寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

文字の大きさ
69 / 71

約束

しおりを挟む

「あぁ、うん。確かに魚は美味しいよな」

「それがどうかしたの?」

「どうかしたというかなんというか.......」

「?」

「まぁ、要するに俺が言いたいのは.......2人で水族館に行かないか?」

「行く!」

「即決だな.......」

 まさかみゆがここまで食い気味に反応するとは思わなかった.......。けど、それだけいきたいっねことでいいんだよな? それなら、俺としてはお詫びのつもりではあるのだけれど一緒に楽しむしかなさそうだ。

「うん。私まだ水族館とか行ったことないから行ってみたかったから」

「小学生の頃とかに遠足とかで行かなかったのか?」

「私の通っていた小学校では行かなかったの。水族館じゃなくて動物園だったから」

「なるほど。それなら、思いっきり楽しむしかないな」

「うん。今からもう楽しみだよ」

 そう言ってみゆは本当に楽しみにしているらしくニコニコとしている。まさかここまで水族館に魅力を感じてくれるとは.......。かくいう俺も水族館には小学生の頃に行った遠足でしか行ったことがないので少し楽しみであったりする。

「それじゃあ、今週はさすがに無理だから来週の土曜日なら大丈夫そうか?」

「大丈夫だと思う」

「それなら来週の土曜日ということで」

「1週間もあるしお魚さんの勉強しておかないとね」

「魚の勉強?」

「うん。ちゃんと調べておいた方が楽しめると思って」

「みゆは真面目だなぁ」

 水族館に行くからといって魚について調べてから行こうだなんて思う人は世の中にどれだけいるだろうか? けどまぁ確かにみゆの言う通りある程度の知識があった方が楽しめるというのも間違いないでは無いだろう。これは水族館だけに関わらず他の何事においても共通して言えることではあるのだろうけど。

「そういうことなら俺も」

「和哉くんはダメ」

「え?」

「和哉くんには私が教えてあげるからダメだよ?」

「お、おう.......」

 なんだろうこの破壊力は.......上目遣いでただダメと言われただけなはずなのに.......それだけのはずなのに.......胸が締め付けられてしまうようなこの感覚は.......。まぁ、つまり何が言いたいかって言うとみゆが可愛すぎてやばい。
 本当になんでか知らないけど.......いやまぁ、心当たりはありすぎるんだけども.......最近のみゆが以前にも増して可愛く見えて仕方ない。このままだと俺の心臓が本当にもちそうに無いから慣れないといけないんだけど何年経ってもみゆのこの急な不意打ちは慣れる気がしない.......。

「ところで、なんでいきなり水族館なの?」

「.......それはまぁ、ほら?」

「?」

「最初はお詫びのつもりだったんだけど.......」

「だったけど?」

「今はもうお詫びとかじゃなくてみゆと一緒に水族館に行きたいと思ってるので.......お詫びはまた別の機会で」

「別にそんなのいらないよ? 私は和哉くんがいてくれるだけでいいんだから。お詫びなんて気にしないで?」

「そうは言っても.......みゆは何か欲しい物とかないのか?」

「う~ん.......あっ、」

「なにかあるのか?」

「欲しいものというか.......何か和哉くんとお揃いのが欲しい」

「!?」

 あぁ.......神様.......あなたは俺のことが嫌いなのですか? 大好きなのですか? 俺を殺したいのか幸せにしたいのかどっちなんですか.......このままだと本当にショック死してしまいます.......。

「.......ダメ?」

「いや、みゆがそれがいいって言うならそれでいいんだけど」

「だったらそれがいい!」

「お、おう。だったら水族館に行った時にでも何かお揃いで買うか?」

「うん! 約束だよ?」

「あぁ、約束だ」

 俺がそう言うとみゆは花が咲いたかのような笑顔を俺に見せてくれる。俺はこの瞬間に自分の生まれてきた意味を理解した。俺はこの笑顔を見るために生まれてきたのだろう。.......天国の父さん、母さん、あなた達の息子は今すごく幸せです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2026.1.21)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...