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第24話 帰還、そして新たな扉
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ポータルが閉じてから、一週間が経った。
異世界ランドは、閉園したまま。
俺は、毎日施設の管理をしながら、カオスからの連絡を待っていた。
魔界側では、カオスたちが必死にポータルの再開通に取り組んでいるはずだ。
でも、連絡は来ない。
フラーラさんは、どうしているんだろう。
元気にしているだろうか。
俺は、エルフの森のベンチに座っていた。
フラーラさんと、何度も一緒に座った場所。
「また、会いたいな……」
呟いた時、背後から声がした。
「佐伯くん」
振り返ると、田中さんが立っていた。
「田中さん……」
「これ、届け物です」
田中さんが、小さな箱を渡してくれる。
「届け物?」
「はい。今朝、ゲート前に置いてあったんです。佐伯さん宛てって」
箱を開けると、中には手紙が入っていた。
差出人は、カオス。
急いで読む。
『佐伯くん
ポータルの再開通に成功した。
ただし、完全な復旧ではない。
週に一度、数時間だけ開通できる「定期便」だ。
次の開通は、明日の午前十時。
準備をしておいてくれ。
それと、良い知らせがある。
フラーラが、地球に行くと言っている。
詳しくは、明日話そう。
カオス』
「成功した……」
俺の手が、震える。
「フラーラさんが、来る……」
涙が溢れる。
「佐伯さん?」
田中さんが、心配そうに声をかける。
「大丈夫です……ただ、嬉しくて……」
俺は、手紙を握りしめた。
翌日、午前十時。
異世界ランドの裏口。
あの石造りの扉の前に、俺は一人で立っていた。
田中さんや、他の人族スタッフたちには秘密だ。
時計が、十時を指す。
その瞬間。
ゴゴゴゴゴ……
扉が、青白く光り始めた。
そして、ゆっくりと開く。
「開いた……」
俺は、息を呑む。
扉の向こうに、魔界の景色が見える。
少し赤い空、二つの月。
そして、扉から一人の人物が現れた。
カオスだ。
「久しぶりだな、佐伯くん」
「カオスさん!」
俺は、駆け寄る。
「成功したんですね!」
「ああ。完全復旧とはいかなかったが……週一で開通できる」
カオスが眼鏡を直す。
「ただし、開通時間は三時間が限界だ」
「三時間……」
「ああ。それを過ぎると、また不安定になる」
カオスが、手に持っていた用紙を広げる。
「だから、提案がある」
「提案?」
「魔族スタッフのための宿舎を、地球側に建設する」
「宿舎?」
「ああ、そうだ。毎日扉を通って通勤するのは、もう無理だ」
カオスが続ける。
「だから、週一で地球に来て、一週間滞在する。そして、次の週に魔界に帰る」
「そうやって、ローテーションを組むんだ」
「なるほど……」
「宿舎は、この異世界ランドの近くに建設する。『魔族寮』と名付ける」
カオスが、設計図を見せる。
「三階建て。個室が三十部屋。それに、共用の食堂やラウンジも」
「すごい……」
「建設には、一ヶ月程度はかかるだろう。その間、異世界ランドは閉園のままだ」
「わかりました」
「それと……」
カオスが、俺を見る。
「佐伯くん、君も魔族寮に住んだらどうだ?」
「え?」
「君は統括マネージャーだ。魔族スタッフとの連携が重要になる」
「だから、同じ場所に住んでいた方が便利だろう」
「……そうですね。わかりました」
俺は頷く。
「じゃあ、俺も魔族寮に住みます」
「よし。では、正式に辞令を出そう」
カオスが、書類を取り出す。
「佐伯雄一、君を異世界ランドの統括マネージャーに正式採用する」
「これが、社員証だ」
カオスが、カードを渡してくれる。
プラスチック製のカード。
写真と名前、そして役職名。
「統括マネージャー 佐伯雄一」
「ありがとうございます」
俺は、社員証を受け取る。
初めての、正式な社員証だ。
その時、扉から次々と人が出てきた。
アイアン・ガーディアン、ミス・シャドウ、フォン・マネーゼン。
そして、グンナル、メリーナ。
さらに、セバスチャンとフィオナ。
「久しぶりだな、佐伯!」
グンナルが、豪快に笑う。
「お元気でしたか、佐伯様!」
