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01 勇者の死と転生
しおりを挟む人魔大戦と呼ばれた人と魔族の大きな戦争が終わった。
この俺、勇者ジークと仲間たちが中心となって終わらせた。
魔王を倒し、魔族を壊滅させ、地上からその姿は消えた。
戦争が終わり、多くの国が俺に仕官を求めてきたが、俺は全て断った。
国のしがらみなんてごめんだ。
俺は仲間に協力してもらい、一つの嘘を世界に吐いた。
「魔王は復活を予言した。俺はそれを監視するために、魔王城で修行を続ける」
とにかく頑丈な不壊の魔城と呼ばれた魔王城に居座り、そこで本当に修行を続けた。
自分を鍛えるのは嫌いじゃないし、俺がどの勢力にも味方しない良い理由にもなったのか、生活は周辺国が共同で見てくれるようになった。
俺の提案は、案外いい案だったのかもしれない。
たまに様子を見に来てくれる仲間たちの変化で時間の流れを感じながら、修行を続けていた。
年に一回は究極魔法を城にぶつけていたら、その轟音が『勇者の警鐘』なんて言われるようになったりした。
あともうちょっとで破壊できそうなんだが、その後少しが届かない。
あと一歩はただの物理力ではないのではないか?
そんなことを考え、修行し、その年の成果を究極魔法の形で魔王城にぶつけていた。
いたんだよ。
「ああう」
なんて声が俺の耳に届いた。
赤ん坊の声?
いや、赤ん坊なんて何年見てない?
確か、結婚した仲間が自分の子を見せに来た時も、歩けるぐらいの大きさになっていた。
となると、ちゃんと赤ん坊の声を聞いたのなんて、何十年も昔に……。
「うあう」
「起きちゃったねぇ、アル」
嬉しそうな女性の声が赤ん坊に話しかけている?
いや、妙に声が近い。
女性は俺に話しかけていないか?
どういうことだ?
視界が悪いな。
どうしてだ?
なにが起こった?
いや、これは……。
俺が、赤ん坊になっている?
なんてこった。
自分が赤ん坊になっていると気付いてから、何年かが過ぎた。
自分で歩けるようになったし、舌足らずだが喋れる。
この頃になると、自分が何者になってしまったのかもわかってきた。
アルブレヒト・ヴァルトルク。
ヴァルトルク王国の、なんと第一王子だという。
国のしがらみが嫌で一計を案じて魔王城に引き籠った俺が、まさか王子になってしまうとは。
しかも、俺の母親、王妃ソフィー。
彼女の父親はマクシミリアン・アンハルト侯爵。
かつての仲間だ。
金髪の眉目秀麗な男なのに、負けず嫌いな剣の達人。
そして貴族でありながら、ただの村人である俺とも対等の立場で話をしてくるような男。
そんな、かつての仲間が、いまでは立派な爺さんになってしまっている。
しかも、血縁上でも祖父さんとなってしまった。
どういう因果が起きているんだろうな?
生まれ変わり?
そもそも俺は死んだのか?
死んだだろう前後のことを思い出せないな。
ただ、勇者ジークの死はソフィーたちの会話から漏れ聞こえてきた。
その時、不壊の魔城たる魔王城が跡形もなく破壊されていたと、聞いた。
では、俺は破壊に成功したのか?
それとも……別のなにかが起こったのか?
どうにもわからない。
とはいえ、いまのところなにかが起きたという話は聞かない。
嘘が真になったようではないなら、まだいいのだけれど。
そんなことを考えていると、ある日、事件が起きた。
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