9 / 71
彼女の独白
しおりを挟む
【side.みゆ】
「それじゃ、俺バイト行ってくるから」
そう言って、和哉くんは家から出て行ってしまった。私の荷物を運んで急いでお昼ご飯を用意してくれて、それを食べるとすぐに家から出ていってしまった。
「いってらっしゃいくらい言えば良かったかな?」
昨日、この家には来たばかりだというのに何故だか、この部屋にはずっと居たような居心地の良さがある。今頃取り壊されているであろう、自分の部屋と同じ何かをこの部屋からは感じるのだ。それに、和哉くんともほぼ初対面にも関わらず、気を許せてしまっている自分がいる。その証拠に口調なども最初は警戒して強めの言葉を使っていたのにたった1日しかたっていないのにもう素の口調になってしまっている。なんだろうか?
「それにしても.......本当に和哉くんは何もしてこなかったな.......」
正直に言うと、私は昨日の夜、泣いてしまったあとも泣き疲れて寝たフリをして起きていたのだ。泣いたのを見られて恥ずかしくなってしまったから寝たフリをしていたというのもあるんだけど.......。
私が寝たと分かれば、和哉くんも手を出してくると私は確信していたのだけど何もされなかった。だとしたら彼は、どうして私を買ったなどといって家に連れてきたのだろうか? 私を買ったと言い張るなら、私の体をどうしようと彼の自由だとか言って好き放題してもおかしくないと思っていたのに.......。
「それに、何となく和哉くんは私と似ている気がするんだよね.......」
和哉くんは表面上は明るく振舞っているように見えるのだけど、どうしてか私にはそれが作り物に見えて仕方ないのだ。彼が私のために怒ってくれている時とかには、怒りの感情以外にも寂しさのようなものがあるような気がする。
「もしかして、和哉くんも両親と何かあったのかな.......」
本当にそうだとしたら安易には聞けない。彼が自分から話すまで私からは聞いてはいけない事のような気がするのだ。けど、何となくこの予想は間違っていない気がする。親に捨てられた私だからこそ、分かることかもしれない。
「.......気になる」
聞いてはいけない事だというのは分かっているのだが、気になるものは気になるのだ。だいたい、高校1年生のくせに一人暮らしをしているということが普通に考えて異常なのだ。親に捨てられた私が異常とか言ってもって感じもするんだけど.......。
「けど、和哉くんには感謝しないとね.......」
和哉くんがいなければ私は今頃死んでいたかもしれない。彼も言っていたけけど、私は死にたくはなかったのだ。死ぬことは誰にとっても恐ろしいことでなのだ。人に唯一本当の意味で与えられた自由は死ぬ事だとか言ってる人もいるが私にとっては詭弁でしかなかった。死にたくないと思っているのが人という生き物なのに死ぬ事が自由だとか意味がわからない。
そんなことはどうでもいい。大事なのは私が和哉くんに感謝しているということだ。もしかしたら、今日バイトから帰ってきた彼に出て行けと言われるかもしれないがそれは無いと思う。こんな中途半端に追い出すくらいなら最初から私を家に連れてきてなどいないだろうから。もし追い出されても、1日長く延命させて貰えたと考えたらありがたい話だ。美味しいご飯も食べさせてくれたし。
「彼になら本当に体を好きにしてもらってもいいとか思う私はエッチな女の子なのかな?」
私は彼になら何をされてもいいと本気で思っていた。親に捨てられた私にここまで優しく親切にしてくれた。10万円も結局、私を買ったからこの金はお前のものだとか言って私に押し付けられた。死に損ないだった私には、この1日は人生で最も幸せだったと思える1日だった。親に捨てられる前でも私は、親からの愛情というものを与えられなかった。親として最低限のこと。つまり、お金だけは沢山与えられた。でも、それだけだった。私の親は、学校に通わせお金を私に与えるだけだった。幸せと思える時間は読書に没頭して本の世界にのめり込んでる時間だけだった。そんな私に、こんな素敵な日をくれた彼になら私はどんな扱いを受けても構わないと本気で思う。
「そう言っても、彼は何もしてこないんだろうな.......朝はヘタレとか言ったけど、和哉くんは優しいだけなんだってことは分かってるんだよね.......」
彼はバイトに行く前に私に、1万円を押し付けて来た。これはなに? っと聞いたら彼は、「布団代だ」と答えた。バイトに行くから俺は買いに行けないから自分で布団を買いに行けとの事だった。私は、10万円があるからいいも言ったのだが、彼は断固として私に1万円を押し付けた。
「本当に彼はどうして私なんかのために.......」
考えても考えても答えは出そうにない。そう結論づけた私は、和哉くんに言われた通りに布団を買うべく家から出た。もちろん、和哉くんに渡された1万円は使うつもりは無い。この1万円はいつか彼に返すために置いておくのだ。
「そうだ、バイトから帰ってきたら和哉くんも疲れてるだろうし晩ご飯は私が作っておいてあげよう」
そう決めた私の足取りは、自分でも驚くほどかるいものであった。
「それじゃ、俺バイト行ってくるから」
そう言って、和哉くんは家から出て行ってしまった。私の荷物を運んで急いでお昼ご飯を用意してくれて、それを食べるとすぐに家から出ていってしまった。
「いってらっしゃいくらい言えば良かったかな?」
昨日、この家には来たばかりだというのに何故だか、この部屋にはずっと居たような居心地の良さがある。今頃取り壊されているであろう、自分の部屋と同じ何かをこの部屋からは感じるのだ。それに、和哉くんともほぼ初対面にも関わらず、気を許せてしまっている自分がいる。その証拠に口調なども最初は警戒して強めの言葉を使っていたのにたった1日しかたっていないのにもう素の口調になってしまっている。なんだろうか?
