With you forever

鳴宮鶉子

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わたしだけではなかった

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いつも23時と帰宅が遅い拓海さんに対して、遅くまで仕事をしているからだと思っていたわたし。

「……愛伽。拓海さんと離婚しろ」

突然、専務と設計士を兼任している一条ホームの跡取りの兄が火曜日の21時過ぎに家にやってきて、わたしに衣類等の私物を箱に詰めるよう言ってきた。
兄に言われるまま、衣類と気に入ってる小物とiPad とノートパソコンなどの私物を段ボール5箱に詰め、兄の車のトランクに積んで夜逃げのように家を出た。

「拓海さんの建築設計は盗作だった。福岡の神崎工務店の建築士が同じような家を建てていてどちらがオリジナルかを調べるために出身大学を調べたら2人が同じゼミの先輩後輩で拓海さんが後輩の建築デザインを盗んだとわかった。
おかしいと思っていたんだ。拓海さんが評価された戸建住宅15件以外が全てあまりにもお粗末すぎて耐震強度に関しても問題があったから。
それと……拓海さんは浮気をしていて浮気相手との間に2人子供がいる。1人は産まれて2ヶ月だから愛伽と結婚した時期にできた子だ。
そういうわけだ。愛伽、拓海と離婚させる。だからしばらくは俺の家に来い」

車の中で兄から拓海さんの悪業を聞かされた。
兄は拓海さんの仕出かした事に対して怒り奮闘だった。


新宿駅側のタワーマンションの高層階に住んでいる兄。
28歳の兄はまだ結婚していない。
仕事で成果を上げる事を最優先にさせるのと父が目ぼしい結婚相手を探し出してないことから独り身を謳歌してる。

「紗香(さやか)、妹を連れてきた」

兄が1人暮らしをしていると思っていたら恋人がいて恋人と同棲してると知り驚いた。
しかも、インテリアプランナーとして兄とペアを組んでる人だった。

「愛伽ちゃん、1年間一緒に暮らしていた人だから情が湧いて辛いかもしれないけど別れた方がいい。
離婚の手続きに関しては、創真(そうま)が弁護士を立てて動くから愛伽ちゃんは何もしなくていい」

「親父に関しても3代目社長で建築に関して何も知らず経営学も学んだ割にお粗末で威張るだけのワンマンだから社長の椅子から引きづり下ろす。
うちの株を持ってる協力会社を全て味方につけたから明日の株式総会で親父は社長を解任され俺が社長になる。
もう俺たちは親父の言いなりじゃなくなる。自由だ」

建築士としても経営に関しても業績を残している兄。
兄は協力会社の人達から信頼され、建築士としても口コミから指名がくるほどだ。
口だけの父とは違う……。

紗香さんにゲストルームに案内され、そこにしばらく住まわせて貰う事になった。

志貴に拓海さんと離婚する事とワンマンな父が兄によって社長の座から引きずり降ろされ、兄のおかげで自由な身になった事を早く伝えたかった。

遅い時間だから、兄と紗香さんが出勤した後にLINEメッセージを志貴に送り、LINE通話で報告しようと思った。


次の日、6時半に目が覚める。
部屋から出るとリビングで兄と紗香さんがバタバタ出勤準備をしていた。

「愛伽、株式総会で一波乱起こすから帰宅は深夜過ぎる。紗香も遅くなるから今日は1人で夕ご飯食べて先に寝てて」

「愛伽ちゃん、カードキー。行ってくるね」

紗香さんにカードキーを渡され、慌てて家から出て行く2人をリビングで見送った。

時計の針を見たらまだ6時45分でここから志貴の住む賃貸マンションまで徒歩5分だから、着替えてメイクをして志貴のところへ行く事にした。

地下1階のスーパーで食パンと卵とベーコンとバターとサニーレタスとミニトマトを購入し、志貴のところへ急ぐ。

志貴の部屋の鍵を開けて、そっと家の中に入った。
そして、志貴が眠る寝室のドアを開け、眠ってる志貴に覆い被さりキスをした。

「………あ、愛伽??あれっ」

寝起きにわたしがいて、志貴はポカンとした表情を浮かべた。

「あのね、昨日色々あって拓海さんと離婚する事になって、父も社長の椅子から引きづり降ろされて兄が社長に就任する事になったの。
それで昨日から兄の住んでるここから徒歩5分先のところにあるタワーマンションでお世話になる事になって、それで兄と兄の彼女が出勤したから志貴に会いに来たの」

志貴に簡単に今のわたしの置かれてる状況を説明した。

「そっか、愛伽のお兄さんが動いたか。旦那の建築デザインの盗作をリークして、旦那の愛人と子供がいる写真を会社宛てと愛伽の実家に送ったんだ。3ヶ月以上前に手を打ったのに動きがなくて揉み消されたと思ってた。
もう1つ、手を打つ手はずは整ったけれど、その前に愛伽が離婚して何も障害がなく俺の元に戻ってきた。
良かったーー」

志貴はそういうとわたしを抱きしめ、わたしを下に敷き、舌を絡め合うキスをしながらブラウスの中に右手を入れてブラジャーのホックを外し、左の膨らみを揉みほぐす。

「愛伽、出勤まで時間があるから1回やらせて」

わたしのブラウスのボタンを外し脱がせインナーとブラをたくし上げ、スカートもホックを外し脱がせベッドの外に投げた。
そしてストッキングを破れないよう脱がせ、志貴はわたしに濃厚なキスをしながら全身を愛撫でした。

「……愛伽と暮らし始めたら俺、毎日仕事に遅れそう」

わたしが人妻になったのを知ってからは志貴は、マーキングのようにただわたしの身体が自分のものといった感じでわたしの身体を喜ばせわたしを溺れさせ中に遺伝子を放出する行為をしてた。

それが、わたしが人妻で無くなることでわたしとの情事に対しスキンシップのような愛情表現になった気がした。

今までは野生的なバックで行為をする事が多かったのに見つめあって仰向けで繋がり抱き合う体位と座った状態で繋がる体位でわたしを抱く。

「ーーまずい、8時30分だ!!朝礼サボってしまった。クライアントに直行するって会社に電話してくる」

気づいたら朝っぱらなら1時間半も身体を求め合い繋がってた。

「愛伽、シャワーを浴びて着替えてて」

汗でメイクが崩れてしまったからシャワーで全身を洗った。
時間がないから慌ててドライヤーで髪を乾かし服を着てメイクをして洗面所から出て入れ替わりで志貴がバスルームに入たけど8時45分過ぎていて慌てた。
9時には家から出れたけれど朝食を食べ損ねクライアント先に向かうはめになり、お腹がならないか気にしながらヒアリングをした。


「……もう、朝に志貴のところに行かない」

「そんな事をいうなよ。同棲できるまでは毎日起こしに来て欲しい。
7時半に家を出ないといけないから7時15分までしか愛伽に触れられないけど、朝礼が終わったらクライアント先周りで8時30分に愛伽を迎えに来るから、俺の家で待っていて欲しい」

「…………」

クライアント先からオフィスに向かう車内。
コンビニでおにぎりを買って食べながら志貴と話す。

志貴と一緒にいたいから朝起こしに行く。少しの時間でも志貴とキスして抱きしめて貰って時間があれば身体に触れて貰って繋がりたい……。

「兄と彼女さんが出勤して行けそうだったら起こしに行くね。
夜も今日は兄と彼女さん、深夜過ぎに帰ってくると言ってた」

「俺も月、火、木は帰宅は10時前になる。なるべく早く帰るからいて欲しい」

兄の住んでいるマンションでお世話になるようになって、志貴と一緒にいられる時間が増えた。

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