フィオナが、嬉しそうに言う。
「みんな……」
俺は、全員の顔を見る。
でも、一人だけいない。
「フラーラさんは……?」
その時、扉から最後の人物が現れた。
フラーラさんだ。
金色の髪、エメラルドグリーンの瞳。
エルフの衣装を纏っている。
「フラーラさん!」
俺は、駆け寄る。
フラーラさんも、俺に向かって走ってくる。
二人は、抱き合った。
「会いたかった……」
「私も……」
フラーラさんが、俺の胸で泣く。
「一週間、長かったわ……」
「俺も……」
俺も、涙を流す。
「もう、離さないでください」
「ええ……」
二人で、しばらく抱き合っていた。
周りのみんなが、温かく見守っている。
「良かったわね、フラーラ」
メリーナが、嬉しそうに言う。
しばらくして、俺たちは離れる。
フラーラさんが、俺を見つめる。
「佐伯、私……決めたの」
「何を?」
「地球に住む」
その言葉に、俺は驚く。
「え……でも、魔界は……」
「大丈夫よ。週一で扉は開くのよ。好きな時に帰ればいいわ」
フラーラさんが微笑む。
「私、あなたのそばにいたいの」
「フラーラさん……」
「四百年間、誰も愛せなかった」
フラーラさんの目が、潤む。
「でも、あなたと出会った……」
「生きる時間は違っても、あなたを愛したい」
「いつか、あなたと離れることになっても……」
フラーラさんが、俺の手を握る。
「今、この時を、あなたと一緒に過ごしたい」
その言葉に、俺の胸が熱くなる。
「ありがとうございます……」
俺は、フラーラさんをもう一度抱きしめる。
「俺も、フラーラさんと一緒にいたいです」
「ありがとう……」
セバスチャンとフィオナが駆け寄ってくる。
「フラーラ様!」
「お幸せに!」
二人とも、涙を流している。
「ああ、神よ! 何と素晴らしいことでしょう!」
セバスチャンが、大げさに嘆く。
「あらあら、本当に良かったですわ!」
フィオナも、ハンカチで涙を拭う。
「二人とも、大げさよ」
フラーラさんが、少し照れたように笑う。
でも、その笑顔は本当に幸せそうだ。
カオスが、咳払いをする。
「そろそろ、今後の計画を説明してもよいでしょうか?」
「まず、魔族寮が完成するまで、一ヶ月。その間、異世界ランドは閉園」
「その間に、施設の拡充も同時に行う。新しいアトラクションも増設する」
「そして、一ヶ月後、異世界ランドを再開する」
カオスが、全員を見渡す。
「新しいスタイルでな。魔族は週一で地球に来て、一週間滞在する。一週間交代制だ」
「人族スタッフは、毎日通勤する」
「そうやって、運営を続ける」
マネーゼンが、電卓を叩く。
「収益面では、経費が嵩み、少し効率が落ちるが……仕方ない」
「でも、新アトラクションで補える」
「そうだな」
一ヶ月後。
魔族寮が完成した。
三階建ての、立派な建物。
個室が並び、一階には広い食堂とラウンジ。
魔族スタッフたちが、次々と入居していく。
「いい部屋だな」
グンナルが、満足そうに頷く。
「ああ、地球での生活も悪くないな」
俺とフラーラさんは、三階の家族部屋に案内された。
2LDKの広い部屋。
リビング、寝室、キッチン、バスルーム。
全て揃っている。
「ここが、私たちの新しい家ね」
フラーラさんが、嬉しそうに言う。
「そうだね……」
俺も、部屋を見回す。
ここで、フラーラさんと一緒に暮らす。
それが、まだ信じられない。
「佐伯」
「はい?」
「改めて言うわ」
フラーラさんが、俺を見つめる。
「愛してる」
「俺も、愛してます」
俺は、フラーラさんを抱きしめる。
二人で、キスをする。
長い、深いキス。
ようやく、二人だけの時間。
「これから、ずっと一緒ね」
「はい……」
その時、ドアがノックされた。
コンコン
「はい?」
俺が返事をすると、ドアが開く。
メリーナだ。
白い聖女の衣装で、大きな荷物を持っている。
「フラーラ様、佐伯さん、おめでとうございます!」
「メリーナ?」
「私、二人を見守ります!」
メリーナが、満面の笑みで言う。
「だから、この部屋に住みます!」
「え?」
俺とフラーラさんが、同時に声を上げる。
「いや、ここは俺たちの……」
「大丈夫です! 私、邪魔しませんから!」
メリーナが、荷物を運び込もうとする。
その拍子に。
どたっ!
