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7・運命の人
あの夜のように
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「ん……っ」
深い口づけの合間に、レダリオのか細い声が漏れる。
たどたどしく応える舌にさらに劣情を煽られながら、リーリウスはチュッと音をたてて唇を離し、ようやく手に入れた愛しい人の頬を両手でつつんだ。
「やはり仮面が無いと、口づけしやすいな」
低く笑うと、レダリオはさらに頬を赤らめた。
「もう、その話はいいでしょう!」
「うーん。新居にあの日の私とそなたの仮面を、並べて飾るつもりなのだが」
「やめてください」
ムキになるのが可愛くて、声を上げて笑いながら思い切り抱きしめた。
こうして『運命の人』を取り戻せたことが、嬉しくて嬉しくてたまらない。ふわふわした喜びで胸がいっぱいで、デレデレと表情が緩んでしまう。
こんなにも誰かを想って気分を高揚させてくれたのも、彼が初めてなのだ。
「可愛い。可愛いな、レダリオは」
「か、可愛いわけないでしょう。こんなデカい男に」
「私は最初から可愛いと言っていたぞ。私の運命の人は『細身だがしっかりと筋肉がついており、身長は私の鼻先くらいで可愛らしく、口づけるのにちょうどいい高さで素晴らしい』と」
何か言い返そうとした口をキスで塞ぐと、背中に回された手から、すぐにしんなりと力が抜けた。
「ふ……んン」
舌を絡め、綺麗な歯列をなぞる。
上顎を舌でつつくと、腕の中の躰がビクンと揺れた。
唇をついばみながら見つめれば、濃紺の瞳が情欲をにじませ濡れている。
色っぽくてたまらない。
もしもレダリオが求婚に応えてくれなければ、こんなにも煽情的な素顔を見せる相手は、リーリウスでなく、どこぞの令嬢だったのだ。
そう考えただけで、リーリウスの胸中は嫉妬でざわついた。
「まったくけしからん」
「え……?」
「……これが嫉妬や独占欲というものなのだな。そなたがほかの誰かにそんな顔を見せるなんて、考えたくもない」
「何をいきなりムクれているんです。そんなの、むやみやたらに見せるわけないでしょう」
恥ずかしそうに眉根を寄せるので、「ぜひそうしてくれ」と眉間に口づけた。
「私はもはや、過去にそなたが抱いた女性たちにまで嫉妬している」
「……バカですね」
「本当だな」
苦笑すると、「バカです」と二度言われた。
「……せん」
「ん?」
「……過去に抱いた女性も男性も……いません」
「……んんっ!?」
思わずまじまじと見つめると、レダリオは怒った顔で睨んできた。
「わたしは殿下やシュナイゼと違って、本当に好きな人としかしませんから! わ、悪いですか!」
「……悪いわけないだろう……! レダリオ、そなたはまさに天から贈られた愛の化身だ! 神々よありがとう!」
空を(正確には天井を)仰いで感謝を捧げると、「ほんとバカですね!」と真っ赤になっている。
しかし男も女も性に関しては肉食系ばかりのこの国で、こんな魅力的な男が今まで手つかずだったとは。真面目な性格だから経験は少ないだろうと思ってはいたが、貴族の常として高級娼館くらいは行っていると思い込んでいた。
だが実際は、この下半身直撃の艶やかな表情を知る者は、世界で唯一リーリウスのみだという。
「男は私が初めてだろうと察していたけれど! どんな奇跡だ!」
「は、初めてとか、大きな声で言わないでください!」
「では……あの舞踏会の夜が、正真正銘、初めてだったのか……」
どれほどの一大決心を胸に、あの場に立っていたのか。
そのときのレダリオの心情を改めて想像し、あまりに切なくて愛おしくて、ちょっと泣きたくなった。
「たいせつにする」
レダリオに囁きつつ、己にも重ねて誓う。
恥ずかしそうにうつむいていたレダリオは、ごまかすように「そういえば」と話題を変えた。
「帰らなければ」
「帰る!? なぜ! この流れでそれは無いだろう」
「だって、わたしは令嬢と待ち合わせてますから。求婚はしないにしても、出向かないと……んんっ!」
話を遮り口づけた。
求める舌で邪魔しても、途切れ途切れに抗議の声が上がる。
「殿、下っ! んっ……待たせたままでは、よけい申しわけ、ない……から……ン」
「ちょうどいい、待たせてフラれるのは得意だろう」
「誰のせいですか! ……んン、ふ……っ」
「……この記念すべき夜に、本当に私を残して帰るのか?」
唇を触れ合わせながら尋ねると、レダリオは壮絶に色っぽくリーリウスを睨みつけてから、ぎゅっと首に抱きついてきた。
仕事部屋を出たリーリウスとレダリオは、手をつないで夜の城を歩いた。
昼の喧騒は消え、遠く波音を抱いた優しい静寂の中。
警備の兵士たちが時おり行き交う以外に人気は無いが、寄り添う二人を目にした者もいたかもしれない。
それを気にする必要は、もう無かった。
階段をのぼって三階へ。
リーリウスが占有している、王族の居住棟の中でも最も奥まった一角。
