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第五章 異世界ですが、再就職をしたいです
3.衣食足りて礼節を知る
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ちょうど日が沈んだばかりの街を、ユーリオットさんは迷いのない足取りで歩いていく。
私はまわりをきょろきょろ見ながら、それに続く。
どうやら広場は、町の一番低いところにあったようで、どの道もゆるやかに上り坂になっていた。石造りの柱に、漆喰を塗りこんだオリエンタルな建物が目に付く。
道を挟んで上のほうは隣の建物とロープをはり、洗濯物を干している家もある。そろそろ取り込まないと逆に湿ってしまうと思うのだが。
そして私は窓が光を反射したことに気づく。なんと分厚いガラスが嵌められているようだった。さすがに透明とまではいかないが、くもりガラスのようなそれは日光をじゅうぶん取り入れてくれるだろう。
家々の窓際にはときおり鉢植えの植物まで見えたりもする。まるきり地中海沿岸のヨーロッパの印象だ。
加えて噴水でもみられたように、上水道すら整っているときた。すさまじい技術である。
いま歩いている石畳も、でこぼこも少なく滑らかでとても歩きやすい。
私はビエチアマンでギィが寝かせてくれたままの格好。つまり裸足だ。なおさらその歩きやすさを感じる。
さすがに電線はないが、あっても驚かないくらいの近代っぷりだ。
坂道を登るように歩くにつれ、ユーリオットさんを見て眉をひそめる人たちが多くなってきたことに気づいた。
なんだろう。「ぶさいくねえ」という感じではない。まるで腫れ物に触るかのような、そこには畏れのようなものも含んでいるような。
買い物かごを腕に下げた女性が、口元を覆いながら呟いたのが耳に届く。
「……また、出歩いているわ。テクナトディアボルが」
てくなと……何?
何にしろ、ほめ言葉ではないようだった。ユーリオットさんは聞こえているだろうに、なんでもないことのように淡々と歩いていく。
そしてしばらく歩いて彼が門をくぐった先は。
アブドロの屋敷すら霞むような、大豪邸だった。
※
白亜の壁で周囲と区切られ、門を超えた中は、美しい西洋風の庭とアプローチが続いている。
勝手知ったるというように歩くユーリオットさんの、ここは彼の家、なのだろうか。私はちょっと猫背になりながら、おそるおそるついていく。
正面に見えてきたのは、一階建ての広々とした平屋。漆喰にはしみひとつなく、燦々と輝いている。
その表玄関ではなく、ユーリオットさんは裏手のほうへ回りこむ。建物から外れて、草花が茂るところを歩いていく。
巨大な母屋が区切れた先、そのはるか遠く。小さな邸のようなこじんまりとした家屋が奥に横たわるのが見えた。その邸のまわりにはさらに小さな庭と池まであるようだった。
そしてその小さな邸にたどり着き、ユーリオットさんが扉を開こうとしたとき、母屋のほうから声がかけられた。
「御曹司。また外出を?」
私はびくりと肩をゆらしながら、ユーリオットさんはうんざりしたように、声のほうを見た。
少し離れたところ。家と家とをつなぐレンガの道の上に、白い簡素な服に身を包んだ壮年の女性が立っている。髪はぴしりと結い上げられ、清潔そうな前掛けはまるで女中のようだった。
「度がすぎれば旦那様にご報告しなければなりません。その旨、どうか心にお留め置きください」
「うるさい。言いつけたければ言えばいい。おれに指図をするな」
「御曹司、そのものは」
女性がちらりと私を見た。まるで中古の電子レンジを品定めするような視線に、私はまったくもうと思う。好意的に見られるとは思っていないが、最近向けられる視線といえばこういうのばかりだ。
