける為にわざとやってくれたのだろうか。
あいつめ、余計な気使いやがって……!
スライムが長年の友のように思えて仕方ないが、間違いなく考えすぎだった。
そんな時、目の端を白い何かがよぎっていった。
白くて、小さくて、もふもふしていて、おまけに目の赤い何か。
ついでに、長い耳まで見えた気がする。
ドッドッドッと心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる。
全身から、冷たい汗が吹き出していた。
……ヤツだ。
ここは地獄なのか。あの強敵が再び降臨するとは。
神も仏もいないってのかよ! (ここは異世界なので、仏はきっといない)
彼我の距離は約100メートル。
奴はピョンピョンと、無邪気なフリをしてこちらの油断を待っている。
恐ろしく、冷酷な戦略家だ。
どうしよう。
またヤツが疲れるまで、なぶられ続けるのは絶対にイヤだ。
あんな経験、何度も耐えられるわけがない。
次やられたら、子分にしてくださいとか言って、やつに忠誠を誓ってしまう気がする。
考えろ、考えるんだ。
そして、ある事を思いついた。
《水生成》はMPの続く限り、水を出し続ける事ができた。
ならば、《火生成》も火を出し続ける事ができるのではないだろうか。
イグナイト(笑)は発火が一瞬だったせいで、レッドアイズホワイトビーストを燃やすことはできなかったが、絶え間なく火を出し続ければ、あの場面で倒せたのかもしれない。
ふと、100メートル先のレッドアイズホワイトビーストを眺める。
奴は、辺りを飛んでいるチョウチョと戯れるフリをしていた。
実験するなら今だった。
俺はすぐそばの地面に向かって、《火生成》と念じた。
シュボッと火が灯って、すぐに消える。
その時、結構遠くにいるはずの、レッドアイズホワイトビーストの長い耳が、ひくひく動き、その鮮血のような真紅の瞳が、こちらを捉えた。
俺は全速力で猛ダッシュをした。
脇目も振らずに荒野を駆け抜ける。
十数分、全力ダッシュをしたところで、ヤツが追ってこないことを確認して立ち止まる。
全身汗だくだった。
念のため言っておくが、別にビビったわけではない。
ヤツの恐るべき索敵能力に敬意を表して、戦略的撤退を図ったのだ。
第一まだ、《火生成》の実験が完了していない。
今はまだ戦うべき時ではないのだ。
戦いとは刻の見極めが大事って戦国時代の誰かが言ってた気がするもん。
とりあえず、額の汗を拭って、《火生成》の実験を開始する。
まずは、《火生成》を一回発動させる。
シュボっと発火現象が起きる。
そのまま、発動を維持させようと、みょんみょんと、なんというか魔術的なものを送ってみる。
しかし、微かな白煙を残して、火は消えてしまった。
《水生成》と同じような感じでやってみたが、ダメみたいだ。
それならばと再チャレンジ。
再び《火生成》を発動。
発火現象を確認し、火が消える前に、続けて《火生成》。
そのまま連続で《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》。
シュボボボボボと連続して、発火現象が発動する。
それは、まるで爆発しているようにも見えて――。
キーンと耳鳴りがした。
あ、やばい。
ぐにゃりと視界が歪む。
MP切れだ。
『睡眠耐性LV10が発動しました。』
『疲労耐性LV10が発動しました。』
倒れそうになるのを必死に堪えて、MPの回復を待つ。
《火生成》は1回の発動でMPを1ポイント使うようだ。
今、俺の最大MPは16ポイント。
いや、17ポイントに増えている。
だから、《火生成》を連続で発動できるのは、最大で17回。
17回目を発動するまでに、ヤツを倒しきらなくてはならない。
また、連続で《火生成》の発動を念じるため、回数をどこまで把握できるか不安だ。
ちょっとダサいけど、指で数えたほうがいいかもしれない。
それにしても、ちょいちょいMPが増えていくのはなんでなんだろう。
MP枯渇を経験すると、MPが増えるのだろうか。
今度、実験してみよう。
MP枯渇の苦しみが和らいできたので、俺は体育座りをして、MPの完全回復を待つことにした。
たしか、1MP3分くらいだったから、1時間くらい待たなくてはいけない。
時計がないので、体感だけど。
MP回復を待つ間に、ある事に気づいてしまった。
この世界には、魔法があって、レベルがあって、モンスターがいる。
昔、死ぬほどやったロールプレイングゲームそのものだ。
夢にまで見た憧れの世界。
剣と魔法の世界。
なのに俺は剣を持っていない!
