政略的結婚、したらいけないですか?

鳴宮鶉子

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杉瀬システム制御設計会社 1

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杉瀬先輩と葛城先輩は博士課程3年。
博士取得後卒業になる。

「葛城、卒業後、どうするんだ?」

「……アメリカに行こうかな」

進級して始めてのゼミ。
杉瀬先輩と葛城先輩の会話にゼミ生全員が注目する。

「はっ、葛城、日本の半導体技術が廃れた原因を忘れた!!」

「政治的な問題だから関係ない。アメリカの方が研究環境が整ってるからな」

葛城先輩にデンタにきて欲しい私は焦る。

「俺を見捨ててアメリカに行くな!!杉瀬製作所再建に協力してくれっ!!」

「…‥断る」

「俺と伽凛を見捨てるのかっ!!」

杉瀬先輩は葛城先輩を再建する会社に引き入れるつもりだったらしい。

「そういえば、伽凛もなんかApploとGoogloからスカウトきたって言ってたな。杉瀬製作所再建は兄妹の目標だから断わりのメールを入れさせたが……」

杉瀬先輩は毒兄だ。
杉瀬製作所再建のためなら、妹をApploかGoogl oに修行に出した方がいいと思うのはたぶん、私だけではないと思う。

「葛城、伽凛連れてアメリカに行ったら赦さないからな!!」

葛城先輩は伽凛ちゃんのシステム開発能力を認めている。

「……英語が話せないからキツいだろ」

伽凛ちゃんはアメリカ留学でアメリカンドリームに成功したぐらい、バイト代を稼いできた。
それで杉瀬先輩にデンタの半導体製造工場で使っている製造ロボットを購入した。

『もう、出稼ぎは嫌……』

英語が苦手な伽凛ちゃんは、2度と海外に行かないと言っていた。


****

「最新の半導体製造設備は違うな!!」

微細化で重要な基板になるウエハー製造装置やナノシート製造装置、それに縮小投影型露光装置などなどを購入した杉瀬先輩。
杉瀬製作工場再建のための設備投資に5000万円近く支払った。

「……工場、建て替えたらいいのに」

伽凛ちゃんは工場自体を建て替えたかったらしく、ため息をつく。

「じっちゃんとの想い出が詰まってるから壊せるか!!」

初見のクライアントが古びた町工場を見て設備を懸念して逃げていかないか部外者の私も心配になる。

来年の4月に会社設立を考えている杉瀬先輩。
公にはしてないが、古い型式の生産ロボットや製造機を、デジタルトランスフォーメーションで自動化と省力化させる仕事を請け負っている。
基盤と制御システムを作り直す事で性能が格段と上がるから、クチコミで顧客は多い。

葛城先輩とドラえ○んの秘密道具みたいな製品を製造しなくても、実は兄妹2人だけで年商1億5千万円は稼いでいたらしい。

「三谷さん、ナノ3電子部品を原価で卸して下さり、ありがとうございます。助かります」

ナノ3半導体用の電子部品を設計したのは葛城先輩。
それも踏まえ、デンタの電子部品を原価で卸すようデンタの購買部と上層部に交渉した。

伽凛ちゃんにお礼を言われたけど葛城先輩の設計図のおかげでデンタはナノ3半導体製造技術を取得したから、葛城先輩に多額の設計料を支払わないといけないところ。
大学院との共同開発という位置付けだから、研究経費として気持ちほどの謝礼しか支払われていない。


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