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秘密
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「――なんだぁ?、こりゃ……」
神言の間に入ったソウタは、呆れた口調で開口一番にそう言った。
神言の間の中には――何も無かった。
だだっ広い、白い壁に蔽われた部屋に、その白い壁へ向けて、ニ脚の椅子が置かれているだけで。
「これが、ツクモの秘密?、膨大な数の書物が敷き詰められた、書庫みてぇなのを想像してたんだが……」
ソウタは、呆れを通り越して落胆の声を挙げる。
「――でしょうね。
学者などは、この神言の間を『神々の知恵が眠る場所』などと、詮索をしている方も居ますから。
私も、市井降りから戻った後、初めて先世皇と、大巫女様に連れて来て頂くまでは、あなたが言う様なモノを思い描いていましたよ」
サトコは、薄笑いを浮べ、徐に部屋内の白い壁に近付く
「――でも、あながち学者たちの詮索は、間違ってはいないのですよ?」
そう言って、彼女が壁に触れると、壁から光りが漏れ出し、その光りには、神代文字の文章と、映像らしきモノが映し出された!
「部屋内の壁、全てが界気鏡と同じ働きをするのです。
尤も、神代文字ばかりなので、何を伝えようとしているのかは、サッパリ解らないのですけど」
サトコは、残念そうに、表示された神代文字をなぞる。
神代文字が読める、語り手が簡単に説明すると――どうやら、ツクモ人が前に暮らしていた世界の歴史を、画像付きで記している様である。
「これなら知ってる――俺も、アヤコ様が出して来た、書物の挿絵にあったからな……」
ソウタは、イヤな顔をしながら、壁に表示された光景を指差す。
「やはり――アヤコ様は、あなたにも伝えていたのですね?、光刃の継承を終えた後に」
「ああ、継承した翌日の夜に、アヤコ様の自室に呼ばれて――人払いの後、"界気細工"が施された封をされた箱の中から、神代文字だらけの書物を見せられた。
『挿絵に全て目を通しなさい――それが、光刃継承者の、先ずにすべき事なのですから』とな」
サトコからの相槌に、ソウタは苦々しく映る表情でそう応じる。
"界気細工"とは、主に結界や封印に用いる界気術の俗称で、極秘文書の封や、宝物庫や牢屋の鍵など、物理的なソレよりも、堅牢さを求められる場面で重宝されている、界気の使用例としては、かなりレアな技法である。
「ええ、継承間も無き刀聖は、最初に何れかの国守、もしくは大巫女や皇の下を訪ね、各々に伝わる秘伝の書を閲覧するのが通例――成る程、ツツキが地で継承成ったとなれば、その役目をアヤコ様が担うは、当然の理でしたね……故に、わざわざ訪ねては来なかったと……」
サトコも、ソウタに相対する様に、悔し気な笑みを浮べる。
「――"火を噴く槍"を持った、面妖な服を着た人たちとか、"鉄で出来た鳥"が"卵"を落としてて、その眼下では"界気めいた爆発"が起きてる光景――どれも、おとぎ話よりも荒唐無稽な光景が並んでたな……
文章を読めねぇから、一体、何を伝えてるのかは定かじゃあないが――あちこちを旅して回ってる内に、この挿絵は、これからツクモに起きるコトを予言している――そんな風に思えるんだがな?」
ソウタは、顎に手を当て、顔をしかめて、そう答えた。
それを聞いたサトコは――
「流石です、リョウゴ様が、あなたを継承者にした見立ては、間違っていませんね」
――と、大きく頷いて、ソウタの聡明さを褒める。
「からかうなよ。
それともナニかぁ?、美形じゃないのが、実に惜しいとでも付けるかい?」
ソウタは、照れ隠しも込めてそう返す。
「あらぁ?、私は充分、カッコイイと思っていますけどぉ~?、まあ、"惚れた欲目"だと言われては、反論は出来ませんが」
ソウタの返しに、サトコは頬を紅くしながら、そう応じた。
ソウタも、意趣返しを喰らった恰好に、照れ気味に顔を紅潮させる。
厳粛な立場にある者の割に、サトコは、こーいう会話だって、臆せずこなせる話術も持っているのである。
――そんな軽口を交わしながら、サトコがまた壁に触れると、新たな映像が表示された。
その映像には、ツクモでは終ぞ見た事など無い、巨大な建物が聳え立つ中に、凄まじい数の群集が集まる光景が映し出されている――それこそ、先程ソウタが漏らした様に、"おとぎ話よりも荒唐無稽"な光景であった。
その人々の中では、ツクモの人々と同じ容姿をした者も、居るには居るが――これも、ツクモでは見たコトがない、実に面妖な風貌をしており、群衆の大多数は、ツクモでは見慣れない"やけに肌の色が白い者"や"肌が褐色の者"である。
そして、その人々は、何やら――壇上で熱弁を振るっている者へ向けて、手を掲げたり、旗を振ったり、はたまた、立て札に棒を付けた様な物を掲げ、熱狂地味た声を張上げていた。
「ああ――コレだ、コレ。
そっくりなんだよ……去年、旅先の界気鏡で観た、北コクエの民守の就任式にな」
ソウタは、映像を指差し、訝しげにそれを見やる。
「ええ、私も思いました――この映像や挿絵を観た事が無いはずの、コクエの民が……これに似た行為をしている様には、少し、ゾッとしましたね」
サトコも、口を真一文字に結んで、そう応じる。
その後に続く、映像を眺めながら、ソウタが――
「スヨウの国守――え~っと、ノブタツ様だっけ?