転んだ。
ガランガラン!
荷物が散乱する。
「きゃあ!」
「メリーナ……」
フラーラさんが、呆れたようにため息をつく。
「まったくもう……」
でも、その表情は優しい。
その時、廊下からカオスの声が聞こえた。
「メリーナ! お前の部屋は二階だ!」
「え?」
「フラーラと佐伯くんの邪魔をするな!」
アイアン・ガーディアンも現れる。
「そうだ! 新婚さんの邪魔をするんじゃない!」
「しっ、新婚って……」
俺とフラーラさんが、顔を赤らめる。
「さあ、メリーナ。こっちだ」
カオスとガーディアンが、メリーナを引っ張っていく。
「ちょ、ちょっと! 私、見守るって……」
「見守らなくていい!」
メリーナが連れて行かれる。
俺とフラーラさんが、笑う。
「相変わらずね、メリーナったら」
「はい……でも、それがメリーナさんですね」
「ええ」
フラーラさんが、俺の手を取る。
「さあ、二人だけの時間よ」
「はい……」
俺たちは、ソファに座る。
窓から、夕日が差し込む。
地球の夕日。
一つの太陽。
この景色を、フラーラさんと一緒に見られる。
それが、何より幸せだ。
「佐伯」
「はい?」
「ありがとう」
フラーラさんが、微笑む。
「あなたのおかげで、私……また恋ができたわ」
「俺こそ、ありがとうございます」
俺は、フラーラさんの手を握る。
「フラーラさんのおかげで、俺……変われました」
二人で、夕日を見つめる。
これから、俺たちの新しい生活が始まる。
異世界ランドの統括マネージャーとして。
そして、フラーラさんと共に。
「明日から、異世界ランド再開ね」
「はい。新しいアトラクションも、たくさんあります」
「楽しみね」
「はい……一緒に、頑張りましょう」
「ええ」
フラーラさんが、俺にもたれかかる。
俺は、フラーラさんを抱きしめる。
夕日が沈み、夜が訪れる。
二人だけの、静かな夜。
これから、何十年も。
この時間が続くように。
俺は、心から願った。
異世界ランドは、閉園したまま。
俺は、毎日施設の管理をしながら、カオスからの連絡を待っていた。
魔界側では、カオスたちが必死にポータルの再開通に取り組んでいるはずだ。
でも、連絡は来ない。
フラーラさんは、どうしているんだろう。
元気にしているだろうか。
俺は、エルフの森のベンチに座っていた。
フラーラさんと、何度も一緒に座った場所。
「また、会いたいな……」
呟いた時、背後から声がした。
「佐伯くん」
振り返ると、田中さんが立っていた。
「田中さん……」
「これ、届け物です」
田中さんが、小さな箱を渡してくれる。
「届け物?」
「はい。今朝、ゲート前に置いてあったんです。佐伯さん宛てって」
箱を開けると、中には手紙が入っていた。
差出人は、カオス。
急いで読む。
『佐伯くん
ポータルの再開通に成功した。
ただし、完全な復旧ではない。
週に一度、数時間だけ開通できる「定期便」だ。
次の開通は、明日の午前十時。
準備をしておいてくれ。
それと、良い知らせがある。
フラーラが、地球に行くと言っている。
詳しくは、明日話そう。
カオス』
「成功した……」
俺の手が、震える。
「フラーラさんが、来る……」
涙が溢れる。
「佐伯さん?」
田中さんが、心配そうに声をかける。
「大丈夫です……ただ、嬉しくて……」
俺は、手紙を握りしめた。
翌日、午前十時。
異世界ランドの裏口。
あの石造りの扉の前に、俺は一人で立っていた。
田中さんや、他の人族スタッフたちには秘密だ。
時計が、十時を指す。
その瞬間。
ゴゴゴゴゴ……
扉が、青白く光り始めた。
そして、ゆっくりと開く。
「開いた……」
俺は、息を呑む。
扉の向こうに、魔界の景色が見える。
少し赤い空、二つの月。
そして、扉から一人の人物が現れた。
カオスだ。
「久しぶりだな、佐伯くん」
「カオスさん!」
俺は、駆け寄る。
「成功したんですね!」
「ああ。完全復旧とはいかなかったが……週一で開通できる」
カオスが眼鏡を直す。
「ただし、開通時間は三時間が限界だ」
「三時間……」
