Substitute lover

鳴宮鶉子

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絶対に許さない side将生

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心愛が妊娠した。
まさかの二卵性の双子で、長男な俺の子で間違いないが、次男は相馬翔琉の子の可能性があり不本意だが、俺の子として2人が産まれくる事が嬉しくて堪らなかった。
相馬翔琉の子を産めば、心愛もそれで満足して俺の嫁として俺の側にいてくれりだろう。
俺は自分の育ての父とは違って、他の男の子供でも分け隔てなく可愛がる。

「瀬坂先生、テルパスのデータの受け渡しを私にさせて下さい!!」

相馬翔琉に相手にされなくなった吉原が時間をみつけて俺のところにくるから腹ただしい。

「心愛がシステム開発の業務についてる。単にデータを相馬専務に受け渡してるだけじゃない。吉原、真面目に仕事しろ!!」

ヒステリックを起こしてる吉原。
院長が面倒見きれないと憤慨し、初期研修医を明けたら櫻井病院に引き取って貰うと父親の救急外来部長に言ってた。

櫻井病院は昔は有名な病院だったが、心臓と癌のオペ実績首位を15年前に国立医療センターに取られ、そして、首都圏でも東京大学病院と私立大学附属病院に患者が流れてる。

吉原は1年留年して私立医大に進学し、頭脳が足りてないからか成績が悪すぎて初期研修先が決まらなくて、裏口で父親がいる東京大学病院が引き受けた。
医師を辞めた方がいいと誰もが心底思ってる。

相馬翔琉に早く身を固めて欲しいとは思うが、こいつが義理の姉になるのは勘弁して欲しい。

予定オペの執刀を専属でしてるのもあり、救急外来の当番がなく、吉原部長から目をかけるよう圧力をかけられる事もないから、吉原の事は完全に相手にしなかった。

その結果、とんでもない事を吉原は引き起こした。
切迫早産で子宮収縮抑制剤のウテメリンの点滴を始めた心愛。
その点滴の中に、子宮収縮薬のオキシトシン、プロスタグランジンF2αが規定量の2倍ずつ入れられ、子宮が裂けてもおかしくない量を点滴されてたと知り、驚愕した。
心愛はすぐに気づいて点滴を抜いたから早産で済んだが、このまま点滴を1分でも長く続けていたら、母子共に即死していた。
監視ビデオに怪しい行動をする吉原が写っていて、すぐに犯人だとバレても、反省の余地はない。

長男は全く問題ないが、次男の方は1280gと低体重なのと、急な陣痛で呼吸が少し止まった事が原因で危ない状態だ。

殺人未遂で警察を呼び、心愛が分娩室にいる間に現場検証を行い、吉原は逮捕され連行された。

櫻井病院の血筋が引き起こした事件だから、慌てて櫻井病院の顧問弁護士が駆けつけてきた。

お金で解決しようとしてきたが、いくらお金を積まれても許しはしない。

櫻井病院の院長 櫻井晴政氏が示談の話をするためにアポなしで俺を訪ねてきた。
予定オペの時間以外は心愛と息子達のところにいたいのに、しつこく詰め寄られ、示談に応じる気はしないが話をつける事にした。

予定オペが20時過ぎまで詰まっていたから、21時過ぎに彼と病院の近くにある料亭で話をする事にした。
晴政氏が顧問弁護士をつけてたから、俺も爺ちゃんから紹介して貰った有能な医療弁護士の先生とその助手に同席して貰った。
1番高いコース料理を注文し、晴政氏は酒を飲むなか、俺は次の日のオペに差し障るからと緑茶で食事をする。

血筋だからもあるのか、顔のパーツが吉原セレナに似てる晴政氏に違和感を感じる。
金で解決をしようとしてくる晴政氏だが、櫻井病院は医療手術ロボットが購入できないぐらい経営が危ういと有川弁護士が話していて、なのに多額な示談金を払ってまでもこの不祥事を闇に葬ろうとしてる理由が理解できなかった。

遠縁の初期研修医がしでかした事なら、放置しても問題ない。
もしかしたらと思い、晴政氏の落とした白髪を持ち帰り、吉原の私物についてた髪の毛と吉原の戸籍上の父親の髪の毛と一緒に遺伝子検査の機関に送り血縁の濃さを調べると共に、吉原の母親について調べた。
吉原の父親は未婚で娘を育ててた。
とはいえ、救命救急医をしていたから娘の世話は親戚に任せていたようだった。

結果は晴政の方が血液が濃いという結果で、吉原は晴政氏の娘だとわかった。
そして、吉原の本当の母親が櫻井将輝を殺害した女とわかり、その事実に体が震えた。

有川弁護士に櫻井将輝の殺害事件についての資料をみせて貰った。
櫻井将輝を殺害したのが遠縁の身内で、その後、娘の心愛を孤児院に入れようとした非道さに身震いした。

櫻井将輝に家督を取られると思った晴政氏の立場を守るために、吉原の母親が娘を産んだ後に櫻井将輝夫妻を殺害した。

直接手を下したのは吉原の母親だが、俺と心愛の親父を殺すきっかけになったのは櫻井晴政。
櫻井病院の現当主で院長を破滅させたいと俺は思った。


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