寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

文字の大きさ
47 / 71

誘惑

しおりを挟む
 とりあえず、みゆが俺についてくるので俺の部屋に来たはいいのだが.......1つ問題があるのだ。みゆと一緒に寝ることに対しては普段から同じ部屋で寝ているし、付き合うようになってからは布団もくっつけて寝ているから抵抗はそれほどないのだが.......

「なぁ、みゆ。考え直さないか?」

「別に私は気にしない」

「いや、でも、ほら、ほかの部屋も空いてるわけだし?」

「和哉くんは私と寝るのが嫌なの?」

「いや、そういうことじゃなくて.......」

「別に同じベッドで寝るだけでしょ?」

 そう。みゆの言う通り、俺は実家で過ごしていた頃は布団ではなくベッドで寝ていたのだ。一人暮らしをするにあたりただでさえ狭い部屋にベッドなんて置きたなかった俺は布団で寝るようになったのだが.......

「さすがに同じベッドってのは良くないと思うんだが.......」

「なんで?」

「なんでって言われると.......うーん.......」

 そりゃあ、男子高校生的にやばいなんて言えるわけもなく.......何が問題かって俺の理性がどこまで仕事をしてくれるかってことであって、ただでさえ可愛いみゆが今では俺の彼女だ。そんなみゆと2人でベッドで寝るって言うと意味深に捉えてしまいそうにもなるし.......ダメだ.......これ以上考えてはいけない.......。

「和哉くん早く寝よ?」

 そう言ってみゆはベッドに入り、奥へ詰めて俺のスペースを空けてくれる。

「.......はい」

 俺が別の部屋に行くという名案も閃いたのだが、この状況で閃いても手遅れであった。今、俺が別の部屋に行くよなんて言えば確実にギクシャクとした空気になってしまうだろう。というか、みゆなら俺が別の部屋に行ったところでついてくる気がするし.......。

 それから俺はいそいそとベッドに入っていくのだが、こんなにも居心地の悪いベッドがこの世の中に存在したとは.......本来なら落ち着く場所であるはずなのに.......俺の聖域だったのに.......。

「ねぇ、和哉くん」

「なんだ?」

「春休みも終わっちゃうね」

「だなぁ」

 春休みも早いものであと3日もすれば終わってしまう。そうなれば、今度は2年生としての学生生活が始まる。

「2年生でも同じクラスになれたらいいね」

「だなぁ」

「ふふ。まさか、私が誰かと一緒になりたいに日が来るなんて思わなかった」

「確かにみゆはぼっちだったもんな」

「.......和哉くんのいじわる」

 俺がからかい口調で言ってやるとみゆは分かりやすくむくれていた。.......可愛い。

「けどまぁ、同じクラスになれないと一緒に過ごせる時間も減っちゃうしな」

「.......デレた?」

「デレたってなんだよ.......」

「まさか、和哉くんの口からそんな言葉を聞けるなんて思ってなかったよ。ありがとう」

「.......おう」

 なんに対してのありがとうなのか俺にはよく分からなかったが、とりあえず照れくさかったのでこの話題を打ち切るという意味も含めて適当な返事で誤魔化しておいた。

「そろそろ寝るか」

「うん。けど、いいの?」

「いいってなにが?」

「.......私は別にいいよ?」

 ここで何がなんて野暮なことはさすがの俺も聞かない。男女が2人でベッドの上。つまり、そういうことだろう。みゆは別に気にしないと最初から言っていたが、みゆは俺を受け入れてくれるという覚悟があったのだろう。あの気にしないというのは、別に俺に何をされようが気にしないという意味も含まれていたのだろうか?

「.......やめとく」

「.......そう」

「けど、これくらいは」

 そう言って俺はみゆの額に優しく口付けをする。俺がやめとくと言った時のみゆは心無しか少し寂しそうにした気がしたのだ。まぁ、部屋の電気は消しているから表情とかは見えないんだけど.......何となくそんな気がしたのだ.......。

「悪いがこれくらいが今の俺の精一杯だ.......」

「和哉くんって本当にヘタレだよね」

「今回ばかりは何も言えんな.......」

「ふふ。けど、私は満足だよ。和哉くん、付き合い出してからも私には何もしてこなかったから少し不安だったんだよ.......。試すようなことしてごめんね?」

 みゆは付き合いだしたにも関わらず俺が今までと、何も変わらないことに対して思うところがあったということか.......。確かに俺は付き合い初めて1週間くらいしたあとにサプライズを行った以外はこれまでと何も変わらなかったからな.......。みゆからの俺に対するスキンシップのようなものが増えていたのはこういった心情の表れだったのかもしれない。

「俺こそヘタレでごめん.......」

「ふふ。ヘタレじゃない和哉くんなんて和哉くんじゃないしね」

「.......もう寝る」

「拗ねないでよ」

「.......拗ねてない」

「それじゃあ、そういうことにしておいてあげる」

 甚だ不本意ではあるが俺に反論できるわけもないのでこのまま本当に寝てしまうことにする。夢の世界への現実逃避だ。

「和哉くん」

「.......」

「おやすみ」

「.......おやすみ」

 それからしばらくするとみゆは一定のリズムでの呼吸を繰り返し始めたので、本当に眠ったのだろうが俺は寝れる訳もなく.......

「はぁ.......本当に危なかった.......」

 俺はひたすらに悶々としたまま当たり前のように寝ることを諦めてただただ無心になるように心掛けながら時間が過ぎるのを待ち続けたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...