あの人が、キミに"このままでは、これまでの常識では考えられない事態が起きてしまう"って言ったのは、このコトを危惧してだろ?」
そう、ソウタが言った時――丁度、映し出されたのは、先程もソウタが触れていた、槍状の物を抱えた者が、それの先から放たれる火を纏った礫を、大勢の人に浴びせ掛けて、殺めている様に解釈出来る描写や、鉄に覆われた巨大な鳥を模した"ナニか"が、卵の様なモノを腹から地面に落とすと、瞬時に地上が焼け野原と化す映像だった。
「ええ――ノブタツ様も、あの人々の熱狂に、この映像を連想したのだと思います。
最初の群集が、戦が起こる事を望む民――槍状の物を持った集団は恐らく兵士で、巨大な鉄の鳥は、"界気的"な人ならざる武力――即ち、これは民の意思により起きた、戦の映像だと思うのが適当でしょう」
サトコは、辛そうにそう言って、そっと映像から目を逸らした。
「つまり――あの面妖な武器や、でっけえ鳥の事は別に置いても、スヨウの国守は、君主や国同士の思惑や大義じゃなく、"人々の意思が戦を引き起こす時代"が、間近に迫って来る事を危惧した――」
ソウタは、一旦、話をまとめようと、順に沿って話す。
「――占報時の演説からして、民が戦を引き起こす時代にさせないために、この世界を自らの"武"で制覇し、元のツクモ――三大国体制へと回帰させようというのが、ノブタツ様の思惑なのでしょう。
その、大義と覚悟を示すために、このコウオウへと攻め入るコトを選んだのでしょうね」
サトコは、ソウタの話をフォローする体で、そう話題を締め括った。
「恐らく、この映像や秘伝書の挿絵は、私たちの祖先が、ツクモに至る前に住んでいた――別の世界の姿。
人が、世界を紡いだ結果、必ず――これから起こるであろう事を映した、戒めの記録なのでしょう」
「そんな戦を繰り返した果てに、俺たちの祖先は――神様みてぇな技術を使って、天船や神具を造り、このツクモに逃げて来るハメになった――てぇコト、らしいな」
今度は、サトコの話をフォローする体で、ソウタが結論を付け加えた。
「――そうだ。
コクエと言えば……これも、そっくりでしたよね?」
サトコは、そう言いながら、別の部分の壁へと手を伸ばすと、別の映像と神代文字が現われた。
その映像には――登場する人、全員がカーキ色の作業服風の着衣を着て、一糸乱れぬ揃った動きを見せ、何かを製作している姿が映っていた。
「南コクエの――"民衣"か?」
ソウタは、サトコが言う"そっくり"を、そう邪推して言う。
「――ええ。
『平等な世界を構築するため、皆が生地の質も造りも同じで、造る手間も省ける――簡素に出来た、同じ着物を着て過ごすべき』
――という、平等と共営を旗印とする南コクエが至った、人の服飾行為に対しての"総括"を、この映像は予言していたと解釈出来ます」
サトコは、恐れた様な眼差しを、その映像へと向ける。
「俺も、南コクエに行った時には、少々驚いたよ――ああも、皆が同じ恰好ってのは、なかなかに不気味だ」
ソウタも、嫌悪した表情をして、その映像を手で払って見せる。
彼の、そんなジェスチャーに応え、サトコは同じ着衣の映像を消す。
「これは――先世皇の受け売りではありますが、南コクエが至った思想は、確かに理想的なモノなのかもしれません。
でも、あれは人に、ただの全体の"歯車"となる事を強いて、自我を捨てよと言っている様なモノ――それでは、人は、決して"幸せ"にはなれない……
オオカミ様の御言葉にもある様に、所詮は人も"獣"である故に、あの様な徹底管理をされた暮らしを続けられる程、"人という獣"は、そこまでの賢さは持ち合わせていないはず……」
