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ふとした瞬間、結衣の指が指輪の内側に触れた。
その瞬間だった。
何かが結衣の体を駆け抜けるような、不思議な感触があった。電気が走ったというわけではない。もっと暖かく、でも同時に鋭い感覚。まるで体の奥深くに眠っていた何かが目を覚ましたような……。
「あっ」
結衣は思わず声を上げて、指輪を机に置いた。
「どうした?」
祖父が心配そうに聞いた。
「なんか……変な感じがしたんです。これって、呪われたりしてませんよね?」
結衣は冗談っぽく言ったが、実際に感じた感覚は決して冗談では済まされないものだった。体の中を何かが流れていったような、今まで経験したことのない不思議な感覚。
祖父と花巻が、まるで石になったように固まっているのに結衣は気づいた。二人とも、結衣を見つめたまま、一言も発しない。
「あの……どうかしましたか?」
結衣の声で、ようやく二人は我に返った。
「いや、何でもない。疲れておったのかもしれんな」
祖父が取り繕うように言ったが、その表情は明らかに動揺している。花巻の方も、何かを必死に考え込んでいるような顔をしていた。
「そうですね。きっと疲労のせいでしょう」
花巻も同調したが、その声は少し震えているようだった。
「じゃあ、お茶を飲んでゆっくりしてください。私は部屋に戻ります」
結衣はその場の重い空気に耐えられず、書斎から出ることにした。
「ありがとう、結衣。後で夕食の相談をしよう」
祖父が優しく言ったが、その笑顔はどこか作り物のように感じられた。
結衣が書斎を出て襖を閉めた後、室内には重い沈黙が降りた。祖父の博文は深いため息をつき、花巻は指輪を見つめたまま動かない。
「間違いありませんね」
花巻が静かに口を開いた。
「反応があった。確実に」
博文は頷いた。結衣が指輪に触れた瞬間、指輪の表面がわずかに光ったのを二人とも見ていた。一瞬の出来事だったが、見間違えではない。
「お孫さんの濃度レベルは調べられたことがありますか?」
花巻の質問に、博文は首を横に振った。
「調べたことはない。というより、調べる理由がなかった。結衣には普通の人生を送ってもらいたいと思っておったからな」
「でも、これだけの反応があるということは……」
花巻は指輪を慎重に箱に戻しながら続けた。
「彼女なら新たな門の開錠ができるかもしれません」
博文の表情が厳しくなった。孫の将来について考えるとき、彼の心は複雑に揺れ動く。
「いや、しかし……結衣はまだ高校生じゃ。そんなことに巻き込むわけにはいかん」
「お気持ちはわかります。でも、現在の状況をご存知でしょう?」
花巻は声を低めて続けた。
「怪しい動きを見せているのはC国だけではありません。我々はすでに後手に回っています。この先どう動くかわからない。とにかく時間がないんです。場合によっては、世界の均衡が崩れてしまう可能性がある」
博文は窓の外を見つめていた。庭では蝉が激しく鳴いている。平和な夏の午後の風景だが、その平和がいつまで続くかわからない。
「それに、彼女の能力を考えれば、いずれは他国にも知られる可能性が高いでしょう。それなら、きちんとした国の保護の下で……」
「保護か……」
博文は苦笑いを浮かべた。
「お前たちが言う『保護』が何を意味するか、私にはよくわかっておる」
「でも、他に選択肢があるでしょうか?それに僕は自由にさせてもらっていますよ」
花巻の言葉に、博文は長い沈黙の後、ゆっくりと頷いた。
「わかった。報告してくれ」
その言葉には、深い諦めと、同時に孫の将来への不安が込められていた。
夕方になると、花巻は帰ることになった。玄関で見送る際、結衣は祖父と花巻が何やら真剣な話をしているのを見ていた。
「今日はありがとうございました」
花巻が丁寧に頭を下げる。
「また近いうちに来ると思います。その時はよろしくお願いします」
なぜか結衣に向けられた言葉だった。
「あ、はい。こちらこそ」
結衣は戸惑いながら答えた。
大きなカバンを肩にかけ遠ざかる花巻の姿を見送った後、祖父と結衣は縁側で夕涼みをしていた。西の空が夕焼けで赤く染まり、一日の終わりを告げている。
「おじいちゃん、花巻さんってどんな人?」
結衣が聞くと、祖父は少し考えてから答えた。
「優秀な研究者じゃよ。古代文字の解読では第一人者と言ってもいい」
「でも、若いのに昔一緒に研究してたって……」
「ああ、あれはな……」
祖父は言葉を選ぶように続けた。
「彼は特別な才能を持っておる。だから、年齢に関係なく重要な研究に関わっているんじゃ」
