寒空の下、君を買う ~君が死ぬことは俺が許さない~

白浜 海

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罪悪感

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 午後の授業も終わり、俺はかみゆとは学校で別れてバイト先であるコンビニに学校から直接向かう。いつもなら1度家に帰ってからバイトに向かうのだが今日は少しだけ話したいことがあったので予めバイトの用意は学校に持って行っていたのだ。

「よっ、秋風」

「おつかれ、黒嶋くん。それで? 私に相談ってなに?」

 俺は今日の昼休みに慎也と武宮さんにお詫びの件について相談したみたいに秋風にも相談しておこうと今日のバイトのシフトが被っていたのを確認していたのでこうして秋風にも少し早く来てもらっていたのだ。とは言え、ぶっちゃけ今日の昼休みで俺が相談しようと思っていたことは解決してしまっている。どうしたものか.......やっぱりここは正直に.......

「すまん、秋風。もう解決しちゃったから相談はない」

「え.......? 私すごく急いで来たんだよ? 黒嶋くんが珍しく相談があるなんてLINE送ってきたから学校が終わってすぐに来たんだよ?」

「いやまぁ、それはほら? .......ごめんなさい」

「せめて言い訳くらいはしてよ!」

「こればっかりは本当にすまんと思ってる。お詫びと言っちゃなんだがこれ」

 そう言って俺は予め買っておいたコンビニスイーツを差し出すと秋風はなんとも言えない顔でそれを受け取る。これでも罪悪感は残るが何もしないよりはマシだろう.......。

「もぉ.......。それで? 相談ってなんだったの?」

「簡単に言うとお詫びの仕方を教えて欲しかった」

「あぁ、彼女さんと喧嘩でもしちゃったの?」

「.......まぁ、そんな感じだ」

 今更なんだけどあれは喧嘩だったのだろうか? 今思うと、喧嘩という割には俺とみゆはほとんど会話という会話をしていないんだよな。結局はばあちゃんが全部なんとかしちゃったみたいなところがあるし.......。

「仲直りはちゃんとしたの?」

「それはもちろん」

「ふ~ん。それで? 結局お詫びは何にしたの?」

「今度2人で遊びに行こうと思う」

「え? お詫びなんだよね?」

「学校の友達? にも相談したら喜ぶことをしてあげようっていう結論になってな」

「あぁ、なるほどね。それでどこかに連れて行ってあげようと思ったんだね?」

「そういうことだ」

 そして、行き先も俺の中では既に決めていたりもする。なので、秋風には本当に申し訳ないが早く来てもらっておいてなんだけど相談することは本当に無いのだ.......。なので、バイトまでの時間は秋風とは学校がどうなのテストがもうすぐだのといった他愛の無い話をして、時間になったらバイトに勤しみ一緒にバイトも終える。

「おつかれ様だね黒嶋くん。もう彼女さんと喧嘩したらダメだよ?」

「おう、おつかれ。安心しろ。喧嘩なんてもう2度としないから」

「2度とって言いきっちゃうんだね.......」

 もうあんなのは懲り懲りだ。もう一度あんな思いをするくらいなら死んだ方がましだ.......とまでは言わないまでも本当にあんな思いをするのはもう懲り懲りなのだ。
 それから俺と秋風はバイト先のコンビニを出てすぐに別れて帰路に着く。家に着くもみゆはバイトからまだ帰ってきていないみたいだったので先に夕飯を作っていると、

「ただいま和哉くん」

「おかえり。もうすぐできるから箸と皿を出しておいてくれ」

「分かった」

 今日の夕飯は麻婆豆腐だ。といってもインスタントのタレにひき肉と豆腐、ネギを入れて炒めただけなんだけど。それと、予め炊いておいたご飯が今日の夕飯となる。

「「いただきます」」

「うん。麻婆豆腐とか久しぶりに食べたけどやっぱ美味いな」

「うん。けどやっぱり私は自分で作ったやつの方が好きかも」

「みゆの料理に勝てるインスタント食品なんて無いからな」

 もしそんなものがあるからこの世界に料理なんていう単語は消え去っているだろう。あったとしても、焼くかお湯を入れるか、レンジでチンすることを意味する単語になっているはずだ。さて、そろそろ本題に入るとしようか。

「なぁ、みゆ」

「なに?」

「みゆは魚とか好きか?」

「うん、好きだよ。美味しいしね」

 違う.......そうじゃないんだ.......。
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