Day Walker

みさ☆バニー

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Day Walker 17

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高木君から、メールが来た。
 『今夜、お家に伺っても大丈夫ですか?仕事のお話がありまして。』

 ん?仕事?高木君、なんの仕事だったけ?
 「確か、広告系の仕事だよ。」
 華が教えてくれた。俺に何の用だろう?株取引の話かな?

 夜、夕食が終わる頃高木君が来た。
 「いらっしゃい。ご飯は?」
 「済ませてきました。・・・蓮さんもいらっしゃいますか?」
 「うん、居るよ。蓮も関係あるの?」
 なんだか複雑な表情してる。
 「いえ、直接的には関係無いです。凛さんだけに用件がありまして。」
 玄関で立ち話もなんだから、リビングへ通す。
 
 「で、俺に用件って?株かなんか?」
 「いえ、・・・ハッキリいいますとモデルやってみません?ちょうどイベントの騒動の時に変化してた凛さんを見かけたうちの親会社の男性スタッフが、一緒にいた僕にあの金髪ロングヘアの男性を紹介しろと言われまして。」
 
 「凛がモデル!?反対!」
 早速、蓮が反対する。
 「落ち着けよ、どんなモデルかまだわかんないだろ?」
 「こんな感じになるかと。」
 担当カメラマンが今まで撮ってきた写真を見せてもらう。ん~なかなかセクシーだな。
 「俺、絶対反対!」
 資料見せられ、余計反対してる。わからなくも無いけど。だけど、高木君の営業成績にも関わるし、無下に断れない。悩む。
 「やってみたら?眼はカラコン使って青くすれば違和感ないし。」
 華は勧めてくる。板挟みだ。
 「パパ、女の私から見ても美形な方だし。若返ってるから上手くいくと思うけどなぁ。」
 そう?華から褒められるとその気になるなぁ。
 「どうですか?今、中性的な男性が受けが良くて、ウチの会社でもよく採用してますから。」
 反対~反対~と1人騒いでる奴がいるけど。
 「撮影場所は、イベント会場の近くのスタジオになります。交通費と日当、食事もでます。」
 「何か準備いる?」
 「いえ、ヘアメイクも衣装もこちらで準備します。」
 どうしよ~かなぁ。時間はあるし、華は薦めるし。
 「男性スタッフ曰く、絶対にスカウトしろ!と言われて正直、僕も悩みました。」
 そうだよな、なんせ彼女の父親が世間に出るんだ。
 「すぐに返事しなきゃ駄目かな?」
 「すいません。僕自身が依頼を留めていたので出来れば今日、返事を頂ければ幸いです。」
 そうか、う~ん。あー、後ろでギャーギャー五月蝿い。まぁ何かマイナスになる訳じゃないし。
 「因みに、日当は、15万です。」
  え?そんなに貰えるの?試しに男性モデル日当で検索したら、3万程度。マジか。
 「う~不安あるけど、それだけ必要とされてるなら、やってみようかな?」
 高木君、嬉しそうだ。蓮は・・・ガックリ肩を落としている。
 「まぁ、蓮。別にヌードモデルじゃないし、そんなに心配する事ないよ。」
 「ヌードじゃ無くてもあの写真みたら、安心出来ない!」
 そりゃ確かにセクシーショットばかり。肌の露出が高い。
 「個人的に見るなら構わないけど広告に使われるんだろ?」
 「えぇ、確かファッション誌に掲載されます。反響が良ければ駅ビルの壁1面に出ます。」
 え?本当?それはちょっと・・・
 「あぁ、駅ビルと言っても関東だけですから。」
 いや、それでも貼り出されるだろ?恥ずかしいなぁ。でも、やるって言っちゃったし。覚悟決めるか。
 「分かった。やるよ。日程はいつ?」
 「本当ですか!有難う御座います!これが契約書類です。日程は、多分来週の半ばになると思います。」
 は、早いんだ。
 「俺も同行して良い?」
 「蓮さんの分の交通費は出ませんが、それで構わないなら。」
 「交通費位、安いもんだ。俺も行く。」

 「パパ、蓮は連れて行かない方が良いと思う。どうやら、蓮、健太の会社の株主だから撮影に口出すよ。きっと。」
 そうだな。有利な立場利用して色々言ってきそうだ。
 「蓮が一緒なら、俺、モデルやんない。」
 え?!と高木君が驚く。
 「本当ですか?今メールで、凛さんが引き受けてくれた件を親会社に報告しちゃったんですが・・・」
 君も仕事、早いな。蓮は喜んでるが、思惑通りには行かない。
 「俺、モデルやるよ?蓮、お留守番ね。」
 「へ?マジかよ~、やるの?本気で言ってる?」
 「うん、本気。ちょっと小遣い稼ぎにもなるし。」
 「それが良いよ、蓮。私と一緒にお留守番。」
 「僕が同行しますから安心して下さい。過激にならないように見学します。」
 本当ぅ~頼むよ~と蓮が高木君に抱きつく。うわー、180cm超えの男同士の絡み引くわー。

 撮影当日、朝早く出発。駅まで蓮が送ってくれた。
 「変な要求してきたら、ちゃんと拒否しろよ?あと肌の露出もね!」
 はいはい、分かってます。昨夜もモデルの件で、グズグズ言ってたじゃないか。
 「本当は、世間に出したくないのにっ!それにスタジオまで1人って聞いてなかったぞ。大丈夫なの?」
 ガブリエルから言われた(自分の貞操は自分で守れ)が、ふと浮かんだ。
 「大丈夫だって。ちゃんと対応できるから。」
 不安だけど。
 「カメラマンが男性ってのも、聞いてなかった。」
 まだなんか言ってる。
 「もう、いけよ!大丈夫って言ってるだろ?信頼しろよ!」
 そう吐き残して駅に入る。蓮は惜しむ様に帰っていった。

