With you forever

鳴宮鶉子

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陥れられた結婚だったから

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18時半に志貴から呼び出され、タクシーで彼の家に向かい、19時過ぎに帰ってきた志貴を出迎え、21時過ぎまで肌を合わせ、タクシーで中野にある夫が設計して建てたマイホームに戻ってくる。
夫は23時頃にいつも帰ってくるけれどたまに21時過ぎに帰ってくる事があるからタクシーから降り、家の電気がついてない事にほっとする。

夫とわたし用に用意した夕ご飯のおかずとご飯はタッパーに入れて志貴の所に持っていった。
だから慌てて冷凍庫から味噌漬けしたトンテキを出して電子レンジで解凍しフライパンで焼く。
そしてキャベツの千切りに焼いたトンテキを乗せ、冷蔵庫から茹でたブロッコリーとアスパラとミニトマトを添え軽くラップをして、帰ってきてすぐにお湯炊きしたお風呂に急いで入る。

志貴家でお風呂に入ってきた。
志貴にうちで使ってるボディーソープとシャンプーで身体を洗って貰って、志貴の匂いを消したつもりでいても、服を着て帰る前に彼に抱きしめられ別れを惜しんで濃厚なキスをするから、志貴の匂いがわたしについてるかもしれない。

着ていた服を洗濯機に入れ、溜めたお湯に浸かる。

そして、ドアが開く音がしたからでて、身体を拭き、パジャマを着て、髪をドライヤーで乾かしてからダイニングに向かう。

「おかえりなさい。拓海さん」

夫の拓海さんがダイニングテーブルについて、ビールを飲みながらわたしが作ったおかずをつまんでた。
味噌汁を温めて注いで出す。

「ありがとう。このトンテキ美味しいよ。愛伽さんは料理が上手だから毎日手料理が食べられて幸せだよ」

話す話題がないからいつものようにわたしの作った料理を誉め、「ごちそうさま」と拓海さんはお風呂に入る。

食器を片付け、歯磨きをし、先に寝室に入る。

夫婦だから夫が誘ってきたら応じるしかなく、志貴に抱かれた日だけは抱かれたくないと願うも、変に拒絶して不倫をしてる事がバレたらまずいから、夫に身体を委ねてる。


「愛伽……させて」

運悪く、拓海さんが今日はやりたい日らしく、わたしの上に覆い被さり、わたしが着てるパジャマのボタンを外し始めた。

わたしの身体を手と口で刺激していっても志貴にされるみたいに感じる事ができない。

拓海さんが濡れてないわたしの恥部にローションを垂らし、逸物にゴムをつけて中に割り入ってきて、わたしの中を出し挿れして突いてくる。
それが痛くて苦痛で早く終わって欲しいと、わたしは心の中で呪文のように唱えた。

1番嫌なのは行為の最中にわたしにディープなキスをしてくる事。

行為が終わって拓海さんが眠った後に、わたしはお風呂に入って念入りに身体を洗い、そして歯も磨く。

拓海さんはイケメンの部類の男性だ。
背は183cmで週末にジムに通ってるから細マッチョで、顔も彫りが深く鼻筋が通っていて目がキリッとしたイケメン。
しかも戸建設計のセンスが天才的で、戸建建設の業界で1番人気の設計士だ。
だから、今だに社内やクライアント先でモテまくってるらしい。

そんな素敵な拓海さんが夫なのに、わたしは彼を愛せず、大学時代から4年間付き合ってた志貴と浮気をしてる。

わたしの父が社長をしてる一族経営の一条ホームに拓海さんを繋いでおくために、わたしは生贄として拓海さんに差し出された。
当時受付として働いていたわたしを拓海さんが見て気に入って、父からの縁談を承諾してしまった事で無理矢理結婚させられた。

わたしは志貴と結婚して夫婦になりたかった。
拓海さんに抱かれた後、毎回、わたしはお風呂の中で泣いた。

結婚をしてから専業主婦になり、わたしは家でのんびり暮らしている。

本当は仕事をしていたかった。

なのに、父に仕事をせずに家庭を守れと言われ、拓海さんと結婚させられてからは拓海さんが外装も内装もデザインした一軒家に引きこもって生活をしてる。

大学を卒業してから半年だけ、わたしは一条ホームの受付をしてた。
インテリアプランナーとして仕事に就きたかったけれど、社長令嬢だからと受付に座らされ、大学で学んだ事が活かされない業務をさせられた。