「おまえがおれに付けた女中がな、今朝がた消えていたぞ。おまえの選別眼も、まるで進歩しないな? だからかわりに拾ってきた」
なるほど。そういうわけで私は拾われたのか。そしてどうやらこの女性は、女中のなかでもかなり上の位にいるらしい。
彼女が付けた下働きが、ユーリオットさんの美貌(この世界では、醜さだったか)に恐れをなして、逃げ出したのだろう。
じっさい、クレオパトラも裸足で逃げ出す美しさなのだ。
「だからこいつは、おれのものだ。ゾエ、おまえが指図できると思うな」
ゾエというのがこの奥女中の名前なのだろう。ぴくりと眉を動かしたが、彼女は黙って目礼をした。私に一瞥もくれずに、母屋でもなく、この邸でもなく、さらにその奥――どうやら瀟洒な東屋ともうひとつの別邸がある――のほうへ足音もなく去っていった。
彼女をやり込めて、すこしうれしかったのだろう。ユーリオットさんは満足げに鼻を鳴らす。
「聞いていただろう。おまえはおれの言うことには従わねばならない。身の回りのこと、すべておまえに任せるぞ」
「はあ。食事とベッドを与えてくれるならやりますが」
「この邸でおれの世話をしながら暮らせ。今朝逃げ出した女の部屋を使えばいい」
「なるほど。炊事洗濯はできますよ」
「は? 裁縫は」
「裁縫」
「なんだ、その情けない声は」
「苦手でして」
「では慣れろ」
命令しなれている。ひとつ間違えば尊大とも取れるのに、あまりに堂々としているため、自然と頭を垂れてしまいそうになる。
いい家のお坊ちゃまだったのだろうか。それにしても、あふせんてぃす? じょす・あぶ……? 耳慣れない言葉が多くて混乱する。
ついてこいと言われ、私たちが住む邸を簡単に説明された。
玄関、リビング、書斎に寝室。どの部屋も、置かれた調度品は重厚で、安価なものではないと知れる。
それから台所に、トイレ、風呂まである!
おっ、お風呂!!
私はお風呂を見て大興奮した。どうやらここでは水が豊富らしい。それも美しい白い石を滑らかに削ったバスタブだ。
風呂場の外を覗き込めば、そこには大きな釜と薪割り小屋のようなものもあった。どうやらお湯を沸かして移し変えるシステムだ。追い炊き式ではない。そういえば古代ローマって追い炊き式の風呂釜まであったんだっけ。ああああどうにかして入りたい。温かいお風呂とか、この世界に来てからこのかた入浴してないよ。
さらにこの邸の裏手には、小ぶりながらも井戸があった。ククルージャと同じくアナログに手で汲み上げるようだが、なんとこの邸専用のものだという。井戸一個設置するのって、いくらかかるんだろう。ブルジョワジー!
鼻息荒くなった私を不気味そうに見て、最後に小間使い用の(つまり、私の)部屋を見せてくれた。
6畳ほどの部屋に、寝台と机、燭台に椅子。下宿のようなスタイルだが、屋根があって寝れるなら文句はない。
私のその部屋の窓から、木々のすきまの奥に小さな家を見つけた。先ほどゾイさんが向かっていった瀟洒な別邸だろう。
「ユーリオットさん、あの邸って」
私が指をさした瞬間、ユーリオットさんの顔色が確かに変わった。まるで不意に紙で手を切ったときのような渋面が浮かぶ。しかしそれは一瞬のことで、すぐに元どおりの不機嫌そうな顔になった。
「――おまえには、関係ない。近寄るな」
おまえはこの邸のことだけ回せばいいと言われたので、私は無言でうなずく。
ユーリオットさんはまるで何かの痛みをやり過ごそうとするかのように、動きを止めてその場に立っている。
機嫌を損ねないように、私は横目で様子を伺う。