「ああ。それを過ぎると、また不安定になる」
カオスが、手に持っていた用紙を広げる。
「だから、提案がある」
「提案?」
「魔族スタッフのための宿舎を、地球側に建設する」
「宿舎?」
「ああ、そうだ。毎日扉を通って通勤するのは、もう無理だ」
カオスが続ける。
「だから、週一で地球に来て、一週間滞在する。そして、次の週に魔界に帰る」
「そうやって、ローテーションを組むんだ」
「なるほど……」
「宿舎は、この異世界ランドの近くに建設する。『魔族寮』と名付ける」
カオスが、設計図を見せる。
「三階建て。個室が三十部屋。それに、共用の食堂やラウンジも」
「すごい……」
「建設には、一ヶ月程度はかかるだろう。その間、異世界ランドは閉園のままだ」
「わかりました」
「それと……」
カオスが、俺を見る。
「佐伯くん、君も魔族寮に住んだらどうだ?」
「え?」
「君は統括マネージャーだ。魔族スタッフとの連携が重要になる」
「だから、同じ場所に住んでいた方が便利だろう」
「……そうですね。わかりました」
俺は頷く。
「じゃあ、俺も魔族寮に住みます」
「よし。では、正式に辞令を出そう」
カオスが、書類を取り出す。
「佐伯雄一、君を異世界ランドの統括マネージャーに正式採用する」
「これが、社員証だ」
カオスが、カードを渡してくれる。
プラスチック製のカード。
写真と名前、そして役職名。
「統括マネージャー 佐伯雄一」
「ありがとうございます」
俺は、社員証を受け取る。
初めての、正式な社員証だ。
その時、扉から次々と人が出てきた。
アイアン・ガーディアン、ミス・シャドウ、フォン・マネーゼン。
そして、グンナル、メリーナ。
さらに、セバスチャンとフィオナ。
「久しぶりだな、佐伯!」
グンナルが、豪快に笑う。
「お元気でしたか、佐伯様!」
フィオナが、嬉しそうに言う。
「みんな……」
俺は、全員の顔を見る。
でも、一人だけいない。
「フラーラさんは……?」
その時、扉から最後の人物が現れた。
フラーラさんだ。
金色の髪、エメラルドグリーンの瞳。
エルフの衣装を纏っている。
「フラーラさん!」
俺は、駆け寄る。
フラーラさんも、俺に向かって走ってくる。
二人は、抱き合った。
「会いたかった……」
「私も……」
フラーラさんが、俺の胸で泣く。
「一週間、長かったわ……」
「俺も……」
俺も、涙を流す。
「もう、離さないでください」
「ええ……」
二人で、しばらく抱き合っていた。
周りのみんなが、温かく見守っている。
「良かったわね、フラーラ」
メリーナが、嬉しそうに言う。
しばらくして、俺たちは離れる。
フラーラさんが、俺を見つめる。
「佐伯、私……決めたの」
「何を?」
「地球に住む」
その言葉に、俺は驚く。
「え……でも、魔界は……」
「大丈夫よ。週一で扉は開くのよ。好きな時に帰ればいいわ」
フラーラさんが微笑む。
「私、あなたのそばにいたいの」
「フラーラさん……」
「四百年間、誰も愛せなかった」
フラーラさんの目が、潤む。
「でも、あなたと出会った……」
「生きる時間は違っても、あなたを愛したい」
「いつか、あなたと離れることになっても……」
フラーラさんが、俺の手を握る。
「今、この時を、あなたと一緒に過ごしたい」
その言葉に、俺の胸が熱くなる。
「ありがとうございます……」
俺は、フラーラさんをもう一度抱きしめる。
「俺も、フラーラさんと一緒にいたいです」
「ありがとう……」
セバスチャンとフィオナが駆け寄ってくる。
「フラーラ様!」
「お幸せに!」
二人とも、涙を流している。
「ああ、神よ! 何と素晴らしいことでしょう!」
セバスチャンが、大げさに嘆く。
「あらあら、本当に良かったですわ!」
フィオナも、ハンカチで涙を拭う。
「二人とも、大げさよ」
フラーラさんが、少し照れたように笑う。
でも、その笑顔は本当に幸せそうだ。
カオスが、咳払いをする。
「そろそろ、今後の計画を説明してもよいでしょうか?」
「まず、魔族寮が完成するまで、一ヶ月。その間、異世界ランドは閉園」
