授かり相手は鬼畜上司

鳴宮鶉子

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酔い潰れ涙溢れる夜

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予算内に納める水回り内装設計の仕事に対し、やりがいを感じる事ができず、仕事が終わるとタクシーでレインボーライオンに呑みに繰り出す。

「和真くん、ゾンビ、お願い!!」

爽やかなパイナップルの風味のトロピカル感たっぷりの飲みやすいロングカクテル。
ラムがたっぷり入っているからアルコール度数は30度ぐらいあるらしい。

「結衣さん、日に日にアルコール量が増えてますよ」

レインボーライオンに通い始めて1年。
ほぼ毎日通いアルコール度数が高いカクテルばかりオーダーするから、お酒に強くなった気がする。
アルコール度数が高いショートカクテル3杯では酔えない。

「最近、仕事にやりがい感じられないし、焦燥感しか持てないの。トレーダーで稼いでるから辞めても生活は困らないけど、ビル建設の内装設計士になるのが夢でそのために努力してきたから、辞めるに辞められない」

仕事のストレスもあって、ついつい呑み過ぎてしまう。
死者でも蘇るほどのカクテルといわれてるゾンビ。
口当たりがロングカクテルで量がたっぷりと入ってるのに、ぐびぐびっと一気に呑み干してしまった。

「和真くん、ゾンビ、おかわり!!」

「結衣さん、呂律が回ってないですよ。少し時間を空けてからお酒をオーダーして下さい」

「難波くん、僕にソルティードッグ、彼女にコンクラーベを作ってくれる?」

ひと席空け、私の隣に誰かが座る。
艶気を含んだ低い男性の声が耳に入り、振り向く。

仕立てのいいスーツに身を包んだシャープな輪郭、目鼻が整った端正な顔立ちをした30歳前後ぐらいの長身の男性が座っていた。
サイドに流した黒髪にシルバーフレームの眼鏡をかけた男性は、知的な雰囲気を醸し出している。

「涙を拭いて、仕事で辛い事あったんだ。話、聞くよ」

泣いていた事に気づいてなかった私に、男性がラルフローレンの黒いハンカチを差し出す。
受け取らないでいると、男性がハンカチで優しく涙を拭ってくれた。

「内装設計士をしてるんだ。僕は高層ビルの意匠設計と設備設計をしてる。外装デザインと耐震強度ばかり目に行き、内装に関して気にかける事なかった。内装設計について教えてくれたら嬉しいな」

目の前に立っている容姿端麗な男性を見あげると、優しく微笑み、私の頭を撫でた。

勤め先をふせ、同じ建設業界で働いているは男性と話す。
仕事内容や建築設計についての考え方について。

「……確かに住居だと住み心地が重要だから内装は大事だな」

相槌を打ちながら、話をじっくり聞いてくれた。
大学時代に学んだ事の話の流れで元夫と描いていた夢についてを語り、そして離婚についてと私の身体の欠陥についてを打ち明けた。

「子供ができない事が理由で離婚か。辛かったな」

「……お願いがあります。私を慰めてくれませんか。一夜限りの関係でいいです」


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