初期装備は肉体である。
そんなゲーム聞いたことないから。
バグを疑うレベルである。
そもそもマクロスさんが最後にエクスカリバーとか渡すべきじゃないのか。
インチキくさい啓発セミナーみたいな事言いやがって!
何を言われたのか、あんましよく覚えていないが、ツボを買えば宝クジが当たって美女とヤリまくり! みたいな事を言われた気がする。
エロ本の裏表紙か!
せめて、ひのきのぼうくらいさあ!
あれ、棒ならその辺に落ちているじゃない。
ふとそんな事に気づいた。
荒野を歩いているとよく棒というか、木の枝が落ちているのだ。
ちょうど目の前にも、いい感じの木の枝が落ちている。
どの辺がいい感じかというと、俺がもう三十年くらい若くて、厨二病の片鱗を覗かせていたら、剣と呼んでいたかもしれないってレベルの枝なのだ。
なんとなく拾ってみる。
振り回してみると、なかなか痛そうな風切り音がした。
『〔エルダーウッドの棒〕を装備しました。攻撃力補正+2』
まさかのログ表示が発生した。
今、手に持つこの枝は、武器と判定されるらしい。
まあ、手ぶらよりはマシか。
とにかく、ついに俺も武器を手に入れたのだ!
欲しいのは剣だけど。
むしろ、エクスカリバーだけど。
ただ、最初は木の棒で、徐々に強くなっていくのも面白いかもしれない。
木の棒>銅の剣>鉄の槍>炎の剣>エクスカリバーみたいな。
装備が良くなっていくのも、RPGの醍醐味だよね。
武器の進化ツリーが見えた気がする。
でも、なんたらの棒って名前はダサい。
とりあえず、枝と書いて、デュランダルと読むことにする。
エクスカリバーは言い過ぎだけど、デュランダルくらいはいいんじゃなかろうか。
何よりも、名前かっこいいし!
ただ、急に武器の進化ツリーは見えなくなった。
そんなこんなで、棒を振り回していると、あっという間に1時間が経過した。
俺のMPは最大まで回復している。
落ちてる木の枝で1時間遊べる30代って、どうなんだろうかと思うが、今の俺は気にしない。
なぜならば。
新魔法スキル、連続《火生成》!
新武器、枝(デュランダル)!
新たな力を2つも手に入れたった!
この言い知れぬ無敵感。
もう誰にも負ける気はしない。
首を洗って待っていろ、レッドアイズホワイトビースト!
俺は手に枝(デュランダル)を持ちながら、歩きだす。
もと来た道を戻るように。
今度こそヤツの息の根を止めるのだ。
マジレスすると、ちょっとトラウマになりかけていたので、早めに克服しないとヤバイっぽいのだ。
イヤだって、俺今まであんなにボコボコにされた事ないもん。
どっちかというと充実した学生生活を送っていた俺は、いじめられたこともない。
殴り合いのケンカをしたこともない。
よく考えたら、親にだって殴られたことないかもしれない。
そんな俺をヤツは殴ったのだ。
今なら、ア○ロの気持ちがよく分かる。
いやいや、せっかく異世界に来たんだから、胸を熱くさせるようなバトルはむしろ望むところですよ。
問題は、相手がウサギさんということだ。
せめて魔王の腹心の暗黒騎士とか、ドラゴンとか、アル○マウェポンとかと死闘を演じたい。
出会って2種類目のモンスターと死闘を演じちゃダメだと思う。
これは、俺が充実した異世界生活を送るために、絶対に負けられない戦いなのだ!
そんなこんなでメラメラと闘志を燃やしながら、荒野をさまよっていると、ついにヤツに出会った。
ヤツは地面をぴょんぴょん跳ねたり、髭をひくひくさせたり、ごろごろ転がって背中を掻いたりしていた。
反吐が出るほど。
かわいらしかった。
クソが! なんて精神攻撃だ。なぜ精神耐性:LV5が発動しないんだ! バグってんのか!
その時、ヤツはつぶらな瞳で俺を見た。
ついに、見つかった。
どうする。とりあえず、赤ちゃん言葉で話しかけながら、もふもふの背中をなでにいくか!?