「それにしても.......本当に和哉くんは何もしてこなかったな.......」
正直に言うと、私は昨日の夜、泣いてしまったあとも泣き疲れて寝たフリをして起きていたのだ。泣いたのを見られて恥ずかしくなってしまったから寝たフリをしていたというのもあるんだけど.......。
私が寝たと分かれば、和哉くんも手を出してくると私は確信していたのだけど何もされなかった。だとしたら彼は、どうして私を買ったなどといって家に連れてきたのだろうか? 私を買ったと言い張るなら、私の体をどうしようと彼の自由だとか言って好き放題してもおかしくないと思っていたのに.......。
「それに、何となく和哉くんは私と似ている気がするんだよね.......」
和哉くんは表面上は明るく振舞っているように見えるのだけど、どうしてか私にはそれが作り物に見えて仕方ないのだ。彼が私のために怒ってくれている時とかには、怒りの感情以外にも寂しさのようなものがあるような気がする。
「もしかして、和哉くんも両親と何かあったのかな.......」
本当にそうだとしたら安易には聞けない。彼が自分から話すまで私からは聞いてはいけない事のような気がするのだ。けど、何となくこの予想は間違っていない気がする。親に捨てられた私だからこそ、分かることかもしれない。
「.......気になる」
聞いてはいけない事だというのは分かっているのだが、気になるものは気になるのだ。だいたい、高校1年生のくせに一人暮らしをしているということが普通に考えて異常なのだ。親に捨てられた私が異常とか言ってもって感じもするんだけど.......。
「けど、和哉くんには感謝しないとね.......」
和哉くんがいなければ私は今頃死んでいたかもしれない。彼も言っていたけけど、私は死にたくはなかったのだ。死ぬことは誰にとっても恐ろしいことでなのだ。人に唯一本当の意味で与えられた自由は死ぬ事だとか言ってる人もいるが私にとっては詭弁でしかなかった。死にたくないと思っているのが人という生き物なのに死ぬ事が自由だとか意味がわからない。
そんなことはどうでもいい。大事なのは私が和哉くんに感謝しているということだ。もしかしたら、今日バイトから帰ってきた彼に出て行けと言われるかもしれないがそれは無いと思う。こんな中途半端に追い出すくらいなら最初から私を家に連れてきてなどいないだろうから。もし追い出されても、1日長く延命させて貰えたと考えたらありがたい話だ。美味しいご飯も食べさせてくれたし。
「彼になら本当に体を好きにしてもらってもいいとか思う私はエッチな女の子なのかな?」
私は彼になら何をされてもいいと本気で思っていた。親に捨てられた私にここまで優しく親切にしてくれた。10万円も結局、私を買ったからこの金はお前のものだとか言って私に押し付けられた。死に損ないだった私には、この1日は人生で最も幸せだったと思える1日だった。親に捨てられる前でも私は、親からの愛情というものを与えられなかった。親として最低限のこと。つまり、お金だけは沢山与えられた。でも、それだけだった。私の親は、学校に通わせお金を私に与えるだけだった。幸せと思える時間は読書に没頭して本の世界にのめり込んでる時間だけだった。そんな私に、こんな素敵な日をくれた彼になら私はどんな扱いを受けても構わないと本気で思う。
「そう言っても、彼は何もしてこないんだろうな.......朝はヘタレとか言ったけど、和哉くんは優しいだけなんだってことは分かってるんだよね.......」
彼はバイトに行く前に私に、1万円を押し付けて来た。これはなに? っと聞いたら彼は、「布団代だ」と答えた。バイトに行くから俺は買いに行けないから自分で布団を買いに行けとの事だった。私は、10万円があるからいいも言ったのだが、彼は断固として私に1万円を押し付けた。
「本当に彼はどうして私なんかのために.......」
考えても考えても答えは出そうにない。そう結論づけた私は、和哉くんに言われた通りに布団を買うべく家から出た。もちろん、和哉くんに渡された1万円は使うつもりは無い。この1万円はいつか彼に返すために置いておくのだ。
「そうだ、バイトから帰ってきたら和哉くんも疲れてるだろうし晩ご飯は私が作っておいてあげよう」
そう決めた私の足取りは、自分でも驚くほどかるいものであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる