俺が信長で、幼馴染が吉乃と濃姫!? ~転生幼馴染トリオ、本能寺フラグ回避して戦国スローライフ目指します

月影 流詩亜

文字の大きさ
13 / 57
第三章:うつけの仮面の下で

第12話 姫様(側室)だって戦力です!

しおりを挟む

【視点は空(吉乃)です。】

  わたし、生駒吉乃いこま きつのこと元・藍井空が、この那古野城とかいうお城に来てから、しばらく経った。

 側室っていう立場には、正直まだ全然納得いってないけど、大ちゃん(今は織田信長様、か)と海(帰蝶様、ね)と再会できて、三人で生き残るって目標ができたんだから、メソメソしてても始まらない!

 というわけで、わたしはわたしの持ち場でできることを頑張ることにした。
 それが、この「奥」と呼ばれる、女の人たちがたくさんいる場所での情報収集!

 幸い、わたしの持ち前の明るさと人懐っこさ(自分で言うのもなんだけど!)は、この時代でもそこそこ通用するみたいだった。
 侍女のお花ちゃんやお松ちゃんたちに、現代のお菓子……は作れないから、果物とか干菓子とかをこっそり分けたり、彼女たちの故郷の話や、ちょっとした悩み事を聞いたりしているうちに、少しずつだけど打ち解けてきた気がする。

「吉乃様は、本当に優しいお方ですね」

「それに、時々おっしゃることが面白いというか……」

 うんうん、良い傾向! 
 この調子で、侍女さんたちの信頼をゲットして、情報ネットワークを築き上げるのだ!
おかげで、最近はいろんな噂話がわたしの耳にも入ってくるようになった。

「〇〇様(家臣の名前)は、最近羽振りがいいらしいですよ」とか、

「△△様(別の側室)は、殿のご寵愛が薄れたと嘆いておいででした」とか……中には、大ちゃんの情報も。

「殿が、また畑で作物のことで妙なことをおっしゃって、丹羽様を困らせていたとか」

「でも、若手の前田様は、殿のそういう型破りなところを慕っているみたいですよ?」

 なるほどねー。大ちゃん、相変わらず「うつけ」やりつつ、色々試しては失敗してるみたい。
 でも、ちゃんと見てくれてる人もいるんだ。
 そういう情報は、ちゃんと大ちゃんに伝えてあげないとね!

 週に一度、わたしたち三人は深夜にあの東屋で密会しているんだけど、それ以外でも、時々は偶然を装って大地と顔を合わせる機会を作っていた。

「やっほー、大ちゃん! …じゃなくて、殿! また何か変なもの作って家臣の人たち困らせてるんだって?」

 庭で一人、考え事をしている(ように見える)大ちゃんを見つけて、わたしはわざと明るく声をかけた。

「う、うるさいな! あれは試作品だと言ってるだろう!」

 大ちゃんは周りを気にして小声で反論してくるけど、その顔はちょっと疲れてるみたい。
 やっぱり、一人で色々抱え込んでるんだ。

「まあまあ、失敗は成功のもとって言うじゃん? めげずに次、行ってみよー!」

 わたしが現代のノリで励ますと、大地は一瞬きょとんとした後、ふっと表情を和らげた。

「……お前は、本当に変わらないな」

「当たり前でしょ! それより、何か困ってることないの ?  わたしにできることなら、協力するよ ?」

「……ありがとう、空。お前と話してると、少しだけ気が楽になる」

 よしよし。ちゃんと精神的支柱にもなれてるみたい! 大ちゃん、一人で頑張りすぎちゃうところがあるから、わたしと海でしっかり支えてあげないとね。

 そんな感じで情報収集と大地へのメンタルケア(?)に励む毎日だけど、時々、無性に現代のものが恋しくなる。
 特に食べ物! あの甘くて美味しいお菓子が食べたい!

「……そうだ! 作ってみればいいんだ!」

幸い、侍女さんたちとは仲良くなってきたし、台所もちょっとくらいなら借りられるかもしれない。
 材料は……この時代にあるもので、なんとかなるかな ?

 わたしは早速、お花ちゃんたちに相談して、台所を使わせてもらう許可をもらった。そして、米粉とか、きな粉とか、お砂糖(貴重品らしい!)、卵なんかを集めて、記憶を頼りにクッキー……は無理そうだから、蒸しパンみたいなものに挑戦してみることにした !

 結果は……まあ、お察しの通り。

 火加減が難しすぎて焦げたり、分量が適当すぎて妙に硬くなったり、形がいびつになったり……。

「うーん、なかなか難しい……」

 粉まみれになって奮闘するわたしを見て、手伝ってくれていたお花ちゃんもお松ちゃんも苦笑い。

「姫様は、本当に面白いことをなさいますね」

「でも、なんだか楽しそうでございます」

出来上がった「何か」は、お世辞にも美味しいとは言えなかったけど、侍女さんたちは「初めてにしては上出来ですよ!」とか言って、喜んで(?)食べてくれた。

 うん、これもコミュニケーションの一環だよね! 味はともかく、わたしの行動が、奥でのわたしの立場を少しずつユニークなものにしてくれている気がする。

よし、この調子 !

 情報収集、大ちゃんへのサポート、そして時にはお菓子作り(?)。わたしなりに、この戦国時代でできることを見つけて、ちゃんと三人の役に立ってみせる! 海とも、もっと連携していかないとね!

 不安がないわけじゃないけど、わたしは前を向く。姫様(側室)だって、立派な戦力なんだから!




 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

処理中です...