サトコは、そう言いながら、何かを嘆く様に胸を押さえる。
「まあ、ああいう風にぶっ飛んだ考えに、奔った理由も解らんでもないがね。
"人の欲"が招いたと言って良い、先の大戦を経験しちまうと――これまでのジョーシキや理屈の下じゃ、また同じ事になるかもしれねぇと思っちまうだろうしな」
ソウタは、指でトントンと膝を突いて――
「――でも、スヨウやコウオウみたく、昔のままに国守の類が治めている国を、一方的に批判してるのは違うと思うがね……南北共に」
――と、不満気に頬を膨らます。
「私――皇の事も『オオカミの子孫だと民を謀り、私欲を貪る、稀代の詐欺師一族っ!』だと、主張していますからねぇ……南などは。
まあ、それに関しては――」
サトコは、申し訳なさそうな表情で、また壁に触れる。
表示されたのは、何かの液体に満たされた、棺桶の様なモノに入った、赤子の映像――もちろん、液体入りの棺桶は、ツクモでは見慣れないモノだが、赤子の方は見覚えがある――いや、"見慣れた姿"をしていた。
――それは、亜人種の赤子であった。
「……これを観たら、真っ向からは否定出来ませんよ。
亜人種を――いいえ、人を"生産"する映像を観てしまってはね」
サトコは、嫌悪に満ちた表情で、その映像を見やる。
「この挿絵には、それこそ度肝を抜かれたね……"コレ"があるから、秘密にしとかなきゃならねぇんだなって」
ソウタも、酷くイヤな顔を作り、それが映し出された壁から目を背けた。
「――神様なんじゃなく、神様みてぇな術を使う、なんなら人だって造れる、別世界の人間――それが、オオカミ様や、俺たちのご先祖様の正体ってぇワケよな?」
「『――でも、それは、決して皆に知られてはならない……それは、これまでのツクモを、全て否定するコトになってしまうから』
――コレは、大巫女様が私に言った言葉でしたが……正に、その通りだと思いますね」
ソウタが、映像が示す事実を端的に述べ、サトコはその重大性を改めて諭した。
「はぁ……俺たち、こんな余計なモンも知って――いや、背負わされちまってさ?
ホント、ご先祖様たちを恨みたくなるぜ……」
ソウタは、溜め息混じりに、光の刀を見やりながら嘆く。
「血で継ぐのではない、刀聖や大巫女の場合には、少し同情しますね……継承に因り、急にこの事実と、秘匿し続けなければならない責を、同時に背負う事になるのですから。
皇や国守は、生まれ落ちた運命だと、ある程度は諦めが着きますがね」
サトコは、哀れみある微笑を漏らして、ソウタに同情の世辞を言う。
そう言った後、全ての映像を消したサトコは、ふと――
「――刀聖としての皇への訪ねが、今が初めてとなると……ソウタ、まさか、大巫女様との対面も?」
――ハッと何かに気付いた体で、怪訝とした目線でソウタを見据えた。
「ああ、まだだけど……もしかして、マズいの?」
サトコの問いに、ソウタが呆気羅漢とした体で返すと――
「――はぁ、やっぱり……当たり前でしょう!?」
――そう、サトコは眉間にシワを寄せ、一喝する。
「皇にも、大巫女にも会わぬまま、光刃現眼せしめる――あなたは、本当に前代未聞の刀聖でしょうね……」
サトコは、頭を抱えて、ソウタの短絡的な行動を嘆く。
「言ったろ?、先世は只、何をするべきかは、旅をすりゃあ良いって……」
ソウタは言い訳として、リョウゴの遺言を振りかざすが――
「――刀聖となり、アヤコ様から、件の秘伝を教わったなら……その旅すがら、まずは大巫女様や、皇を訪ねるべきであろうと思うのが、当然でしょう!
