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地球では、使節団が持ち帰った情報の検討が行われていた。
総理官邸の会議室に、関係閣僚が集まっている。
「状況は予想以上に深刻です」
外務大臣が報告した。
「A国とC国に、ほぼ全ての情報を開示することを提案します」
「彼らも参加するのであれば、やむを得ないでしょう」
総理が頷いた。
「では、次回の会談で情報を共有しましょう」
数日後、再び三カ国の会談が開かれた。
今回は、テーブルの一角に、明らかに人間ではない存在が座っていた。
彼らは、灰白色の肌を持ち、揃いの黒いスーツに白い手袋、そして室内であるにもかかわらず大きなサングラスをつけている。A国の参加者とともに現れたが、誰からも彼らの説明はない。しかし、この場にいる誰もが確信していた。姿形は人のようであるが、彼らは異星人だ。
「まず、我々から情報を共有させていただきます」
吉澤が立ち上がり、田中たちがアガルタから持ち帰った情報を詳しく説明した。
A国、C国、そして彼らは、黙って聞いていた。
「ありがとうございます」
A国の代表が頷いた。
「我々も、新たな情報を入手しました」
A国の代表が、大きなスクリーンに衛星写真を映し出した。
そこには、建設中のバベルの塔らしき構造物が写っている。そして、その近くに、布で覆われた大きな機材が運ばれている様子が見える。
「この布の皺や撓み具合から判断すると……」
A国の代表が真剣な表情で言った。
「これはアークであると我々は判断しました」
会議室に緊張が走った。
「さらに」
異星人の一人が立ち上がった。その声は、機械的な翻訳を通して聞こえてくる。
「あなた方がアークと呼んでいるものに関する情報を提供します」
全員が異星人に注目した。
「そこに写っているのは、氷河期後も気候の安定しない地球の大気を安定させ、緑豊かな星に改造するために我々の祖先が設置した、六台の気象制御機械のうちの一台です」
異星人が説明を続けた。
「その役目は、はるか過去に終わっていました。しかし、二千数百年ほど前、それを動かした愚かな地球人がいました」
会議室の空気が凍りついた。
「その結果、巨大な雨雲が世界を覆い、激しい雷があちこちに落ちました」
異星人が淡々と語る。
「街や森を焼き尽くしただけでなく、巨大な水害が世界を襲いました」
「それは……」
吉澤が息を呑んだ。
「その洪水によって、当時最も繁栄していた国を含め、いくつかの国や都市が、丸ごと海に沈んでしまいました」
「ノアの方舟の水害……」
誰かが呟いた。
「そして、アトランティスの滅亡……」
「もし今、同じようにアークを動かせば」
異星人が全員を見回した。
「また世界に、未曾有の災害が起こるでしょう」
重い沈黙が会議室を支配した。
「それを受けて」
A国の代表が立ち上がった。
「我々は、すでに行動を起こしました」
「行動を?」
C国の代表が驚いた表情を浮かべた。
「B-2爆撃機が、すでに出撃しています」
A国の代表が地図を指し示した。
「目標は、建設中のバベルの塔です」
「爆撃を……」
日本側の代表たちが顔を見合わせた。
「バンカーバスター爆弾を装備しています」
A国の代表が続けた。
「地下深くまで貫通し、爆発する特殊爆弾です」
「また、同時に」
A国の代表が続けた。
「海兵隊特殊部隊による門の奪還にも着手しました」
「門の奪還を?」
C国の代表の顔が曇った。
「それは早計ではないですか」
「常時開いていると考えられる門を、そのままにしておくことは極めて危険と判断しました」
A国の代表が説明した。
日本側も、判断を決めかねている様子だった。
「ただし」
A国の代表が付け加えた。
「海兵隊の派遣は、あえてゆっくり行います」
「ゆっくり?」
「はい」
A国の代表が微笑んだ。
「バベルの塔が破壊し、そこにあえて海兵隊が大規模な門の奪還計画を立てて行動を始めたという情報を流すことで、アガルタにいる兵を引き上げさせることが目的です」
「なるほど」
吉澤が頷いた。
「彼らに、地球に戻らざるを得ない状況を作るということですね」
「その通りです」
A国の代表が頷いた。
「アークが破壊された以上、アガルタで戦う必要がなくなります。地球に戻るしかないでしょう」
C国の代表も、その判断に納得したようだった。
「理解しました」
日本側の代表も頷いた。
「我々も、協力しましょう」
「ありがとうございます」
A国の代表が感謝の意を表した。
異星人の一人が立ち上がった。
「我々も、必要な支援を提供します」
その声には、確固たる決意が込められていた。
「アークの再起動は、絶対に阻止しなければなりません」