祖父の説明には、どこか歯切れの悪さがあった。何か隠していることがあるような気がしたが、結衣は深く追求することはしなかった。
「それより、結衣」
祖父が急に真剣な顔になった。
「あの指輪に触った時、本当に何か感じたのか?」
「うん……なんていうか、体の中を何かが流れるような感じだった。でも、別に痛くはなかったよ」
結衣の答えに、祖父は複雑な表情を浮かべた。
「結衣は……」
祖父が何かを言いかけて止まった。
「何?」
「いや、何でもない。きっと気のせいじゃろう」
しかし、祖父の表情は決して「気のせい」で済ませられるものではなかった。
その夜、結衣は布団の中で考えていた。今日一日で起きた出来事を振り返ってみると、どこか不自然な点が多い。花巻という美青年の突然の訪問、古い指輪への不思議な反応、祖父と花巻の意味深な会話……。
そして、指輪に触れた時の感覚は、決して忘れることができなかった。あれは確実に何かだった。ただの錯覚や気のせいではない。
「私って、本当に普通なのかな……」
結衣は天井を見上げながらつぶやいた。病気をしたことがない体質、同級生よりも優れた運動能力、そして今日の指輪への反応。
一つ一つは些細なことかもしれないが、全部合わせて考えると……。
窓の外では虫の声が響いている。いつもなら心地よく感じる音だが、今夜はなぜか不安を誘う。
結衣は自分でも気づかないうちに、大きな運命の歯車の中に巻き込まれ始めていた。そして、その歯車は確実に回り始めている。
夏休みの穏やかな時間は、もうすぐ終わりを告げることになるかもしれなかった。
翌朝、結衣がいつものように朝のランニングから帰ると、祖父が電話で誰かと話していた。
「ええ、間違いありません……はい、レベル測定の準備を……わかりました」
結衣の気配に気づいて、祖父は慌てて電話を切った。
「おかえり、結衣。汗をかいたな、シャワーを浴びておいで」
「うん……おじいちゃん、誰と電話してたの?」
「ああ、大学の事務的な連絡じゃよ。つまらん話さ」
祖父は取り繕うように笑ったが、その笑顔はどこか不自然だった。
結衣は首をかしげながら洗面所に向かった。鏡に映る自分の顔は、いつもと変わらない普通の女子高生の顔だった。でも、何かが確実に変わり始めていることを、結衣の直感が告げていた。
祖父の家の静かな庭では、蝉の声だけが変わらず響いていた。
その瞬間だった。
何かが結衣の体を駆け抜けるような、不思議な感触があった。電気が走ったというわけではない。もっと暖かく、でも同時に鋭い感覚。まるで体の奥深くに眠っていた何かが目を覚ましたような……。
「あっ」
結衣は思わず声を上げて、指輪を机に置いた。
「どうした?」
祖父が心配そうに聞いた。
「なんか……変な感じがしたんです。これって、呪われたりしてませんよね?」
結衣は冗談っぽく言ったが、実際に感じた感覚は決して冗談では済まされないものだった。体の中を何かが流れていったような、今まで経験したことのない不思議な感覚。
祖父と花巻が、まるで石になったように固まっているのに結衣は気づいた。二人とも、結衣を見つめたまま、一言も発しない。
「あの……どうかしましたか?」
結衣の声で、ようやく二人は我に返った。
「いや、何でもない。疲れておったのかもしれんな」
祖父が取り繕うように言ったが、その表情は明らかに動揺している。花巻の方も、何かを必死に考え込んでいるような顔をしていた。
「そうですね。きっと疲労のせいでしょう」
花巻も同調したが、その声は少し震えているようだった。
「じゃあ、お茶を飲んでゆっくりしてください。私は部屋に戻ります」
結衣はその場の重い空気に耐えられず、書斎から出ることにした。
「ありがとう、結衣。後で夕食の相談をしよう」
祖父が優しく言ったが、その笑顔はどこか作り物のように感じられた。
結衣が書斎を出て襖を閉めた後、室内には重い沈黙が降りた。祖父の博文は深いため息をつき、花巻は指輪を見つめたまま動かない。
「間違いありませんね」
花巻が静かに口を開いた。
「反応があった。確実に」
博文は頷いた。結衣が指輪に触れた瞬間、指輪の表面がわずかに光ったのを二人とも見ていた。一瞬の出来事だったが、見間違えではない。
「お孫さんの濃度レベルは調べられたことがありますか?」
花巻の質問に、博文は首を横に振った。
「調べたことはない。というより、調べる理由がなかった。結衣には普通の人生を送ってもらいたいと思っておったからな」
「でも、これだけの反応があるということは……」
花巻は指輪を慎重に箱に戻しながら続けた。
「彼女なら新たな門の開錠ができるかもしれません」