大人だったユーリオットさんと、表情の動かし方はそっくりだ。だいたいいつも不機嫌そうに口は結ばれ、眉根も険しい。ただそんな中でも、四人といるときの彼はいくぶん穏やかに見えていた。仕方ないなあというように、あるいは呆れたように、その口もとが緩むときがあった。
けれどいま、この目の前にいる少年は、ひとりだ。
未来の彼の寛いだ面立ちを知っているだけにやるせないものがあって、私は歯がゆさを覚える。
「どうしておれを見ている」
「み、見る」
「目をそらさないのか」
「そらす?」
「無理をしているのか。気など遣うな、その方が不愉快だ」
「不愉快」
急な話題に私はほとんどおうむ返しだ。いつだったかも、こんなことがあったような。
「哀れんでいるのか? テクナトディアボルを」
私は返す言葉を持たない。その意味がわからないのだ。
ユーリオットさんは私の目を見ている。心の底を浚う目だ。隠し事はないか、恐怖はないか、そして哀れみはないか。
しかしその分析するかのような瞳は、徐々に困惑へと変わっていく。
調理の仕方のわからない野菜でも見たかのように、なげやりに視線を逸らされた。
「奇怪な女め。おかしな拾い物をした」
奇怪! 花も恥らう美少年から言われると、やや悲しいものがある。
ただ本心からというよりは、戸惑いのために出てきた言葉にも思えたので、私は首を傾けてあいまいにうなずいておいた。
ユーリオットさんはそれからリビングへ移動して、私への支払いなども要点を話してくれた。
子どもなのにどうして自由に使えるお金まであるのかとか、親御さんは、とか気になることはいろいろあったが。
とりあえず話の途中で頭を抱えた。
「なんだ、まさか算術を知らないのか」
「いや……それはまあ、いいんですが」
日本円からアメリカドルにようやく慣れたと思ったら、中国元の登場! といったところか。
ククルージャともビエチアマンとも異なるお金のシステムに、私はあえなく撃沈する。
苦痛なるその説明の合間に、情けなく鳴る胃の悲鳴が響き渡る。ユーリオットさんは納得がいったように、おもむろにうなずいた。説明を中断し、台所からオレンジや葡萄を持ってきて差し出してくれた。
つやつやと光るみずみずしい果物。私がつばを飲み込む音は、部屋中にこだました。
恥知らずにも、がっついた。
衣食足りて、なんとやらだ。
私はまわりをきょろきょろ見ながら、それに続く。
どうやら広場は、町の一番低いところにあったようで、どの道もゆるやかに上り坂になっていた。石造りの柱に、漆喰を塗りこんだオリエンタルな建物が目に付く。
道を挟んで上のほうは隣の建物とロープをはり、洗濯物を干している家もある。そろそろ取り込まないと逆に湿ってしまうと思うのだが。
そして私は窓が光を反射したことに気づく。なんと分厚いガラスが嵌められているようだった。さすがに透明とまではいかないが、くもりガラスのようなそれは日光をじゅうぶん取り入れてくれるだろう。
家々の窓際にはときおり鉢植えの植物まで見えたりもする。まるきり地中海沿岸のヨーロッパの印象だ。
加えて噴水でもみられたように、上水道すら整っているときた。すさまじい技術である。
いま歩いている石畳も、でこぼこも少なく滑らかでとても歩きやすい。
私はビエチアマンでギィが寝かせてくれたままの格好。つまり裸足だ。なおさらその歩きやすさを感じる。
さすがに電線はないが、あっても驚かないくらいの近代っぷりだ。
坂道を登るように歩くにつれ、ユーリオットさんを見て眉をひそめる人たちが多くなってきたことに気づいた。
なんだろう。「ぶさいくねえ」という感じではない。まるで腫れ物に触るかのような、そこには畏れのようなものも含んでいるような。
買い物かごを腕に下げた女性が、口元を覆いながら呟いたのが耳に届く。
「……また、出歩いているわ。テクナトディアボルが」
てくなと……何?