その最奥の――運命の夜、初めて二人が抱き合った部屋で。
あの夜のように、月明かりに照らされる寝台へ、もつれ合うようにして倒れ込んだ。
深い口づけの合間に、レダリオのか細い声が漏れる。
たどたどしく応える舌にさらに劣情を煽られながら、リーリウスはチュッと音をたてて唇を離し、ようやく手に入れた愛しい人の頬を両手でつつんだ。
「やはり仮面が無いと、口づけしやすいな」
低く笑うと、レダリオはさらに頬を赤らめた。
「もう、その話はいいでしょう!」
「うーん。新居にあの日の私とそなたの仮面を、並べて飾るつもりなのだが」
「やめてください」
ムキになるのが可愛くて、声を上げて笑いながら思い切り抱きしめた。
こうして『運命の人』を取り戻せたことが、嬉しくて嬉しくてたまらない。ふわふわした喜びで胸がいっぱいで、デレデレと表情が緩んでしまう。
こんなにも誰かを想って気分を高揚させてくれたのも、彼が初めてなのだ。
「可愛い。可愛いな、レダリオは」
「か、可愛いわけないでしょう。こんなデカい男に」
「私は最初から可愛いと言っていたぞ。私の運命の人は『細身だがしっかりと筋肉がついており、身長は私の鼻先くらいで可愛らしく、口づけるのにちょうどいい高さで素晴らしい』と」
何か言い返そうとした口をキスで塞ぐと、背中に回された手から、すぐにしんなりと力が抜けた。
「ふ……んン」
舌を絡め、綺麗な歯列をなぞる。
上顎を舌でつつくと、腕の中の躰がビクンと揺れた。
唇をついばみながら見つめれば、濃紺の瞳が情欲をにじませ濡れている。
色っぽくてたまらない。
もしもレダリオが求婚に応えてくれなければ、こんなにも煽情的な素顔を見せる相手は、リーリウスでなく、どこぞの令嬢だったのだ。
そう考えただけで、リーリウスの胸中は嫉妬でざわついた。
「まったくけしからん」
「え……?」
「……これが嫉妬や独占欲というものなのだな。そなたがほかの誰かにそんな顔を見せるなんて、考えたくもない」
「何をいきなりムクれているんです。そんなの、むやみやたらに見せるわけないでしょう」
恥ずかしそうに眉根を寄せるので、「ぜひそうしてくれ」と眉間に口づけた。
「私はもはや、過去にそなたが抱いた女性たちにまで嫉妬している」
「……バカですね」
「本当だな」
苦笑すると、「バカです」と二度言われた。
「……せん」
「ん?」
「……過去に抱いた女性も男性も……いません」
「……んんっ!?」
思わずまじまじと見つめると、レダリオは怒った顔で睨んできた。
「わたしは殿下やシュナイゼと違って、本当に好きな人としかしませんから! わ、悪いですか!」
「……悪いわけないだろう……! レダリオ、そなたはまさに天から贈られた愛の化身だ! 神々よありがとう!」
空を(正確には天井を)仰いで感謝を捧げると、「ほんとバカですね!」と真っ赤になっている。
しかし男も女も性に関しては肉食系ばかりのこの国で、こんな魅力的な男が今まで手つかずだったとは。真面目な性格だから経験は少ないだろうと思ってはいたが、貴族の常として高級娼館くらいは行っていると思い込んでいた。
だが実際は、この下半身直撃の艶やかな表情を知る者は、世界で唯一リーリウスのみだという。
「男は私が初めてだろうと察していたけれど! どんな奇跡だ!」
「は、初めてとか、大きな声で言わないでください!」
「では……あの舞踏会の夜が、正真正銘、初めてだったのか……」
どれほどの一大決心を胸に、あの場に立っていたのか。
そのときのレダリオの心情を改めて想像し、あまりに切なくて愛おしくて、ちょっと泣きたくなった。
「たいせつにする」
レダリオに囁きつつ、己にも重ねて誓う。
恥ずかしそうにうつむいていたレダリオは、ごまかすように「そういえば」と話題を変えた。
「帰らなければ」
「帰る!? なぜ! この流れでそれは無いだろう」
「だって、わたしは令嬢と待ち合わせてますから。求婚はしないにしても、出向かないと……んんっ!」
話を遮り口づけた。
求める舌で邪魔しても、途切れ途切れに抗議の声が上がる。
「殿、下っ! んっ……待たせたままでは、よけい申しわけ、ない……から……ン」
「ちょうどいい、待たせてフラれるのは得意だろう」
「誰のせいですか! ……んン、ふ……っ」
「……この記念すべき夜に、本当に私を残して帰るのか?」
唇を触れ合わせながら尋ねると、レダリオは壮絶に色っぽくリーリウスを睨みつけてから、ぎゅっと首に抱きついてきた。
仕事部屋を出たリーリウスとレダリオは、手をつないで夜の城を歩いた。
昼の喧騒は消え、遠く波音を抱いた優しい静寂の中。
警備の兵士たちが時おり行き交う以外に人気は無いが、寄り添う二人を目にした者もいたかもしれない。
それを気にする必要は、もう無かった。
階段をのぼって三階へ。
リーリウスが占有している、王族の居住棟の中でも最も奥まった一角。
その最奥の――運命の夜、初めて二人が抱き合った部屋で。
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