秘伝の意を、これほど的確に理解出来ているというのに――その結論には至らないというのは、ちょっと意味が解りませんよ!」
「まあ、ざっとアヤコ様に説明して貰ったからなぁ……それで、満足しちまってたわ――ごめん」
ソウタは、バツが悪そうに、苦虫を噛んだ様な表情をして頭を下げる。
「本来ならば、出来るだけ早く、テンラクに赴くべき――でも、既にツクモ全報が、光刃現眼を報じていますから、こうなってはもう、あなたの光刃現眼は大巫女様の知るトコロ――黙っていても、数日中には、貴方の所在として最も有力なココに、出頭を促す書状が来るでしょうから、まあ、その後でもよろしいでしょう」
サトコは、苦笑をしながらそう呟き――
「――では、そろそろ出ましょうか?、外では、祝宴の準備が整ったでしょうし」
――コレで、相対の会談を終える事を提案する。
「祝宴?」
「ええ、もちろん、戦勝を祝う宴です。
あなたは刀聖である前に、"勲金等の義兵"――出席、して頂きますよ?」
サトコは、嬉しそうに微笑むと、スッと手を伸ばして、ソウタと腕を絡める。
「!、おいおい!、あっ、諦めてくれたんじゃ?」
「婚姻こそは諦めましたが、これぐらいは良いでしょう?
皇と刀聖の仲が良いコトに関しては、何の弊害もありませんよ♪」
急なスキンシップに、戸惑うソウタを他所に、楽しそうにそう言うサトコは、絡めた腕に力を込めて擦寄る。
「ご心配無く――これまで同様、"こーいうコト"をするのは、皆の目が無い時に限りますから♪」
サトコは、人差し指を唇に立てて、不敵な笑みを見せて――
「ふふ♪、想いを告げ終えた分、遠慮無く触れ合う事が出来て――これも、余計なコトを口走った、カオリのおかげですね♪」、
――頬を染めたまま、そう囁き、ソウタの腕を引いて出口へと促した。
神言の間に入ったソウタは、呆れた口調で開口一番にそう言った。
神言の間の中には――何も無かった。
だだっ広い、白い壁に蔽われた部屋に、その白い壁へ向けて、ニ脚の椅子が置かれているだけで。
「これが、ツクモの秘密?、膨大な数の書物が敷き詰められた、書庫みてぇなのを想像してたんだが……」
ソウタは、呆れを通り越して落胆の声を挙げる。
「――でしょうね。
学者などは、この神言の間を『神々の知恵が眠る場所』などと、詮索をしている方も居ますから。
私も、市井降りから戻った後、初めて先世皇と、大巫女様に連れて来て頂くまでは、あなたが言う様なモノを思い描いていましたよ」
サトコは、薄笑いを浮べ、徐に部屋内の白い壁に近付く
「――でも、あながち学者たちの詮索は、間違ってはいないのですよ?」
そう言って、彼女が壁に触れると、壁から光りが漏れ出し、その光りには、神代文字の文章と、映像らしきモノが映し出された!
