大好きだった元彼と結婚させられました

鳴宮鶉子

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かつての恋人がなぜここに!!

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円状に20席あり、中で3人のシュフが目の前の鉄板で豪快にお肉と海鮮を焼いてくれる。
最初は男女で向き合う形で始め、前菜の帆立と鯛のカルパッチョとローストビーフを突きながら自己紹介をし、シャンパンで乾杯をした。

A5ランクのサーロインステーキの食べ比べで、仙台牛、宮崎牛、米沢牛、松阪牛、但馬牛、神戸牛を頂く。

美味しい肉汁がしみた焼き野菜や、合間に鮑や帆立、伊勢海老などの海鮮焼きも出てきて、あまりの美味しさに夢中で口に頬張ってしまう。

就職で東京に出てきて、気心知れた友人達と疎遠になり、親戚の集まりやお見合いでしかこういう高級なレストランで食事をする事がなく、久しぶりのご馳走に感激する。

肉汁のしみたガーリックライスの後に出されたレモンシャーベットとレアチーズケーキとコーヒーを平らげ、大満足な食事だった。

「……あいかわず食い意地がはってるな、咲花」

自己紹介が終わった後、男性陣がお気に入りの女の子の隣に座る形で席替えをし、私の隣に座った男性にいきなりそんな事を言われて戸惑う。

急成長して大手ベンチャーIT企業になったライブアメバの社長が私の隣に座ったのは覚えてる。
自己紹介の時に席が離れてたから名前が聞き取れなかった。

京都大学を卒業した私。
大学の先輩の誰かがライブアメバを設立したのかもと思い、お世話になった先輩方の顔を思い出すも食事にいくほど親しくしていた先輩はいなかったから心当たりがない。

「……咲花、俺の事を忘れたとか?3年間、ほぼ毎日勉強をみてた彼氏の事を忘れるって酷いな!!」

食べるのに夢中で相手をじっとは見てなかったから気づかなかった。

薄暗い室内でもわかる。優しい二重瞼が特徴の端正過ぎる顔立ちをした大好きだった相沢律樹先生。
京都大学を全教科満点で合格し、全ての履修科目をトップで単位取得した頭脳明晰な人。

大学時代に友人達とベンチャーIT企業を設立してたのは知ってた。

まさか、IT業界で最大手の会社までのぼりつめてるとは思わなかった。

「“蒼月”1度行ってみたかったんです!!」

「こんな素敵なカクテル、初めてみました!!」

二次会には出席するつもりはなかったのに、レストランの反対側にある会員制BARに流され入ってしまった。

有名な会員制BARらしく、オシャレなきれいな色をしたカクテルに可愛い女の子達が黄色い声をあげてる。

「……咲花、ウイスキーをロックで頼むって、お前、男か」

私の横に常に座っていて動かない律樹先生。
婚活女子の人気はIT企業の社長や御曹司をさしおいて、安定を求めてからかソミーの子会社の御曹司3人に集中した。
他にヒタチとすばるの御曹司までいて、ハイグレードな男性陣に驚く。

私の隣に律樹先生がドシっと腰を下ろしてるからか、私に声をかけてくる男性はいない。
パンツスーツを着て可愛さのかけらもないのが原因かもしれないけど、和気藹々に盛り上がってる中で、私と律樹先生だけ取り残されてる感じがした。

「咲花、カウンターに移動しないか」

居心地の悪さを感じてるのは私だけでなく律樹先生もだったらしく、VIP roomを出てバーテンダーがシェーカーカウンターに移動した。

「咲花、飲み対決しようぜっ!!」

カウンターに移動するなり、律樹先生がウィスキーをロックで2つ注文した。
鉄板焼レストランで美味しい料理とともにシャンパンとワインをすでに飲み過ぎてて、酔いは回ってる。

「……わかった。負けないから」

「そうこないと。教え子と酒を酌み交わす日がきて、俺は嬉しいよ」

律樹先生が私の隣に座っていたのは、かつての教え子がプレイボーイそうな友人達に遊ばれないようガードしていたのかもしれない。

そう思うと悔しくて、酔いが回ってるのに律樹先生と同じペースでウィスキーを飲み、最後は度数88%のドーバースピリッツをバーテンダーにスクリュードライバーにして貰って呑んだ。

アルコールに強いザル体質のはずなのに、完全に酔い潰れてしまった。
私が酔って意識が飛びそうな状態になっても、律樹先生は涼しい顔をして飲んでた。

ーーアルコールに酔わないワク体質の人と飲み対決はしてはならない。

不覚にも私は意識を飛ばしてしまった……。

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