寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

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内緒

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 俺とみゆと慎也は放課後になったということもあって、話をすべく学校の近くのバーガーで有名な某ファーストフード店に来ていた。お昼ご飯も食べながらということで俺と慎也はテリヤキバーガー、みゆがフィレオフィッシュのセットを買って席に着く。

「さてさて、まず聞きたいんだけど2人って付き合ってんの?」

「そんな訳ないだろ」

 即答すると何故だかみゆから凄いジト目で見られたんだが.......なんで? 別に俺達って一緒に暮らしてるだけで付き合ってなんかないよな? .......付き合ってないのに一緒に暮らしてる方がやばくないか? なるほど、みゆのジト目はここは付き合ってることにしとくべきだって意味のジト目か! 今気づいても遅いんだけど.......もう付き合ってないって言っちゃったし.......。

「和哉は即答してるけど、どうなの白夢さん」

「.......付き合ってはいない」

 やっぱり不機嫌になってるよな? 答えるまでに変な間があったし.......俺が馬鹿でごめんな.......?

「ふむふむ、なるほどな。その様子だと付き合ってないっていうのは本当みたいだな」

「だから、そう言ってるだろ?」

「白夢さん。和哉との中学時代からの腐れ縁として言っとくけど、こいつは一筋縄ではいかないから頑張れ」

「!? .......分かってる」

「何の話だ?」

「まぁ、今のお前じゃ一生考えても分かんない話」

 なんか、すごく失礼なことを言われてる気がするのだが.......みゆも納得してるみたいだし、俺だけが分かっていないみたいだ.......まぁ、みゆが納得してるということは悪いことでもないのか?

「さて、本題だがなんで同棲なんてしちゃってるの?」

「同棲じゃない。2人暮らしだ」

「いや、一緒じゃん」

「同棲っていうと新婚みたいな感じだけど、2人暮らしだと1人暮らしの延長線上みたいな感じだから全然違うだろ」

 同棲って言われるのと2人暮らしだと全然違うだろ。その言葉のニュアンスというか、言葉に含みがあるというか、とりあえず全然違うだろ。

「.............白夢さん。ほんとにこんなやつだけどいいの?」

「.......和哉くんだから仕方ない」

「そっか.......なんか、困ったことがあったら相談してくれ.......」

「ありがと.......」

 この2人って今日が話すの初めてだよな? なんか、話し始めて5分くらいでめっちゃ仲良くっていうか打ち解けてるのは気の所為だろうか? というか、さっきから俺の分からない話をするのをやめて欲しい。どうせ聞いても教えてくれなさそうだから聞かないけど。

「それで、2人暮らししてる訳だけどどこまで言っていいんだ?」

「別に私は全部言ってくれて構わないけど?」

「本当にいいのか?」

「別にいい」

「そういうことなら.......」

 それから俺は慎也に2学期の終業式の日にみゆが家に帰ったら手紙と10万円だけ置いて消えていたこと。その手紙にはあなたは要らない子だから、自由に生きろといったことが書かれていたこと。そんなみゆを放って置けなくて俺が家に連れ帰ったことを伝えた。

「.......まじ?」

「嘘でこんなこと言えると思うか?」

 話しているだけで俺も途中でキレそうになったが、みゆが話している途中から俺の手の上に手を重ねてくれたので何とか冷静さを取り戻す事ができた。我ながら情けないな.......みゆの方が辛いはずなのに.......。

「それなら、白夢さんは親に.......」

「.......そういうことだ」

 慎也は何かを考え込むかのように黙り込んでしまった。.......そりゃ、こんな話聞かされたらすぐには頭が受け入れてくれないよな。理解することと納得することは全くの別物なのだから。頭では理解できても感情がそれを受け入れはしないのだ。

「和哉! すまん! 俺はてっきりお前が下心で家に連れ込んでいたと考えていた! お前はヘタレだってのに俺はとんでもない勘違いをしていた!」

「よし、お前表出ろ。ぶっ飛ばしてやる」

 慎也のやつ、謝りたいのか喧嘩を売りたいのか訳が分からない。けど、まぁ納得はしてくれたのだろう。

「白夢さんもごめん! 俺が無神経だった!」

「別にいい。このことは誰にも言わないでね?」

「分かってる! むしろ、俺にも何かできることがあるなら協力させて欲しい!」

「それも別にいい」

「なんで!?」

「.......私には和哉くんがいるから」

 なんか、みゆからの信頼がすごく重たい気がする.......。俺としては困ったことがあれば慎也に頼りまくろうって考えてたのにそう言われてしまうと気軽に頼れないじゃん.......。まぁ、俺に出来ることは全てする気でいるし、出来なくても何とかするつもりでもあるからいいんだけどさぁ。

「なぁ、和哉。ここまで言われてお前は何を思う?」

「ん? なんだいきなり」

「いいから答えてみろって」

 なんでいきなりこんなことを聞いてくるんだ? そんなの、決まってるだろ。

「たった2週間と少しくらいしか2人暮らしをしていないのにここまで信頼してくれて嬉しいみたいな?」

「「.............はぁ」」

 なんで俺は呆れられてんだ? みゆが隣にいるのにこんなこと言うの結構恥ずかしかったんだぞ? というか、なんでみゆまで呆れてるの? もう意味がわからん!

「まぁ、和哉だしな.......」

「和哉くんだから仕方ないよ.......まだ、2週間くらいなのに和哉くんのことは私もだいぶ分かってきたから.......」

 なんか、みゆがうれしいことを言うてくれている気がするけど.......よくよく考えてみると俺ってみゆのこと全然分かってない気がする.......あっ、みゆって実は寂しがり屋なこと知ってる。けど、他は.......というか、みゆはなんでたった2週間やそこらで俺の事を分かってきてるの? 早すぎない? 俺が分かりやすすぎるの?

 それから、2人暮らしで困ったこととか何があったかなどを話したり定期的に俺が呆れられたりしながらだべっているといい時間になってきたので店を出る。

「それじゃ、慎也。くれぐれも頼むぞ?」

「分かってるって! 白夢さんも和哉のことでなんかあったらいつでも相談してくれ!」

「うん、ありがと」

 いや、俺の事ってなんだよ? もしかして俺って、信頼されているようで実はそんなこと無いのか? .......さすがにそれは悲しいからこれ以上は何も考えないでおこう。

「なぁ、和哉?」

「ん?」

「一応最後に確認しておきたいんだが.......白夢さんに変なことしてないよな?」

「してるわけないだろ!」

「.......だよな」

「なんで、残念そうなんだよ!」

 意味がわからん。ここで何か変なことしてたら間違いなく警察送りじゃねぇか! いや、まぁ勝手に家に連れ込んでいた時点で警察沙汰なんだが.......今は本人の了承も完璧に取れてるので多分、警察沙汰にはならないはずだ。.......ならないよな?

「そんじゃ、またな!」

「おう」

「さよなら」

 そう言って慎也は手を振って帰路についていく。そんな慎也の後ろ姿が人混みにまみれて見えなくなったあと、

「俺らも帰るか」

「うん」

「ずっと気になってたんだが、慎也と何を話してたんだ?」

「内緒」

 そう言って小さく微笑んでから歩き出して行ってしまう。俺も慌ててその後をついていくような形で帰ったのだが、家に着いてから完全に不用心だったことに気づいた。ファーストフード店では慎也いたから誤魔化せたけど、家に帰る時に2人で帰るのはまずいとみゆに言ったら、

「.......和哉くんの馬鹿」

怒られてしまった。.......なぜ?
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