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「――碇、降ろせぇ~っ!」
ツツキの港へと無事、入港した風聖丸の甲板に居る水夫が、良く通る声でそう伝えると、舳先に格納されていた碇が降ろされ、桟橋には慌しく通路が設けられて、荷の積み降ろしがせっせと始まった。
「姫様――これが、前回の荷の代金と……今回の港の使用料を合算した手形でございやす。
金額を確かめの上、お納め下せぇ」
一足先に波止場へと渡った、風聖丸船長兼、ヨクセ商会海運方番頭――タツゴロウは、畏まって拝礼し、両手に持った手形の書状をアヤコに渡した。
「――確かに。
でも、既に四十を過ぎた女を、何時までも『姫様』と呼ぶのは……そろそろ、止めて貰いたいのだけれど?」
手形を受け取ったアヤコは苦笑し、そんな要請をタツゴロウにした。
「何を仰いやす――それを言っちゃあ、俺らはウチの頭領を、『お嬢』呼ばわり出来なくなっちゃいますぜぇ?
俺からすりゃあ――アンタは今でも『姫様』だし、ウチの頭領は今でも『お嬢』でさぁ、がはははっ!」
タツゴロウは、大口を開けて快活に笑い、晴れた青空を仰いで胸を張った。
「まあ、お許しくだせぇや?
俺は、これが――"最後の御目どおり"となりやすので」
タツゴロウはそう言うと、先程とは違った寂しげな笑みに表情を変える。
「そう言えば……前回の来航の際、言っていましたね。
次が、最後の航海だと……」
アヤコも、そのタツゴロウの顔に応じて、苦笑から残念な顔に変え、口をへの字に結ぶ。
もうすぐ、六十を越す齢であるタツゴロウにとって、今回の航海は隠居前、最後の航海であった。
腕利きの漁師として、船の扱いに長ける所を見込まれ、先代の頃から商会で働いている、タツゴロウからすれば、娘ほどの年頃のオリエは『お嬢』で、アヤコは『姫様』という言い分にも納得かもしれない。
「そーだ姫様、お嬢から――"荷とは別の用"を預かってます。
おい、ヨシゾウの旦那」
タツゴロウは、アヤコにとっては見慣れない、武官風の身なりをした男を手招きする。
「アヤコ様――お初に御目にかかります」
ヨシゾウは丁寧に畏まり、桟橋の上に片膝を着いて深々と拝礼し、アヤコに初見の挨拶をする。
「商船である風聖丸には似付かない、侍の作法と恰好ですね?
"鳳凰紋の鞘ごしらえ"の殿方よ」
アヤコは、少し怪訝な表情を造り、スヨウの国の紋を残した、ヨシゾウの鞘を指して皮肉染みた事を言う。
「!?、こっ、これは失礼を――急な出立だった故、鞘を作り替える間が無く……」
「いえ、お気になさらず――もはや、スヨウが事を、敵国などとは微塵も思っておりませんから。
ただ、見慣れぬ御方ゆえ……ちょっとからかっただけですわ」
アヤコが放つ、高貴な者ゆえの威厳と余裕に気圧され、ヨシゾウは冷や汗を掻いてうろたえる。
「ヨシゾウ殿、何やら故あって、最近商会に加わった方なのでしょう?
それに――"急"云々が付く、オリエ様からの御用……詳しく、お聞かせ願えますか?」
アヤコは、ヨシゾウを安心させようと、嫋やかな笑みを作って、彼に向けて手を差し出す。
「――はっ!、まずは、頭領からの書状を――」
――
――――
「――そう、"先日の事変"の生き残りが……」
アヤコは、書状に書かれたヤマカキ事変から、先日の屋敷への襲撃までの顛末――そして、風聖丸に乗せたヨシゾウたちを、スヨウの刺客から匿ってやって欲しいという旨を理解し、眼前に畏まるヨシゾウに――
「――わかりました。
皆様の身柄――ツツキ領主の名の下に、庇護する事をお約束致します。
それで?、その生き残りの少女と、盲目の娼婦とはいずこに?」
――疎開の要請を快く承諾し、レンたちとの目通りを願った。
「はっ、風聖丸の船室に控えておりますので、呼んで参ります」
ヨシゾウは改めてまた、アヤコに拝礼し、レンたちを呼びに甲板へと戻り、タツゴロウも荷の摘み降ろしの指図のために、アヤコの元から去ると――
「……アヤコ様、その少女とは、もしや――」
――書状を読む際、アヤコの隣に居たタマキは、何故か嬉しそうに、アヤコの顔を覗いた。
「……ええ、私も一瞬思いました。
メグミとスミノブに縁する者ではないのかと……でも、それは実に勝手な、我らだけの高望みでしょう。
オリエ様からの書状にも、唯一の生き残りであったとの記述もあるのですから、それが、我らと縁ある者であったならと願うのは、勝手が過ぎるというモノ……」
そう――アヤコにとって、ヤマカキ村とは、かつて自分の侍女を務めていたメグミと、旧ハクキ第一軍の近衛兵として、自分に仕えていたスミノブの夫婦が、まだ赤子だった娘を連れて移り住んだ場所だった。
なので、ヤマカキ事変を告げた占報を見聞きした時、アヤコを初めとして、夫婦の事を知る者は一様に泣き崩れたモノだった。