「部屋内の壁、全てが界気鏡と同じ働きをするのです。
尤も、神代文字ばかりなので、何を伝えようとしているのかは、サッパリ解らないのですけど」
サトコは、残念そうに、表示された神代文字をなぞる。
神代文字が読める、語り手が簡単に説明すると――どうやら、ツクモ人が前に暮らしていた世界の歴史を、画像付きで記している様である。
「これなら知ってる――俺も、アヤコ様が出して来た、書物の挿絵にあったからな……」
ソウタは、イヤな顔をしながら、壁に表示された光景を指差す。
「やはり――アヤコ様は、あなたにも伝えていたのですね?、光刃の継承を終えた後に」
「ああ、継承した翌日の夜に、アヤコ様の自室に呼ばれて――人払いの後、"界気細工"が施された封をされた箱の中から、神代文字だらけの書物を見せられた。
『挿絵に全て目を通しなさい――それが、光刃継承者の、先ずにすべき事なのですから』とな」
サトコからの相槌に、ソウタは苦々しく映る表情でそう応じる。
"界気細工"とは、主に結界や封印に用いる界気術の俗称で、極秘文書の封や、宝物庫や牢屋の鍵など、物理的なソレよりも、堅牢さを求められる場面で重宝されている、界気の使用例としては、かなりレアな技法である。
「ええ、継承間も無き刀聖は、最初に何れかの国守、もしくは大巫女や皇の下を訪ね、各々に伝わる秘伝の書を閲覧するのが通例――成る程、ツツキが地で継承成ったとなれば、その役目をアヤコ様が担うは、当然の理でしたね……故に、わざわざ訪ねては来なかったと……」
サトコも、ソウタに相対する様に、悔し気な笑みを浮べる。
「――"火を噴く槍"を持った、面妖な服を着た人たちとか、"鉄で出来た鳥"が"卵"を落としてて、その眼下では"界気めいた爆発"が起きてる光景――どれも、おとぎ話よりも荒唐無稽な光景が並んでたな……
文章を読めねぇから、一体、何を伝えてるのかは定かじゃあないが――あちこちを旅して回ってる内に、この挿絵は、これからツクモに起きるコトを予言している――そんな風に思えるんだがな?」
ソウタは、顎に手を当て、顔をしかめて、そう答えた。
それを聞いたサトコは――
「流石です、リョウゴ様が、あなたを継承者にした見立ては、間違っていませんね」
――と、大きく頷いて、ソウタの聡明さを褒める。
「からかうなよ。
それともナニかぁ?、美形じゃないのが、実に惜しいとでも付けるかい?」
ソウタは、照れ隠しも込めてそう返す。
「あらぁ?、私は充分、カッコイイと思っていますけどぉ~?、まあ、"惚れた欲目"だと言われては、反論は出来ませんが」
ソウタの返しに、サトコは頬を紅くしながら、そう応じた。
ソウタも、意趣返しを喰らった恰好に、照れ気味に顔を紅潮させる。
厳粛な立場にある者の割に、サトコは、こーいう会話だって、臆せずこなせる話術も持っているのである。
――そんな軽口を交わしながら、サトコがまた壁に触れると、新たな映像が表示された。
その映像には、ツクモでは終ぞ見た事など無い、巨大な建物が聳え立つ中に、凄まじい数の群集が集まる光景が映し出されている――それこそ、先程ソウタが漏らした様に、"おとぎ話よりも荒唐無稽"な光景であった。
その人々の中では、ツクモの人々と同じ容姿をした者も、居るには居るが――これも、ツクモでは見たコトがない、実に面妖な風貌をしており、群衆の大多数は、ツクモでは見慣れない"やけに肌の色が白い者"や"肌が褐色の者"である。
そして、その人々は、何やら――壇上で熱弁を振るっている者へ向けて、手を掲げたり、旗を振ったり、はたまた、立て札に棒を付けた様な物を掲げ、熱狂地味た声を張上げていた。
「ああ――コレだ、コレ。
そっくりなんだよ……去年、旅先の界気鏡で観た、北コクエの民守の就任式にな」
ソウタは、映像を指差し、訝しげにそれを見やる。
「ええ、私も思いました――この映像や挿絵を観た事が無いはずの、コクエの民が……これに似た行為をしている様には、少し、ゾッとしましたね」
サトコも、口を真一文字に結んで、そう応じる。
その後に続く、映像を眺めながら、ソウタが――
「スヨウの国守――え~っと、ノブタツ様だっけ?