何にしろ、ほめ言葉ではないようだった。ユーリオットさんは聞こえているだろうに、なんでもないことのように淡々と歩いていく。
そしてしばらく歩いて彼が門をくぐった先は。
アブドロの屋敷すら霞むような、大豪邸だった。
※
白亜の壁で周囲と区切られ、門を超えた中は、美しい西洋風の庭とアプローチが続いている。
勝手知ったるというように歩くユーリオットさんの、ここは彼の家、なのだろうか。私はちょっと猫背になりながら、おそるおそるついていく。
正面に見えてきたのは、一階建ての広々とした平屋。漆喰にはしみひとつなく、燦々と輝いている。
その表玄関ではなく、ユーリオットさんは裏手のほうへ回りこむ。建物から外れて、草花が茂るところを歩いていく。
巨大な母屋が区切れた先、そのはるか遠く。小さな邸のようなこじんまりとした家屋が奥に横たわるのが見えた。その邸のまわりにはさらに小さな庭と池まであるようだった。
そしてその小さな邸にたどり着き、ユーリオットさんが扉を開こうとしたとき、母屋のほうから声がかけられた。
「御曹司。また外出を?」
私はびくりと肩をゆらしながら、ユーリオットさんはうんざりしたように、声のほうを見た。
少し離れたところ。家と家とをつなぐレンガの道の上に、白い簡素な服に身を包んだ壮年の女性が立っている。髪はぴしりと結い上げられ、清潔そうな前掛けはまるで女中のようだった。
「度がすぎれば旦那様にご報告しなければなりません。その旨、どうか心にお留め置きください」
「うるさい。言いつけたければ言えばいい。おれに指図をするな」
「御曹司、そのものは」
女性がちらりと私を見た。まるで中古の電子レンジを品定めするような視線に、私はまったくもうと思う。好意的に見られるとは思っていないが、最近向けられる視線といえばこういうのばかりだ。
「おまえがおれに付けた女中がな、今朝がた消えていたぞ。おまえの選別眼も、まるで進歩しないな? だからかわりに拾ってきた」
なるほど。そういうわけで私は拾われたのか。そしてどうやらこの女性は、女中のなかでもかなり上の位にいるらしい。
彼女が付けた下働きが、ユーリオットさんの美貌(この世界では、醜さだったか)に恐れをなして、逃げ出したのだろう。
じっさい、クレオパトラも裸足で逃げ出す美しさなのだ。
「だからこいつは、おれのものだ。ゾエ、おまえが指図できると思うな」
ゾエというのがこの奥女中の名前なのだろう。ぴくりと眉を動かしたが、彼女は黙って目礼をした。私に一瞥もくれずに、母屋でもなく、この邸でもなく、さらにその奥――どうやら瀟洒な東屋ともうひとつの別邸がある――のほうへ足音もなく去っていった。
彼女をやり込めて、すこしうれしかったのだろう。ユーリオットさんは満足げに鼻を鳴らす。
「聞いていただろう。おまえはおれの言うことには従わねばならない。身の回りのこと、すべておまえに任せるぞ」
「はあ。食事とベッドを与えてくれるならやりますが」
「この邸でおれの世話をしながら暮らせ。今朝逃げ出した女の部屋を使えばいい」
「なるほど。炊事洗濯はできますよ」
「は? 裁縫は」
「裁縫」
「なんだ、その情けない声は」
「苦手でして」
「では慣れろ」
命令しなれている。ひとつ間違えば尊大とも取れるのに、あまりに堂々としているため、自然と頭を垂れてしまいそうになる。
いい家のお坊ちゃまだったのだろうか。それにしても、あふせんてぃす? じょす・あぶ……? 耳慣れない言葉が多くて混乱する。
ついてこいと言われ、私たちが住む邸を簡単に説明された。
玄関、リビング、書斎に寝室。どの部屋も、置かれた調度品は重厚で、安価なものではないと知れる。
それから台所に、トイレ、風呂まである!
おっ、お風呂!!