「その間に、施設の拡充も同時に行う。新しいアトラクションも増設する」
「そして、一ヶ月後、異世界ランドを再開する」
カオスが、全員を見渡す。
「新しいスタイルでな。魔族は週一で地球に来て、一週間滞在する。一週間交代制だ」
「人族スタッフは、毎日通勤する」
「そうやって、運営を続ける」
マネーゼンが、電卓を叩く。
「収益面では、経費が嵩み、少し効率が落ちるが……仕方ない」
「でも、新アトラクションで補える」
「そうだな」
一ヶ月後。
魔族寮が完成した。
三階建ての、立派な建物。
個室が並び、一階には広い食堂とラウンジ。
魔族スタッフたちが、次々と入居していく。
「いい部屋だな」
グンナルが、満足そうに頷く。
「ああ、地球での生活も悪くないな」
俺とフラーラさんは、三階の家族部屋に案内された。
2LDKの広い部屋。
リビング、寝室、キッチン、バスルーム。
全て揃っている。
「ここが、私たちの新しい家ね」
フラーラさんが、嬉しそうに言う。
「そうだね……」
俺も、部屋を見回す。
ここで、フラーラさんと一緒に暮らす。
それが、まだ信じられない。
「佐伯」
「はい?」
「改めて言うわ」
フラーラさんが、俺を見つめる。
「愛してる」
「俺も、愛してます」
俺は、フラーラさんを抱きしめる。
二人で、キスをする。
長い、深いキス。
ようやく、二人だけの時間。
「これから、ずっと一緒ね」
「はい……」
その時、ドアがノックされた。
コンコン
「はい?」
俺が返事をすると、ドアが開く。
メリーナだ。
白い聖女の衣装で、大きな荷物を持っている。
「フラーラ様、佐伯さん、おめでとうございます!」
「メリーナ?」
「私、二人を見守ります!」
メリーナが、満面の笑みで言う。
「だから、この部屋に住みます!」
「え?」
俺とフラーラさんが、同時に声を上げる。
「いや、ここは俺たちの……」
「大丈夫です! 私、邪魔しませんから!」
メリーナが、荷物を運び込もうとする。
その拍子に。
どたっ!
転んだ。
ガランガラン!
荷物が散乱する。
「きゃあ!」
「メリーナ……」
フラーラさんが、呆れたようにため息をつく。
「まったくもう……」
でも、その表情は優しい。
その時、廊下からカオスの声が聞こえた。
「メリーナ! お前の部屋は二階だ!」
「え?」
「フラーラと佐伯くんの邪魔をするな!」
アイアン・ガーディアンも現れる。
「そうだ! 新婚さんの邪魔をするんじゃない!」
「しっ、新婚って……」
俺とフラーラさんが、顔を赤らめる。
「さあ、メリーナ。こっちだ」
カオスとガーディアンが、メリーナを引っ張っていく。
「ちょ、ちょっと! 私、見守るって……」
「見守らなくていい!」
メリーナが連れて行かれる。
俺とフラーラさんが、笑う。
「相変わらずね、メリーナったら」
「はい……でも、それがメリーナさんですね」
「ええ」
フラーラさんが、俺の手を取る。
「さあ、二人だけの時間よ」
「はい……」
俺たちは、ソファに座る。
窓から、夕日が差し込む。
地球の夕日。
一つの太陽。
この景色を、フラーラさんと一緒に見られる。
それが、何より幸せだ。
「佐伯」
「はい?」
「ありがとう」
フラーラさんが、微笑む。
「あなたのおかげで、私……また恋ができたわ」
「俺こそ、ありがとうございます」
俺は、フラーラさんの手を握る。
「フラーラさんのおかげで、俺……変われました」
二人で、夕日を見つめる。
これから、俺たちの新しい生活が始まる。
異世界ランドの統括マネージャーとして。
そして、フラーラさんと共に。
「明日から、異世界ランド再開ね」
「はい。新しいアトラクションも、たくさんあります」
「楽しみね」
「はい……一緒に、頑張りましょう」
「ええ」
フラーラさんが、俺にもたれかかる。
俺は、フラーラさんを抱きしめる。
夕日が沈み、夜が訪れる。
二人だけの、静かな夜。
これから、何十年も。
この時間が続くように。
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