完全にヤツの術中にハマっていた。
しかし、前回もこんな感じで結果的にボコボコにされたのだ。
ヤツの外見に黙れされちゃダメだ。
こっちから仕掛けるのだ。
「うおおおおおお!」
俺は雄叫びを上げながら、走り出した。
そのまま、右手を掲げて、ウサギに集中する。
走りながらふと思う。
俺は魔法を使えるのに、なぜいつも接近戦を挑むのかと。バカかと。
それでももう止まれない。
なぜなら、すでにウサギさんは威嚇の顔をしているから。
アレは俺をボコボコにした時と同じ顔つきだ。
「ままよ!」
そのまま、《火生成》と念じる。
ボヒュッ!
《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》!
ウサギの体中から発火現象が起こる。
シュボボボボと音を立てて、ウサギは火に包まれていく。
グラリと立ちくらみがした。
結局、《火生成》のカウントを忘れて、限界までMPを使ってしまった。バカなのかと。
これで倒せなかったら、もうボコられるしかない。
ウサギは火だるまになりながら、地面に崩れ落ちていく。
『4ポイントの経験値を獲得しました。』
『レベルが4になりました。』
『スキルポイント1を獲得しました。』
「うおおおお! 勝ったどおおおおお!」
俺は枝(デュランダル)を天に掲げて吠えた。
ただの勝ちではない、瞬殺オーバーキルである。
MP枯渇でふらつく足で、俺はなんとか踏みとどまる。
これでもうウサギは怖くない。二度とレッドアイズホワイトビーストなんて呼ばない。
これからはヤツが経験値供給源(ウサギ)だ!
そして、今回の事で連続《火生成》が十分使えることが判明した。
今なら言える。
連続《火生成》を、イグナイト・バーストと名付けようと!
俺はとぼとぼと歩きながら、腕を組んで悩む。
先程、強敵レッドアイズホワイトビーストとの死闘を経て、俺のスーツはズタボロである。
袖や裾は擦り切れ、至る所に穴が空き、全体的に泥だらけだ。
あれほどの魔物との死闘、仕方あるまいて。
そうやって自分を慰めながらも、今悩んでいるのは、別のことだ。
《火魔法》の事である。
イグナイトぉ! とか叫びながら、強ライター程度の火力しか出せなかった、あのニューカマーな黒歴史。
言ってみれば、中学生がライターで火遊びしながら、厨二全開の技名を叫んでいるのと変わらない。
そう考えると、布団を抱えて小一時間、恥ずかし! 恥ずかし! と、のたうち回りたくなる。
もう2度と《火生成》をイグナイトなんて言わない。絶対。絶対にだ!
スライムはただ燃えやすかっただけだったんだな。
アレのせいで、久しぶりに調子こいてしまった。
それとも、俺を元気づける為にわざとやってくれたのだろうか。
あいつめ、余計な気使いやがって……!
スライムが長年の友のように思えて仕方ないが、間違いなく考えすぎだった。
そんな時、目の端を白い何かがよぎっていった。
白くて、小さくて、もふもふしていて、おまけに目の赤い何か。
ついでに、長い耳まで見えた気がする。
ドッドッドッと心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる。
全身から、冷たい汗が吹き出していた。
……ヤツだ。
ここは地獄なのか。あの強敵が再び降臨するとは。
神も仏もいないってのかよ! (ここは異世界なので、仏はきっといない)
彼我の距離は約100メートル。
奴はピョンピョンと、無邪気なフリをしてこちらの油断を待っている。
恐ろしく、冷酷な戦略家だ。
どうしよう。
またヤツが疲れるまで、なぶられ続けるのは絶対にイヤだ。
あんな経験、何度も耐えられるわけがない。
次やられたら、子分にしてくださいとか言って、やつに忠誠を誓ってしまう気がする。
考えろ、考えるんだ。
そして、ある事を思いついた。
《水生成》はMPの続く限り、水を出し続ける事ができた。
ならば、《火生成》も火を出し続ける事ができるのではないだろうか。
イグナイト(笑)は発火が一瞬だったせいで、レッドアイズホワイトビーストを燃やすことはできなかったが、絶え間なく火を出し続ければ、あの場面で倒せたのかもしれない。
ふと、100メートル先のレッドアイズホワイトビーストを眺める。
