寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

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帰宅

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「それじゃあ、帰るわ」

「そうかい」

 俺とみゆが俺の実家から今の俺へと帰ると言うとばあちゃんとじいちゃんが玄関まで見送りに来てくれたので俺が帰ると言うと、ばあちゃんは素っ気なく返事をしてくれた。

「お世話になりました」

「あぁ。いつでも帰っておいで。私はいつでも待ってるからね」

「はい。ありがとうございます」

「なぁ、みゆと俺に対する態度の差がひどくないか?」

 俺にはそうかいのたった4文字だったのにみゆに対しては、ちゃんと返事をしてるし.......。それに、いつでも帰っておいでっていうのは俺の彼女ではなく孫である俺に対してかける言葉ではないのだろうか?

「別にあんたもいつでも帰ってきていいから。これで満足かい?」

「.......言われなくても帰るけどさ」

 何か釈然としないものがあるが、それだけばあちゃんとみゆが仲良くなったということで良しとしておくか.......。

「和哉」

「なに?」

「彼女さんが悲しむような事だけはしなさんなよ」

「分かってるよ」

 こればっかりは言われるまでもない。みゆが俺から離れていくまで俺はみゆと距離を取るようなことは絶対にないし、何よりみゆが悲しむのは俺も悲しくなるから嫌なのだ。

「彼女さんもうちのボンクラをよろしく頼むよ」

「はい。何があっても」

「まっ、何かあったらいつでも言い来なさい」

「それじゃ、そろそろ行くよ」

「風邪ひくんじゃないよ」

 それから俺とみゆは今の家に帰るべく駅の方を目指して歩いていく。

「和哉くんのおばあ様とおじい様って本当にいい人達だね」

「みゆは随分とばあちゃんと仲良くなってそうだったしな」

「うん。和哉くんのおばあちゃん料理がすごく上手だったから色々と教えてもらったよ」

「そりゃあ、帰ってからのみゆの作るご飯が楽しみだ」

「ふふ。期待してていいよ」

「そうするよ」

 そんな他愛もない話をしながら電車を過ごし今の俺の住んでいる家へと帰ってくる。普段なら実家からこっちの家に帰ってくると少し寂しさのようなものを感じていたのだが.......

「これもみゆのおかげかな」

「私がどうかしたの?」

 おっと、声に出ていてしまったみたいだ.......。けどまぁ、言ってしまったなら仕方ない。

「みゆがいてくれて良かったってこと」

「それは私のセリフだよ。和哉くんはいつも私を温かい気持ちにしてくれるからね。本の数ヶ月前じゃ考えられなかったよ」

 確かに数ヶ月前のみゆは今ほど明るくなんて無かったし今にも死にそうに見えた。俺が公園で声を掛けるまでもずっと家では1人で寂しく過ごしていたのだろう。

「それなら、俺としても良かったよ」

「和哉くん。あらためてこれからもよろしくね」

「おう」

 そう言って俺とみゆは俺達の家の中へと入って行くのだった。
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