あの人が、キミに"このままでは、これまでの常識では考えられない事態が起きてしまう"って言ったのは、このコトを危惧してだろ?」
そう、ソウタが言った時――丁度、映し出されたのは、先程もソウタが触れていた、槍状の物を抱えた者が、それの先から放たれる火を纏った礫を、大勢の人に浴びせ掛けて、殺めている様に解釈出来る描写や、鉄に覆われた巨大な鳥を模した"ナニか"が、卵の様なモノを腹から地面に落とすと、瞬時に地上が焼け野原と化す映像だった。
「ええ――ノブタツ様も、あの人々の熱狂に、この映像を連想したのだと思います。
最初の群集が、戦が起こる事を望む民――槍状の物を持った集団は恐らく兵士で、巨大な鉄の鳥は、"界気的"な人ならざる武力――即ち、これは民の意思により起きた、戦の映像だと思うのが適当でしょう」
サトコは、辛そうにそう言って、そっと映像から目を逸らした。
「つまり――あの面妖な武器や、でっけえ鳥の事は別に置いても、スヨウの国守は、君主や国同士の思惑や大義じゃなく、"人々の意思が戦を引き起こす時代"が、間近に迫って来る事を危惧した――」
ソウタは、一旦、話をまとめようと、順に沿って話す。
「――占報時の演説からして、民が戦を引き起こす時代にさせないために、この世界を自らの"武"で制覇し、元のツクモ――三大国体制へと回帰させようというのが、ノブタツ様の思惑なのでしょう。
その、大義と覚悟を示すために、このコウオウへと攻め入るコトを選んだのでしょうね」
サトコは、ソウタの話をフォローする体で、そう話題を締め括った。
「恐らく、この映像や秘伝書の挿絵は、私たちの祖先が、ツクモに至る前に住んでいた――別の世界の姿。
人が、世界を紡いだ結果、必ず――これから起こるであろう事を映した、戒めの記録なのでしょう」
「そんな戦を繰り返した果てに、俺たちの祖先は――神様みてぇな技術を使って、天船や神具を造り、このツクモに逃げて来るハメになった――てぇコト、らしいな」
今度は、サトコの話をフォローする体で、ソウタが結論を付け加えた。
「――そうだ。
コクエと言えば……これも、そっくりでしたよね?」
サトコは、そう言いながら、別の部分の壁へと手を伸ばすと、別の映像と神代文字が現われた。
その映像には――登場する人、全員がカーキ色の作業服風の着衣を着て、一糸乱れぬ揃った動きを見せ、何かを製作している姿が映っていた。
「南コクエの――"民衣"か?」
ソウタは、サトコが言う"そっくり"を、そう邪推して言う。
「――ええ。
『平等な世界を構築するため、皆が生地の質も造りも同じで、造る手間も省ける――簡素に出来た、同じ着物を着て過ごすべき』
――という、平等と共営を旗印とする南コクエが至った、人の服飾行為に対しての"総括"を、この映像は予言していたと解釈出来ます」
サトコは、恐れた様な眼差しを、その映像へと向ける。
「俺も、南コクエに行った時には、少々驚いたよ――ああも、皆が同じ恰好ってのは、なかなかに不気味だ」
ソウタも、嫌悪した表情をして、その映像を手で払って見せる。
彼の、そんなジェスチャーに応え、サトコは同じ着衣の映像を消す。
「これは――先世皇の受け売りではありますが、南コクエが至った思想は、確かに理想的なモノなのかもしれません。
でも、あれは人に、ただの全体の"歯車"となる事を強いて、自我を捨てよと言っている様なモノ――それでは、人は、決して"幸せ"にはなれない……
オオカミ様の御言葉にもある様に、所詮は人も"獣"である故に、あの様な徹底管理をされた暮らしを続けられる程、"人という獣"は、そこまでの賢さは持ち合わせていないはず……」
サトコは、そう言いながら、何かを嘆く様に胸を押さえる。
「まあ、ああいう風にぶっ飛んだ考えに、奔った理由も解らんでもないがね。
"人の欲"が招いたと言って良い、先の大戦を経験しちまうと――これまでのジョーシキや理屈の下じゃ、また同じ事になるかもしれねぇと思っちまうだろうしな」
ソウタは、指でトントンと膝を突いて――
「――でも、スヨウやコウオウみたく、昔のままに国守の類が治めている国を、一方的に批判してるのは違うと思うがね……南北共に」
――と、不満気に頬を膨らます。
「私――皇の事も『オオカミの子孫だと民を謀り、私欲を貪る、稀代の詐欺師一族っ!』だと、主張していますからねぇ……南などは。
まあ、それに関しては――」
サトコは、申し訳なさそうな表情で、また壁に触れる。
表示されたのは、何かの液体に満たされた、棺桶の様なモノに入った、赤子の映像――もちろん、液体入りの棺桶は、ツクモでは見慣れないモノだが、赤子の方は見覚えがある――いや、"見慣れた姿"をしていた。
――それは、亜人種の赤子であった。
「……これを観たら、真っ向からは否定出来ませんよ。
亜人種を――いいえ、人を"生産"する映像を観てしまってはね」
サトコは、嫌悪に満ちた表情で、その映像を見やる。
「この挿絵には、それこそ度肝を抜かれたね……"コレ"があるから、秘密にしとかなきゃならねぇんだなって」
ソウタも、酷くイヤな顔を作り、それが映し出された壁から目を背けた。
「――神様なんじゃなく、神様みてぇな術を使う、なんなら人だって造れる、別世界の人間――それが、オオカミ様や、俺たちのご先祖様の正体ってぇワケよな?」
「『――でも、それは、決して皆に知られてはならない……それは、これまでのツクモを、全て否定するコトになってしまうから』
――コレは、大巫女様が私に言った言葉でしたが……正に、その通りだと思いますね」
ソウタが、映像が示す事実を端的に述べ、サトコはその重大性を改めて諭した。
「はぁ……俺たち、こんな余計なモンも知って――いや、背負わされちまってさ?