 さてと、ここら辺の筈。高木君に電話。
 「今、近くまで来てるけど、スタジオ分かんないし、変化先にしてた方がいい?」
 〔そうですね、カラコン入れて変化しておいて下さい。目の前のコンビニに僕が迎えに行きます。〕
 コンビニに入ってカラコンを付ける。そして変化。化け物退治以外で変化なんて珍しい。肌も白くなるから、まるでハーフみたいだ。顔の作りは、まぁ日本人だからね。
 「お疲れ、高木君。これで良いかな?」
 「はい、充分です。衣装合わせとか打ち合わせもあるんで撮影自体は午後からになります。」
 簡単に今日の段取りを説明してくれた。マネージャーみたい。これを機にモデルで活躍したりして、なんて考えみる。
 「カメラマンとモデル担当が気に入ればまた依頼くるかもしれませんね。」
 「蓮が発狂する映像が浮かぶな。」
 クスクスッと笑う。
 「蓮さんの気持ち分かりますよ。こんな恋人、晒し物にしたく無いですから。」
 あら、蓮の味方なんだ。仕事だから仕方ないんですよ、と高木君も笑う。

 スタジオに入り、衣装合わせや打ち合わせ。初めての事ばかりで、何か聞かれてもハイッしか言ってない。大丈夫か俺?
 しかし思いの外、男性スタッフが多い。女性が多いと思っていたのに。カメラマンは、早く撮影したがるし、メイクの人はまだ駄目です!と言い、衣装さんは数パターンの服で悩み始めた。ザワザワしてる。小声で
 「高木君、撮影っていつもこんな感じなの?」
 「いえ、もっとスムーズですが、多分凛さんの能力の影響で各自がやりたい事を主張してます。」
 そうなのか。やっぱ影響でてるのね。

 ヘアメイクをやって貰う。
 「凄く綺麗な肌ですね、シミ1つ無い。キメも細かいし、ファンデーションなんて要らないですよ。テカリ防止の粉とリップだけで済みますね。」
 ニコニコしながらメイクさん(男性)やってくれる。そこを退けとばかりに、ヘア担当のスタッフ。無論、男性。
 「普通脱色したりすると荒れてゴワつくのに、まるで生髪みたいに滑らかですね。傷んで無い。」
 何か必要以上に触れてくるが、気にしても仕方ないな。

 カメラマンがスタッフ達を煽る。
 「まだか?サッサとしろよ!」
 ちょっと怖い。差し出された衣装、コレ着るの?あ~蓮がキレそうだ。カメラマンも怖いし、腹を決めて衣装に着替える。

 「おぉー!良いじゃないか。イメージ以上だ。」
 カメラマン、機嫌良くなった。良かった。衣装を指示して、微調整。これって、衣装の意味あるんすか?おぃ、高木君も止めないのかよ。俺は為すがまま。お人形状態。表情もカメラマンが指示。そんなに厳しくない。

 撮影も終わり、カメラマンもスタッフ達も満足気。
 「あのー今撮った奴、データ貰えませんか?」
 カメラマンに聞く。
 「本当は、著作権云々で駄目だけどどこにもアップしないって約束してくれるなら、良いよ。」
 やったー。データを貰い高木君にも挨拶して帰宅する。駅デパで色々買って新幹線を待つ。
 「モシモシ、蓮?今大丈夫?」
 〔うん、大丈夫。終わったの?〕
 「うん、終わった。蓮が好きなツマミも買って、電車待ちだな。降りる駅に近づいたらメールするよ。」
 〔分かった。気を付けて。〕

 新幹線は指定席で隣は女性。安心して休める。
 降りる駅にはもう蓮が居た。
 「お帰り。1人で大丈夫だった?」
 「うん、特に何も無かったよ。ほれ、お土産。」
 ほいっとUSB メモリーを渡す。
 「どこにもアップしない約束で貰って来た。先に見たいだろ?」
 「お、おぉ!見たい!ツマミより先にこれ見る。」

 帰宅すると早速、画像をチェック。

 華も蓮も無言。

 「健太、止めなかったの?」
 「止めるも何も、始終無言。俺も初めてだし、為すがまま。まな板の鯉状態でした。」

 「次、依頼あっても引き受けるなよ、わかった?凛。」
 「え~、結構楽しかったし、良い出来じゃない?」
 出来の良し悪しが問題じゃないぃぃ!と絶叫する蓮。

 「これ、何の雑誌かわかる?」
 「いや、聞き忘れた。」
 「ちょっと恥ずかしいかも。これ友達に見られるの。」

 えぇ酷くない?頑張ったのに。まぁいいか。お金も入ったし、また依頼来たらその時に考えよ。


 翌日、華は学校、蓮は仕事で誰も居ない。
 「あれは、何だ?」
 おぉ!また突然のお出ましガブリエル。
 「うん、何が?」
 「昨日、自分の肖像を撮っていただろう。あれはどうするんだ?」
 「雑誌に載るねぇ。多分。」
 「君の考えが良く理解出来ない。君は同性を惹きつける能力があるんだぞ?」
 「分かってるよ。だから何だよ。」
 「君の能力は、君に関係する物からも僅かとは言え、影響がでる。ようは自ら餌になった様な事だ。」
 ・・・何ですかソレ。知りませんがな。
 
 「俺、どうなるの?」
 「まぁ、多少騒しくなるかもな。雑誌を出す会社がえらい目に遭うだろうな。」
 もっと良く考えて行動しろ、と怒られてガブリエルは消えた。


 何、また俺の所為なの?俺が悪いのかよ!


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