王子殿下が恋した人は誰ですか

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2.マリウス・ド・ファンドミオン

結婚に向かない理由

 リーリウスはベンチに座ったままで、マリウスだけを立たせた。
 剥き出しの下半身に視線を這わせるたび、裏筋が見えるほど勃ち上がった性器がビクンビクンと脈打つ。

「触れもしないうちから、下着を汚すほど勃たせるなんて……愛らしい見た目から想像できないほど、いやらしい子だね」
「ご、ごめんなさいっ」

 かすれた声で謝りながら、マリウスは真っ赤な顔で辺りを見回している。
 ここは王族のための庭だから関係者以外が来る可能性は低いけれど、もしも誰かに見られたら、「恥ずかしい」どころの騒ぎではあるまい。風が草木を揺らす音にもビクッと肩をすくめている。

「こんな明るい太陽の下で勃起して、それを丸出しにしているんだものね。その姿を見られたらどうする? ねえ、マリウス」
「それは、い、嫌っ」
「そのわりに、今また先走りが溢れてヌルヌルじゃないか。恥ずかしいと思わないのか?」
「恥ずかしい、ですっ。ごめんなさいぃ」

 見られたい欲求と羞恥のはざまで涙を浮かべるマリウスに、わざと冷たい一瞥を投げる。
 そうして組んでいた脚を上げ、ぷっくり膨れた双果を靴の甲で持ち上げると、「あっ!」と声が上がった。続けざまにタプタプ上下に揺らすたび、「あっ、あっ」と自然開かされた太腿が震える。

「あうぅ、許してくださっ、殿下ぁ……っ」

 許しを請いつつ、両手はしっかり上着を持って、よく見えるようにめくり上げている。リーリウスはつい笑ってしまい、『冷たいご主人様』を演じきれなくなったところで、タプタプしたまま「同時進行」すべく話を再開した。

「それで、勃ちんこ丸出しウスくん。結婚に向かないというのはなぜ? そなたがこういう趣味だということはよくわかったが、同じ嗜好の持ち主を選べば結婚に支障は無いと思う。それとも、セックスはしたいが恋愛はしたくない?」

「い、いえ。恋愛も、あっ、何度も、しているのです、実は……あっ、両親はまったく気づいて、いませんが……あうっ、これまで心から愛した人が、さ、三人いました」
「三人」
「か、四人か五人か六人……ああっ!」

 悶えていても、ちゃんと同時進行で答えている。
 ご褒美に、手を伸ばして陰茎をつつみ込み、優しく左右に揺らしてやると、細い躰がビクンとのけぞって「あっ、あんっ」と嬌声が漏れた。

「そんないやらしい声を出したら、誰かが様子を見に来るかもしれないよ」
「そ、それはだめっ、あっ、はああ」

 根元から先端まで、かたちを教えるようになぞっては、なるべくもどかしく感じるようにそっと触れる。愛らしい小ぶりな性器はリーリウスの大きな手の中に収まりがいい。

「やっ、あっ、もっと、んんーっ」
「四人か五人か六人か定かでないが、たくさんの人を愛せる人なのに、結婚に向かないと考えているのはなぜ? 束縛されたくないということ?」
「嫌っ、ちゃんと触ってぇ、ああっ」
「そら、早く答えないと庭師たちが来てしまうぞ。ファンドミオン子爵家の貴公子が、勃起したおちんちんをたくさんの男たちに見られてもいいのか? 恥ずかしすぎて、おかしくなってしまうかもしれないね」
「ひあっ、だめっ、許してぇっ!」

 悲鳴のような声と共に、白濁した液体が飛び出した。
 さほど触れていないのに、言葉責めの刺激で達したらしい。

 へなへなとしゃがみ込んでしまったが、草や小石で剥き出しの繊細な部分が傷つくといけないので、ベンチの上にハンカチを敷き、その上に座らせる。
 それから改めて、白濁が糸を引く性器を扱いてやった。出し切れなかったであろう精液を絞り出すように導くと、「ああぁ……」と熱い吐息も糸を引いて滴り落ちた。
 吐精の余韻で魚のように跳ねる姿は、淫猥でありながら美しい。

「そなたは可愛いし感度も良いし、性生活も充実するだろうに。無理に勧めるわけではないけれど、愛した人と何かがあって、結婚に向いてないと思ったの?」
「……ぼくが悪いのです……」

 つらいことを思い出したのか、恍惚としていた表情が曇る。
 元気づけようと、リーリウスは「何をしている」と冷たく命じた。

「誰が座って休めと言った? そのまま仰向けに横たわって、脚を広げなさい。片脚はベンチの背にかけて、狭間の奥まで私に見せたまえ」
「いっ、嫌です、殿下ぁっ」

 マリウスは素早く横になり、「ああっ!」と無理矢理広げられたような声を出しながら開脚した。木漏れ日がそこに降り注ぎ、早くも性器が頭をもたげる。

(元気元気)

 リーリウスは微笑ましく思ったが、褒めるよりいたぶるほうが喜ぶだろうから、「襞の一本一本まで、よく見える」と言っておいた。
 おかげで広げた太腿のあいだで、マリウス棒やは完全復活。まことに素直だ。

「それで、もうすぐ庭師たちにお尻の穴まで見られてしまうマリウスは、どうして『ぼくが悪い』と思ったのかな」

 相手の楽しみを削がないよう気をつけながら質問を続ける。
 快感と痛みが綯い交ぜになったように、マリウスの顔がくしゃりと歪んだ。

「ぼ、ぼくはこんな、恥ずかしい人間だから」
「そなたは自分を恥ずかしい人間だと思っているのか?」
「それは思います。だって、だって……」

 またも悲しげになったところで、ゆるゆると性器を擦ってやると、「だって!」と声に張りが出た。抜けるような青空と王子の見守る中、股間を全開にしたことで吹っ切れたか、マリウスは高らかに叫んだ。

「どんなに、大好きな人がいてもっ」
「いても?」
「複数の人と、ヤりたくなっちゃうからぁ!」
「……ほんとに元気だねぇ」

 予想の斜め上を行く答え。
 期待以上のクセの強さだった。
 が、感慨にふけっている時間は無い。

 リーリウスは預かっていた小瓶の栓を開け、マリウスの双丘に潤滑油を垂らすと、後孔のちっちゃな円周をくるくる撫でた。ぷちゅぷちゅと卑猥な音と共に、薔薇の香りが立ちのぼる。

「あー……んんっ、挿れて、早く、あ、あ」

 焦れた声が上がるが、「それで?」と続きを促すと、「それは」ときちんと答えるマリウスは本当に素直だ。

「こんな、調子でっ、あぅ。ものすごく、したくてしたくて、んっ、ひとりではダメなのです……ああっ」
「心から愛する人がいても」
「はい、心と躰は別ものなのです……あーっ!」
「そうか……」

 肛門をいじられながら身の上を語る相手に、(心と躰が別とは、さぞしんどかろう)としんみり相槌を打つ。
 薔薇の香りの風に、そよそよと薄い恥毛がなびいた。 

 マリウス曰く、特定の誰かと恋人同士になっても、彼の性欲が強すぎて、いくらももたずに「もう勘弁してくれ! ちんこが擦り剥ける!」と逃げられてしまうらしい。
 逃げずに応えようと踏ん張ってくれた男もいたが、マリウスの飢えを満たすまで及ばず。
 欲求不満をほかの者たちとの性交で解消していたら、それがバレて振られてしまった。
 ――そんな経験を繰り返してきたのだという。
感想 23

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