ホント、ご先祖様たちを恨みたくなるぜ……」
ソウタは、溜め息混じりに、光の刀を見やりながら嘆く。
「血で継ぐのではない、刀聖や大巫女の場合には、少し同情しますね……継承に因り、急にこの事実と、秘匿し続けなければならない責を、同時に背負う事になるのですから。
皇や国守は、生まれ落ちた運命だと、ある程度は諦めが着きますがね」
サトコは、哀れみある微笑を漏らして、ソウタに同情の世辞を言う。
そう言った後、全ての映像を消したサトコは、ふと――
「――刀聖としての皇への訪ねが、今が初めてとなると……ソウタ、まさか、大巫女様との対面も?」
――ハッと何かに気付いた体で、怪訝とした目線でソウタを見据えた。
「ああ、まだだけど……もしかして、マズいの?」
サトコの問いに、ソウタが呆気羅漢とした体で返すと――
「――はぁ、やっぱり……当たり前でしょう!?」
――そう、サトコは眉間にシワを寄せ、一喝する。
「皇にも、大巫女にも会わぬまま、光刃現眼せしめる――あなたは、本当に前代未聞の刀聖でしょうね……」
サトコは、頭を抱えて、ソウタの短絡的な行動を嘆く。
「言ったろ?、先世は只、何をするべきかは、旅をすりゃあ良いって……」
ソウタは言い訳として、リョウゴの遺言を振りかざすが――
「――刀聖となり、アヤコ様から、件の秘伝を教わったなら……その旅すがら、まずは大巫女様や、皇を訪ねるべきであろうと思うのが、当然でしょう!
秘伝の意を、これほど的確に理解出来ているというのに――その結論には至らないというのは、ちょっと意味が解りませんよ!」
「まあ、ざっとアヤコ様に説明して貰ったからなぁ……それで、満足しちまってたわ――ごめん」
ソウタは、バツが悪そうに、苦虫を噛んだ様な表情をして頭を下げる。
「本来ならば、出来るだけ早く、テンラクに赴くべき――でも、既にツクモ全報が、光刃現眼を報じていますから、こうなってはもう、あなたの光刃現眼は大巫女様の知るトコロ――黙っていても、数日中には、貴方の所在として最も有力なココに、出頭を促す書状が来るでしょうから、まあ、その後でもよろしいでしょう」
サトコは、苦笑をしながらそう呟き――
「――では、そろそろ出ましょうか?、外では、祝宴の準備が整ったでしょうし」
――コレで、相対の会談を終える事を提案する。
「祝宴?」
「ええ、もちろん、戦勝を祝う宴です。
あなたは刀聖である前に、"勲金等の義兵"――出席、して頂きますよ?」
サトコは、嬉しそうに微笑むと、スッと手を伸ばして、ソウタと腕を絡める。
「!、おいおい!、あっ、諦めてくれたんじゃ?」
「婚姻こそは諦めましたが、これぐらいは良いでしょう?
皇と刀聖の仲が良いコトに関しては、何の弊害もありませんよ♪」
急なスキンシップに、戸惑うソウタを他所に、楽しそうにそう言うサトコは、絡めた腕に力を込めて擦寄る。
「ご心配無く――これまで同様、"こーいうコト"をするのは、皆の目が無い時に限りますから♪」
サトコは、人差し指を唇に立てて、不敵な笑みを見せて――
「ふふ♪、想いを告げ終えた分、遠慮無く触れ合う事が出来て――これも、余計なコトを口走った、カオリのおかげですね♪」、
――頬を染めたまま、そう囁き、ソウタの腕を引いて出口へと促した。
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