奴は、辺りを飛んでいるチョウチョと戯れるフリをしていた。
実験するなら今だった。
俺はすぐそばの地面に向かって、《火生成》と念じた。
シュボッと火が灯って、すぐに消える。
その時、結構遠くにいるはずの、レッドアイズホワイトビーストの長い耳が、ひくひく動き、その鮮血のような真紅の瞳が、こちらを捉えた。
俺は全速力で猛ダッシュをした。
脇目も振らずに荒野を駆け抜ける。
十数分、全力ダッシュをしたところで、ヤツが追ってこないことを確認して立ち止まる。
全身汗だくだった。
念のため言っておくが、別にビビったわけではない。
ヤツの恐るべき索敵能力に敬意を表して、戦略的撤退を図ったのだ。
第一まだ、《火生成》の実験が完了していない。
今はまだ戦うべき時ではないのだ。
戦いとは刻の見極めが大事って戦国時代の誰かが言ってた気がするもん。
とりあえず、額の汗を拭って、《火生成》の実験を開始する。
まずは、《火生成》を一回発動させる。
シュボっと発火現象が起きる。
そのまま、発動を維持させようと、みょんみょんと、なんというか魔術的なものを送ってみる。
しかし、微かな白煙を残して、火は消えてしまった。
《水生成》と同じような感じでやってみたが、ダメみたいだ。
それならばと再チャレンジ。
再び《火生成》を発動。
発火現象を確認し、火が消える前に、続けて《火生成》。
そのまま連続で《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》。
シュボボボボボと連続して、発火現象が発動する。
それは、まるで爆発しているようにも見えて――。
キーンと耳鳴りがした。
あ、やばい。
ぐにゃりと視界が歪む。
MP切れだ。
『睡眠耐性LV10が発動しました。』
『疲労耐性LV10が発動しました。』
倒れそうになるのを必死に堪えて、MPの回復を待つ。
《火生成》は1回の発動でMPを1ポイント使うようだ。
今、俺の最大MPは16ポイント。
いや、17ポイントに増えている。
だから、《火生成》を連続で発動できるのは、最大で17回。
17回目を発動するまでに、ヤツを倒しきらなくてはならない。
また、連続で《火生成》の発動を念じるため、回数をどこまで把握できるか不安だ。
ちょっとダサいけど、指で数えたほうがいいかもしれない。
それにしても、ちょいちょいMPが増えていくのはなんでなんだろう。
MP枯渇を経験すると、MPが増えるのだろうか。
今度、実験してみよう。
MP枯渇の苦しみが和らいできたので、俺は体育座りをして、MPの完全回復を待つことにした。
たしか、1MP3分くらいだったから、1時間くらい待たなくてはいけない。
時計がないので、体感だけど。
MP回復を待つ間に、ある事に気づいてしまった。
この世界には、魔法があって、レベルがあって、モンスターがいる。
昔、死ぬほどやったロールプレイングゲームそのものだ。
夢にまで見た憧れの世界。
剣と魔法の世界。
なのに俺は剣を持っていない!
初期装備は肉体である。
そんなゲーム聞いたことないから。
バグを疑うレベルである。
そもそもマクロスさんが最後にエクスカリバーとか渡すべきじゃないのか。
インチキくさい啓発セミナーみたいな事言いやがって!
何を言われたのか、あんましよく覚えていないが、ツボを買えば宝クジが当たって美女とヤリまくり! みたいな事を言われた気がする。
エロ本の裏表紙か!
せめて、ひのきのぼうくらいさあ!
あれ、棒ならその辺に落ちているじゃない。
ふとそんな事に気づいた。
荒野を歩いているとよく棒というか、木の枝が落ちているのだ。
ちょうど目の前にも、いい感じの木の枝が落ちている。
どの辺がいい感じかというと、俺がもう三十年くらい若くて、厨二病の片鱗を覗かせていたら、剣と呼んでいたかもしれないってレベルの枝なのだ。
なんとなく拾ってみる。
振り回してみると、なかなか痛そうな風切り音がした。
『〔エルダーウッドの棒〕を装備しました。攻撃力補正+2』
まさかのログ表示が発生した。
今、手に持つこの枝は、武器と判定されるらしい。
まあ、手ぶらよりはマシか。
とにかく、ついに俺も武器を手に入れたのだ!