大学時代、ハウスメーカーを一族経営してるのもあり建築関係の仕事につきたかったわたしは、父から『女だから行く必要な無い』と言われたけれど、がむしゃらに勉強をして、京都大学の建築学科に入り、戸建建設のインテリアデザインについてを勉強した。
国立大学の建築学科なら県外でも通わせてくれると父が言ったから、風情のある京都で暮らしてみたくて、京都大学を志望校にした。
なんとか京都大学の建築学科に合格したわたし。
4年間しっかり勉強をし、インテリアプランナーなどの建築関係の資格をとれるだけとった。

なのに、父はわたしに建築関係の仕事をさせてくれなかった。

父はわたしを会社経営にプラスになる人と結婚させて、会社を大きくするための生贄としか思ってなかった。

父から拓海さんとの縁談を進められ結婚させられた後、一条ホーム創業一族の娘として産まれた宿命を嘆いた。


親の監視の無い京都での暮らしは楽しかった。

父から男女交際を禁止され中高一貫女子校に通ってたわたし、大学に入って建築関係のサークルで3歳年上の東堂志貴さんと出会い、お互い出会った途端に惹かれ合い恋に落ち付き合い始めた。

サークルのリーダー格だった志貴さん。
178cmで引き締まった身体をしていて、知的な愛くるしい顔立ちをしたイケメンで、京大を首席で合格するほどの頭脳明晰な人だった。
センスもよく大学生の時から公共施設のデザインコンペで選ばれていて、建築業界で注目されてた。

そんな志貴さんにわたしは常に優しくされて愛されて、嬉しかった。

わたしも志貴も東京出身で親里離れて1人暮らしをしていたから、付き合い始めてからわたしは志貴の家に大学を卒業するまで入り浸っていた。

志貴の隣にずっといた。
離れていたのは大学の講義中ぐらいで、サークルもバイト先も志貴と一緒だった。

志貴は大学院修士課程まで出て、わたしが卒業する1年前に卒業したけれど、1年目は大学院での研究を継続させるために大島建設の京都支社に配属された。
2年目からは東京本社に異動になり、志貴と共に東京に戻り、父に許しを貰い志貴さんと結婚したいと思ってた。

なのに、その思いは叶わなかった……。


「……志貴、わたし、結婚させられたけど、志貴と離れられない」

東京に戻ってから、父にバレないよう志貴と会ってたわたし。
休日と志貴が定時退社日の水曜日と金曜日に22時の門限まで志貴が1人暮らしをしてる賃貸マンションで逢瀬を重ねてた。
父に志貴さんとの交際が見つかると実家に閉じ込めらる気がして、こっそり付き合ってた。

わたしの縁談は勝手に進められ、父から拓海さんを紹介されてから2ヶ月後には結婚式を挙げ拓海さんの建てた家で拓海さんと暮らすようになったから、志貴に何も話せないまま、わたしは人妻になってた。

結婚をしてからも拓海さんが仕事で遅い時間に帰ってくることをいい事に、結婚したことを伏せて志貴と会ってた。

でも、結婚するまでは休日を一緒に過ごしてたのが過ごせなくなり、その理由を志貴に問いただされて、わたしは結婚させられた事を志貴に打ち明けた。

「……愛伽は悪くない。愛伽のお父さんがそういう人だと愛伽から聞いてたのに手を打たなかった俺にも責任がある。
愛伽、俺が建築士として有名になって、愛伽のお父さんが認めて貰えるようになったら、愛伽を迎えに行くから」

結婚してるわたしだけど、志貴と週に2回逢瀬を重ねた。
拓海さんには絶対にゴムをつけさせるのに、志貴とは生でやり、中に子供ができる種を放出させてるわたし。

志貴と結婚できなくて夫婦になれなくても、志貴とずっと愛し合い、志貴の子を宿し育てたいと思った。
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