博文の表情が厳しくなった。孫の将来について考えるとき、彼の心は複雑に揺れ動く。
「いや、しかし……結衣はまだ高校生じゃ。そんなことに巻き込むわけにはいかん」
「お気持ちはわかります。でも、現在の状況をご存知でしょう?」
花巻は声を低めて続けた。
「怪しい動きを見せているのはC国だけではありません。我々はすでに後手に回っています。この先どう動くかわからない。とにかく時間がないんです。場合によっては、世界の均衡が崩れてしまう可能性がある」
博文は窓の外を見つめていた。庭では蝉が激しく鳴いている。平和な夏の午後の風景だが、その平和がいつまで続くかわからない。
「それに、彼女の能力を考えれば、いずれは他国にも知られる可能性が高いでしょう。それなら、きちんとした国の保護の下で……」
「保護か……」
博文は苦笑いを浮かべた。
「お前たちが言う『保護』が何を意味するか、私にはよくわかっておる」
「でも、他に選択肢があるでしょうか?それに僕は自由にさせてもらっていますよ」
花巻の言葉に、博文は長い沈黙の後、ゆっくりと頷いた。
「わかった。報告してくれ」
その言葉には、深い諦めと、同時に孫の将来への不安が込められていた。
夕方になると、花巻は帰ることになった。玄関で見送る際、結衣は祖父と花巻が何やら真剣な話をしているのを見ていた。
「今日はありがとうございました」
花巻が丁寧に頭を下げる。
「また近いうちに来ると思います。その時はよろしくお願いします」
なぜか結衣に向けられた言葉だった。
「あ、はい。こちらこそ」
結衣は戸惑いながら答えた。
大きなカバンを肩にかけ遠ざかる花巻の姿を見送った後、祖父と結衣は縁側で夕涼みをしていた。西の空が夕焼けで赤く染まり、一日の終わりを告げている。
「おじいちゃん、花巻さんってどんな人?」
結衣が聞くと、祖父は少し考えてから答えた。
「優秀な研究者じゃよ。古代文字の解読では第一人者と言ってもいい」
「でも、若いのに昔一緒に研究してたって……」
「ああ、あれはな……」
祖父は言葉を選ぶように続けた。
「彼は特別な才能を持っておる。だから、年齢に関係なく重要な研究に関わっているんじゃ」
祖父の説明には、どこか歯切れの悪さがあった。何か隠していることがあるような気がしたが、結衣は深く追求することはしなかった。
「それより、結衣」
祖父が急に真剣な顔になった。
「あの指輪に触った時、本当に何か感じたのか?」
「うん……なんていうか、体の中を何かが流れるような感じだった。でも、別に痛くはなかったよ」
結衣の答えに、祖父は複雑な表情を浮かべた。
「結衣は……」
祖父が何かを言いかけて止まった。
「何?」
「いや、何でもない。きっと気のせいじゃろう」
しかし、祖父の表情は決して「気のせい」で済ませられるものではなかった。
その夜、結衣は布団の中で考えていた。今日一日で起きた出来事を振り返ってみると、どこか不自然な点が多い。花巻という美青年の突然の訪問、古い指輪への不思議な反応、祖父と花巻の意味深な会話……。
そして、指輪に触れた時の感覚は、決して忘れることができなかった。あれは確実に何かだった。ただの錯覚や気のせいではない。
「私って、本当に普通なのかな……」
結衣は天井を見上げながらつぶやいた。病気をしたことがない体質、同級生よりも優れた運動能力、そして今日の指輪への反応。
一つ一つは些細なことかもしれないが、全部合わせて考えると……。
窓の外では虫の声が響いている。いつもなら心地よく感じる音だが、今夜はなぜか不安を誘う。
結衣は自分でも気づかないうちに、大きな運命の歯車の中に巻き込まれ始めていた。そして、その歯車は確実に回り始めている。
夏休みの穏やかな時間は、もうすぐ終わりを告げることになるかもしれなかった。
翌朝、結衣がいつものように朝のランニングから帰ると、祖父が電話で誰かと話していた。
「ええ、間違いありません……はい、レベル測定の準備を……わかりました」
結衣の気配に気づいて、祖父は慌てて電話を切った。
「おかえり、結衣。汗をかいたな、シャワーを浴びておいで」
「うん……おじいちゃん、誰と電話してたの?」
「ああ、大学の事務的な連絡じゃよ。つまらん話さ」
祖父は取り繕うように笑ったが、その笑顔はどこか不自然だった。
結衣は首をかしげながら洗面所に向かった。鏡に映る自分の顔は、いつもと変わらない普通の女子高生の顔だった。でも、何かが確実に変わり始めていることを、結衣の直感が告げていた。
祖父の家の静かな庭では、蝉の声だけが変わらず響いていた。
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