欲しいのは剣だけど。
むしろ、エクスカリバーだけど。
ただ、最初は木の棒で、徐々に強くなっていくのも面白いかもしれない。
木の棒>銅の剣>鉄の槍>炎の剣>エクスカリバーみたいな。
装備が良くなっていくのも、RPGの醍醐味だよね。
武器の進化ツリーが見えた気がする。
でも、なんたらの棒って名前はダサい。
とりあえず、枝と書いて、デュランダルと読むことにする。
エクスカリバーは言い過ぎだけど、デュランダルくらいはいいんじゃなかろうか。
何よりも、名前かっこいいし!
ただ、急に武器の進化ツリーは見えなくなった。
そんなこんなで、棒を振り回していると、あっという間に1時間が経過した。
俺のMPは最大まで回復している。
落ちてる木の枝で1時間遊べる30代って、どうなんだろうかと思うが、今の俺は気にしない。
なぜならば。
新魔法スキル、連続《火生成》!
新武器、枝(デュランダル)!
新たな力を2つも手に入れたった!
この言い知れぬ無敵感。
もう誰にも負ける気はしない。
首を洗って待っていろ、レッドアイズホワイトビースト!
俺は手に枝(デュランダル)を持ちながら、歩きだす。
もと来た道を戻るように。
今度こそヤツの息の根を止めるのだ。
マジレスすると、ちょっとトラウマになりかけていたので、早めに克服しないとヤバイっぽいのだ。
イヤだって、俺今まであんなにボコボコにされた事ないもん。
どっちかというと充実した学生生活を送っていた俺は、いじめられたこともない。
殴り合いのケンカをしたこともない。
よく考えたら、親にだって殴られたことないかもしれない。
そんな俺をヤツは殴ったのだ。
今なら、ア○ロの気持ちがよく分かる。
いやいや、せっかく異世界に来たんだから、胸を熱くさせるようなバトルはむしろ望むところですよ。
問題は、相手がウサギさんということだ。
せめて魔王の腹心の暗黒騎士とか、ドラゴンとか、アル○マウェポンとかと死闘を演じたい。
出会って2種類目のモンスターと死闘を演じちゃダメだと思う。
これは、俺が充実した異世界生活を送るために、絶対に負けられない戦いなのだ!
そんなこんなでメラメラと闘志を燃やしながら、荒野をさまよっていると、ついにヤツに出会った。
ヤツは地面をぴょんぴょん跳ねたり、髭をひくひくさせたり、ごろごろ転がって背中を掻いたりしていた。
反吐が出るほど。
かわいらしかった。
クソが! なんて精神攻撃だ。なぜ精神耐性:LV5が発動しないんだ! バグってんのか!
その時、ヤツはつぶらな瞳で俺を見た。
ついに、見つかった。
どうする。とりあえず、赤ちゃん言葉で話しかけながら、もふもふの背中をなでにいくか!?
完全にヤツの術中にハマっていた。
しかし、前回もこんな感じで結果的にボコボコにされたのだ。
ヤツの外見に黙れされちゃダメだ。
こっちから仕掛けるのだ。
「うおおおおおお!」
俺は雄叫びを上げながら、走り出した。
そのまま、右手を掲げて、ウサギに集中する。
走りながらふと思う。
俺は魔法を使えるのに、なぜいつも接近戦を挑むのかと。バカかと。
それでももう止まれない。
なぜなら、すでにウサギさんは威嚇の顔をしているから。
アレは俺をボコボコにした時と同じ顔つきだ。
「ままよ!」
そのまま、《火生成》と念じる。
ボヒュッ!
《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》《火生成》!
ウサギの体中から発火現象が起こる。
シュボボボボと音を立てて、ウサギは火に包まれていく。
グラリと立ちくらみがした。
結局、《火生成》のカウントを忘れて、限界までMPを使ってしまった。バカなのかと。
これで倒せなかったら、もうボコられるしかない。
ウサギは火だるまになりながら、地面に崩れ落ちていく。
『4ポイントの経験値を獲得しました。』
『レベルが4になりました。』
『スキルポイント1を獲得しました。』
「うおおおお! 勝ったどおおおおお!」
俺は枝(デュランダル)を天に掲げて吠えた。
ただの勝ちではない、瞬殺オーバーキルである。
MP枯渇でふらつく足で、俺はなんとか踏みとどまる。
これでもうウサギは怖くない。二度とレッドアイズホワイトビーストなんて呼ばない。
これからはヤツが経験値供給源(ウサギ)だ!
そして、今回の事で連続《火生成》が十分使えることが判明した。
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カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
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『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
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