ただの癖じゃ足りない者達へ

暦ちき

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第一章 穴

穴⑧ 刺激的な日々②

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今週末も私はクマさんに抱かれる。
 
特殊性癖マッチングアプリから出会った、
世界で唯一私の性癖を理解し、愛してくれる人。

私の性癖は鼻の穴。
鼻の穴を太い指で突っ込まれ、グイグイと奥へとねじ込み恥ずかしい姿にして欲しい。
私はただの男女の性器を出し入れするだけじゃ物足りないもの。

クマさんは自分の指で女の人が悦ぶ姿が癖。
実際クマさんの指は凄く気持ちいい。
私がどこを攻められどうして欲しいのか、
攻め続けるだけでなく、途中でやめて相手の反応やお強請りを楽しんだりしている。
飴と鞭が上手い。相手が何を求めているのか、
どうしたら快楽に達せるのかクマさんはわかるのだ。

だけどわからない。
クマさんは行為中は、私が性癖に溺れて気持ちよくなっている姿を優しく見守っているようにも見えるが、どこか冷めているような冷酷な一面もあるように見える。
なんでそう思うのかは私のただの直感なのだけど。

「クマ……さん……今日もイぃです」

私はクマさんに鼻の穴を入れられている。
太く逞しく、ウインナーのようなゴツイクマさんの指が。私の小さな鼻の穴の中に。

もう今日はどのくらい、鼻の穴に指が入った状態だろうか。
15分、30分まではいかないが長い時間入れられている。

苦しい。鼻が詰められ口呼吸しか出来ない。

クマさんのハァハァという鼻息と、
興奮した息が私の顔にかかる。

クマさん、私が気持ちよくなってる姿に興奮してるのね。
他人に鼻の穴を突っ込まれた、下品で間抜けな姿だけど。

「あっ……!!!」

クマさんが一気に指を鼻の穴から放す。
私の鼻の穴から抜けるクマさんの太い人差し指と中指。
クマさんの指には私の鼻の穴から分泌された、
汚い鼻水も添えて。

やっと息が吸えた。
この新鮮な息を吸えるのも開放的で気持ちいい、
とほっと束の間にまたクマさんの太い指が私の鼻の穴に収まる。

ズドン!!!!と指の重みが鼻の穴に。
重く受け止める。

「痛っ!!!」
クマさんの指の爪が当たる。
そういえば今日はいつもより、
少し爪が伸びてたっけ。それでも短いけど。

その時口の中に重たい液体が流れる感覚がした。

なんだろ、この重たい嫌な感じ。
微かに血の味がする。
さっきクマさんの爪が鼻の穴を傷付けたんだ。
鼻の穴が指で塞がってるから、
口の中に流れてきたのか。

「クマさん、助けて、、、血が!!!」
口の中に血がドロドロと流れて気持ち悪い。
こんなの初めてだ。

だけどクマさんはだから何だ?と言った冷静な顔で、またさらに激しく指を上下左右に動かした。

あぁ……!!!
クマさんの太い指が動いてる!!!
私のだらだらと流れ続けている血と鼻の穴の中で。

クマさんは相変わらず冷静な顔つきだ。
少し興奮した鼻息、盛り上がる股間。
だけど決して襲ってこない。
クマさんの突起物はまだ私の正式な性器にはハマっていない。

どうして、どうしてこれだけでいいの。
私は嬉しいけど変なの。

ラブホテルで男女が二人。
流れる血を受け止められず口から血を出し、
鼻の穴をガシガシと攻められる女。
そして、その女の目を離さず冷静な顔つきで女の鼻の穴に指を入れ遊ぶ男。

変なの、私達って変態。

鼻の穴が限界に近い。
こんな変な状況初めて。

鼻の穴を拡げられ脳がふわふわと浮く気持ちいい感覚と、口から血が流れ出る不快感。

これは一体なぁに。


 

そして私は果てた。
口と鼻から血を出しながら。

終わった後クマさんは頭を撫でて、
はい!と笑顔でタオルを渡してくれた。

「クマさん……」

「キョウコさんごめんね。痛かった?苦しかったですか?」
子供を慰めるかのように優しく問うクマさん。

「ううん、気持ちよかったです」

「良かった。とても苦しそうだったから、早くイかせたかったんだ」

クマさんはハハハと声を上げ笑う。

苦しかったから?
私は気持ちよさと快楽で溺れていた姿が、
クマさんにとっては解放を求める者のように見えたのだろうか。

わからない。
だけどただ一つ言えるのは、私は今まで人に理解されなかった性癖をクマさんだけが優しく受け止めてくれたこの時間が愛おしいという事だ。



 




 





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