私はお風呂を見て大興奮した。どうやらここでは水が豊富らしい。それも美しい白い石を滑らかに削ったバスタブだ。
風呂場の外を覗き込めば、そこには大きな釜と薪割り小屋のようなものもあった。どうやらお湯を沸かして移し変えるシステムだ。追い炊き式ではない。そういえば古代ローマって追い炊き式の風呂釜まであったんだっけ。ああああどうにかして入りたい。温かいお風呂とか、この世界に来てからこのかた入浴してないよ。
さらにこの邸の裏手には、小ぶりながらも井戸があった。ククルージャと同じくアナログに手で汲み上げるようだが、なんとこの邸専用のものだという。井戸一個設置するのって、いくらかかるんだろう。ブルジョワジー!
鼻息荒くなった私を不気味そうに見て、最後に小間使い用の(つまり、私の)部屋を見せてくれた。
6畳ほどの部屋に、寝台と机、燭台に椅子。下宿のようなスタイルだが、屋根があって寝れるなら文句はない。
私のその部屋の窓から、木々のすきまの奥に小さな家を見つけた。先ほどゾイさんが向かっていった瀟洒な別邸だろう。
「ユーリオットさん、あの邸って」
私が指をさした瞬間、ユーリオットさんの顔色が確かに変わった。まるで不意に紙で手を切ったときのような渋面が浮かぶ。しかしそれは一瞬のことで、すぐに元どおりの不機嫌そうな顔になった。
「――おまえには、関係ない。近寄るな」
おまえはこの邸のことだけ回せばいいと言われたので、私は無言でうなずく。
ユーリオットさんはまるで何かの痛みをやり過ごそうとするかのように、動きを止めてその場に立っている。
機嫌を損ねないように、私は横目で様子を伺う。
大人だったユーリオットさんと、表情の動かし方はそっくりだ。だいたいいつも不機嫌そうに口は結ばれ、眉根も険しい。ただそんな中でも、四人といるときの彼はいくぶん穏やかに見えていた。仕方ないなあというように、あるいは呆れたように、その口もとが緩むときがあった。
けれどいま、この目の前にいる少年は、ひとりだ。
未来の彼の寛いだ面立ちを知っているだけにやるせないものがあって、私は歯がゆさを覚える。
「どうしておれを見ている」
「み、見る」
「目をそらさないのか」
「そらす?」
「無理をしているのか。気など遣うな、その方が不愉快だ」
「不愉快」
急な話題に私はほとんどおうむ返しだ。いつだったかも、こんなことがあったような。
「哀れんでいるのか? テクナトディアボルを」
私は返す言葉を持たない。その意味がわからないのだ。
ユーリオットさんは私の目を見ている。心の底を浚う目だ。隠し事はないか、恐怖はないか、そして哀れみはないか。
しかしその分析するかのような瞳は、徐々に困惑へと変わっていく。
調理の仕方のわからない野菜でも見たかのように、なげやりに視線を逸らされた。
「奇怪な女め。おかしな拾い物をした」
奇怪! 花も恥らう美少年から言われると、やや悲しいものがある。
ただ本心からというよりは、戸惑いのために出てきた言葉にも思えたので、私は首を傾けてあいまいにうなずいておいた。
ユーリオットさんはそれからリビングへ移動して、私への支払いなども要点を話してくれた。
子どもなのにどうして自由に使えるお金まであるのかとか、親御さんは、とか気になることはいろいろあったが。
とりあえず話の途中で頭を抱えた。
「なんだ、まさか算術を知らないのか」
「いや……それはまあ、いいんですが」
日本円からアメリカドルにようやく慣れたと思ったら、中国元の登場! といったところか。
ククルージャともビエチアマンとも異なるお金のシステムに、私はあえなく撃沈する。
苦痛なるその説明の合間に、情けなく鳴る胃の悲鳴が響き渡る。ユーリオットさんは納得がいったように、おもむろにうなずいた。説明を中断し、台所からオレンジや葡萄を持ってきて差し出してくれた。
つやつやと光るみずみずしい果物。私がつばを飲み込む音は、部屋中にこだました。
恥知らずにも、がっついた。
衣食足りて、なんとやらだ。
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