会議室の全員が頷いた。
総理官邸の会議室に、関係閣僚が集まっている。
「状況は予想以上に深刻です」
外務大臣が報告した。
「A国とC国に、ほぼ全ての情報を開示することを提案します」
「彼らも参加するのであれば、やむを得ないでしょう」
総理が頷いた。
「では、次回の会談で情報を共有しましょう」
数日後、再び三カ国の会談が開かれた。
今回は、テーブルの一角に、明らかに人間ではない存在が座っていた。
彼らは、灰白色の肌を持ち、揃いの黒いスーツに白い手袋、そして室内であるにもかかわらず大きなサングラスをつけている。A国の参加者とともに現れたが、誰からも彼らの説明はない。しかし、この場にいる誰もが確信していた。姿形は人のようであるが、彼らは異星人だ。
「まず、我々から情報を共有させていただきます」
吉澤が立ち上がり、田中たちがアガルタから持ち帰った情報を詳しく説明した。
A国、C国、そして彼らは、黙って聞いていた。
「ありがとうございます」
A国の代表が頷いた。
「我々も、新たな情報を入手しました」
A国の代表が、大きなスクリーンに衛星写真を映し出した。
そこには、建設中のバベルの塔らしき構造物が写っている。そして、その近くに、布で覆われた大きな機材が運ばれている様子が見える。
「この布の皺や撓み具合から判断すると……」
A国の代表が真剣な表情で言った。
「これはアークであると我々は判断しました」
会議室に緊張が走った。
「さらに」
異星人の一人が立ち上がった。その声は、機械的な翻訳を通して聞こえてくる。
「あなた方がアークと呼んでいるものに関する情報を提供します」
全員が異星人に注目した。
「そこに写っているのは、氷河期後も気候の安定しない地球の大気を安定させ、緑豊かな星に改造するために我々の祖先が設置した、六台の気象制御機械のうちの一台です」
異星人が説明を続けた。
「その役目は、はるか過去に終わっていました。しかし、二千数百年ほど前、それを動かした愚かな地球人がいました」
会議室の空気が凍りついた。
「その結果、巨大な雨雲が世界を覆い、激しい雷があちこちに落ちました」
異星人が淡々と語る。
「街や森を焼き尽くしただけでなく、巨大な水害が世界を襲いました」
「それは……」
吉澤が息を呑んだ。
「その洪水によって、当時最も繁栄していた国を含め、いくつかの国や都市が、丸ごと海に沈んでしまいました」
「ノアの方舟の水害……」
誰かが呟いた。
「そして、アトランティスの滅亡……」
「もし今、同じようにアークを動かせば」
異星人が全員を見回した。
「また世界に、未曾有の災害が起こるでしょう」
重い沈黙が会議室を支配した。
「それを受けて」
A国の代表が立ち上がった。
「我々は、すでに行動を起こしました」
「行動を?」
C国の代表が驚いた表情を浮かべた。
「B-2爆撃機が、すでに出撃しています」
A国の代表が地図を指し示した。
「目標は、建設中のバベルの塔です」
「爆撃を……」
日本側の代表たちが顔を見合わせた。
「バンカーバスター爆弾を装備しています」
A国の代表が続けた。
「地下深くまで貫通し、爆発する特殊爆弾です」
「また、同時に」
A国の代表が続けた。
「海兵隊特殊部隊による門の奪還にも着手しました」
「門の奪還を?」
C国の代表の顔が曇った。
「それは早計ではないですか」
「常時開いていると考えられる門を、そのままにしておくことは極めて危険と判断しました」
A国の代表が説明した。
日本側も、判断を決めかねている様子だった。
「ただし」
A国の代表が付け加えた。
「海兵隊の派遣は、あえてゆっくり行います」
「ゆっくり?」
「はい」
A国の代表が微笑んだ。
「バベルの塔が破壊し、そこにあえて海兵隊が大規模な門の奪還計画を立てて行動を始めたという情報を流すことで、アガルタにいる兵を引き上げさせることが目的です」
「なるほど」
吉澤が頷いた。
「彼らに、地球に戻らざるを得ない状況を作るということですね」
「その通りです」
A国の代表が頷いた。
「アークが破壊された以上、アガルタで戦う必要がなくなります。地球に戻るしかないでしょう」
C国の代表も、その判断に納得したようだった。
「理解しました」
日本側の代表も頷いた。
「我々も、協力しましょう」
「ありがとうございます」
A国の代表が感謝の意を表した。
異星人の一人が立ち上がった。
「我々も、必要な支援を提供します」
その声には、確固たる決意が込められていた。
「アークの再起動は、絶対に阻止しなければなりません」
会議室の全員が頷いた。
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