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第1話
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「エリザヴェータよ、私、王太子ルーカスの名の下、貴様との婚約破棄を宣言する!」
貴族の子息子女達が大勢集まる舞踏会の最中、私、エリザヴェータ・バートリオンは婚約者ーー元と言ったほうがいいかもしれないーーのルーカス・カロリング王太子にそう告げられた。
この人は一体何を言ってるの?頭でも打ったのかしら?
私は混乱しながらもルーカス様にその暴挙ともいえる行為の理由を聞いた。
「あの、なぜ婚約破棄を? 何か理由がお有りなのですか?」
「とぼけるな! 貴様が私の婚約者という立場を利用して王家の財を私的に浪費したことは分かっている!」
「はぁ、そんな事をした覚えは一度もありませんが…」
そもそも私はこれでも王国有数の侯爵家の生まれだ。わざわざ王家の財を使う必要性は全くない。
「この後に及んでまだ否定するつもりか? それに貴様、ここにいるアンナ・マリエッタ男爵令嬢に度々嫌がらせをしていたそうではないか? そうだよな、マリエッタ嬢?」
「…はい…、確かでございます」
ルーカス様の横に立っているアンナ・マリエッタ男爵令嬢は嘘くさい泣き真似をしながら、私に嫌がらせを受けたことを告白した。
彼女と会うの、初めてなんだけどなぁ…。
ようやく話の流れが分かってきた。要するにこの馬鹿王太子は彼女にうつつを抜かし、婚約者である邪魔な私を排除しようとする魂胆なのだろう。
確かにルーカス様は最近、勝手にどこかに行き、私を露骨に避けていたのだけど、彼女のところに通っていたのか。
まぁ彼女の小動物のような可愛らしさがあるので庇護欲をそそられるのも分からなくない。
それにしても、ルーカス様は私との婚約を破棄すると侯爵家の後ろ盾をなくすのだけれどそれが分かっているのかしら?
「マリエッタ嬢だったかしら? 私はあなたとは初対面のはずでしたけど、その嫌がらせというのは勘違いでなくって?」
「ひ、酷い…! 私はあなたから受けた数々の仕打ちをはっきりと覚えています…! ある時は私にむかって『男爵令嬢如きがこの侯爵家の生まれの私に対して軽々しく話しかけてこないで』というような言葉や、貴族令嬢達が集まるお茶会で私の根も葉もない噂を流した事、私は決して忘れません…!」
まぁよくもここまでポンポンとありもしない事を言えるわね。
彼女には貴族令嬢よりも演技派女優の方がよっぽどお似合いに見える。
「ここまで決定的な証拠を言われたのだ。もはや言い逃れはするまいな?」
そう言いながら私を睨みつけてくるルーカス様に対して私はもう呆れ果てていた。
昔から自分勝手な人だとは思っていたけど、ここまで自分勝手だとは思わなかった。
こんな人の妻になるなんてこっちから願い下げだ。
「はぁ、もういいです。私、エリザヴェータ・バートリオンは婚約破棄を受け入れます」
「ようやく罪を認めたか。最初から認めていれば大勢の人の前で醜態を晒さずに済んだものを。貴様の顔など二度と見たくもない。ここからさっさと失せるがいい」
私はルーカス様の言葉に従い一刻も早くこの場所から去ろうとしたが…
「待ってください!」
そう言ってこちらに向かってきた人がいた。
その人物は…
「ユリウス様?」
王国の第二王子、ユリウス・カロリング殿下だった。
貴族の子息子女達が大勢集まる舞踏会の最中、私、エリザヴェータ・バートリオンは婚約者ーー元と言ったほうがいいかもしれないーーのルーカス・カロリング王太子にそう告げられた。
この人は一体何を言ってるの?頭でも打ったのかしら?
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「はぁ、そんな事をした覚えは一度もありませんが…」
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「…はい…、確かでございます」
ルーカス様の横に立っているアンナ・マリエッタ男爵令嬢は嘘くさい泣き真似をしながら、私に嫌がらせを受けたことを告白した。
彼女と会うの、初めてなんだけどなぁ…。
ようやく話の流れが分かってきた。要するにこの馬鹿王太子は彼女にうつつを抜かし、婚約者である邪魔な私を排除しようとする魂胆なのだろう。
確かにルーカス様は最近、勝手にどこかに行き、私を露骨に避けていたのだけど、彼女のところに通っていたのか。
まぁ彼女の小動物のような可愛らしさがあるので庇護欲をそそられるのも分からなくない。
それにしても、ルーカス様は私との婚約を破棄すると侯爵家の後ろ盾をなくすのだけれどそれが分かっているのかしら?
「マリエッタ嬢だったかしら? 私はあなたとは初対面のはずでしたけど、その嫌がらせというのは勘違いでなくって?」
「ひ、酷い…! 私はあなたから受けた数々の仕打ちをはっきりと覚えています…! ある時は私にむかって『男爵令嬢如きがこの侯爵家の生まれの私に対して軽々しく話しかけてこないで』というような言葉や、貴族令嬢達が集まるお茶会で私の根も葉もない噂を流した事、私は決して忘れません…!」
まぁよくもここまでポンポンとありもしない事を言えるわね。
彼女には貴族令嬢よりも演技派女優の方がよっぽどお似合いに見える。
「ここまで決定的な証拠を言われたのだ。もはや言い逃れはするまいな?」
そう言いながら私を睨みつけてくるルーカス様に対して私はもう呆れ果てていた。
昔から自分勝手な人だとは思っていたけど、ここまで自分勝手だとは思わなかった。
こんな人の妻になるなんてこっちから願い下げだ。
「はぁ、もういいです。私、エリザヴェータ・バートリオンは婚約破棄を受け入れます」
「ようやく罪を認めたか。最初から認めていれば大勢の人の前で醜態を晒さずに済んだものを。貴様の顔など二度と見たくもない。ここからさっさと失せるがいい」
私はルーカス様の言葉に従い一刻も早くこの場所から去ろうとしたが…
「待ってください!」
そう言ってこちらに向かってきた人がいた。
その人物は…
「ユリウス様?」
王国の第二王子、ユリウス・カロリング殿下だった。
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