タマキの嬉しそうな顔とは――その少女が、二人の縁者である事を期待してのモノである。
「そうは仰いますが、あの二人が連れて行った娘とは……」
タマキが小声で、そこまでを口走った時――
「――それより先は、決して、口にしてはならぬと決めたはずですよ?、タマキ」
――と、アヤコは険しい顔をして、タマキに睨んだ目配せをする。
「!、はっ――口が滑りました、お許し下さい」
アヤコの厳しい態度を受け、タマキは青ざめる体で押し黙る。
「あっ、そーいやぁ姫様――」
――と、二人のやり取りの後、ヨシゾウが戻って来る事を待つアヤコたちの前に、一人の水夫が声を掛けて来た。
「ヨシゾウの旦那たちの他に、何でも、ココに用があるて言う女を、キョウカの港で乗せて来たんスけど……」
その水夫は、キョロキョロと甲板の上を見渡し、その女性の姿を探す。
「えっ?、その方はどんな――」
「ああ、居た居た……あの女っス!」
水夫は、見つけたその女――例の、謎めいた片眼鏡女を指差した。
「!!!!!、先――生っ!?」
その片眼鏡女の姿を見たアヤコは、驚いて思わず息を呑み、両手で自分の口を覆う。
「どうも――お久し振りですね、アヤコ様♪」
片眼鏡女も、アヤコの姿を見止めたらしく、甲板から手を振り、桟橋へと歩を進め出した。
「えっ、ええ……本当に、久し振りですね。
チヨ――先生……」
アヤコは、引き攣った笑顔で、片眼鏡女こと、チヨ先生と呼んだ女に会釈をする。
「なんでぇ、チヨさん――用があるだけじゃなく、姫様とも知り合いだったのかい」
桟橋に出迎えた水夫は、意外そうに常に虚ろに見える、チヨの瞳を見詰める。
「うふふ♪、別に隠していたワケではないのだけれど――用があると言っただけで乗せて貰えたから、言いそびれてしまったわね」
チヨは、ゆったりとした態度と口調でそう言うと、水夫の隣に立つアヤコたちも、その虚ろに見える不思議な瞳を向け、ニヤっとアヤしい笑みを浮べた。
「せっ!、先生は――神代文字の研究をしている、旅の学者で……以前にも、その旅すがら、この地を訪れた事があるのよ」
アヤコは何故か、こめかみに冷や汗を滲ませながら、不思議がっていた水夫にチヨとの経緯を告げる。
「なんでぇ、そうですかい。
んじゃ、俺は荷の積み降ろしに戻りますわ」
水夫が去った後、アヤコとチヨは意味深に視線を交えると――
「――タマキ、荷の様子を見て来てくれるかしら?
先生へのご案内と、ヨシゾウ殿たちの事は、私が引き受けますから」
口を真一文字に結び、真剣な表情でアヤコはタマキに用を言いつけた。
「わかりました、では、お願い致します」
タマキは、二人が発する人払いの気配を察し、指示に従ってその場をそそくさと離れる。
タマキが去った後も――アヤコとチヨは、二人だけとなった桟橋上で、視線を交え続けている。
「先生――"刀聖"でしたら、残念ながらまだ、コチラへは戻ってはおりませんよ?」
――と、アヤコが先手を打つ様に、そう口火を切った。
どうやら――チヨは、ソウタにも用があるらしい。
「ええ、もちろん解っています――ですが、その刀聖が、コチラに向かう様でしたので、寄らせて貰ったのです」
「!?」
人を喰った様な物言いで、チヨはアヤコがまだ知らない、ソウタがココへと向かっている事実を告げた。
「"見えた"――いえ、"感じた"のですか?」
「はい、既に、直ぐ近くに来ていますよ。
丁度――今は、"御傍の頭目"と一緒ですから、もう時期、貴女の下へ報せが来るでしょう」
驚くアヤコに、チヨは実に飄々と、ソウタの今の現状を教え――いや、見事に言い当てた。
「そう――あの子が、帰って来てくれるのですね」
先程までの、チヨへの緊張感を忘れ、アヤコは素直にソウタの帰還を喜んで見せる。
「うふふ♪、帰って来るのは――刀聖だけではありませんよ?」
そう言うとチヨは、喜ぶアヤコの耳元に口を寄せ――
「――"勝手な高望み"では、なかったのですから♪」
――そう囁いて、彼女の横を掏り抜けて行った。
ツツキの港へと無事、入港した風聖丸の甲板に居る水夫が、良く通る声でそう伝えると、舳先に格納されていた碇が降ろされ、桟橋には慌しく通路が設けられて、荷の積み降ろしがせっせと始まった。
「姫様――これが、前回の荷の代金と……今回の港の使用料を合算した手形でございやす。
金額を確かめの上、お納め下せぇ」
一足先に波止場へと渡った、風聖丸船長兼、ヨクセ商会海運方番頭――タツゴロウは、畏まって拝礼し、両手に持った手形の書状をアヤコに渡した。
「――確かに。
でも、既に四十を過ぎた女を、何時までも『姫様』と呼ぶのは……そろそろ、止めて貰いたいのだけれど?」
手形を受け取ったアヤコは苦笑し、そんな要請をタツゴロウにした。
「何を仰いやす――それを言っちゃあ、俺らはウチの頭領を、『お嬢』呼ばわり出来なくなっちゃいますぜぇ?
俺からすりゃあ――アンタは今でも『姫様』だし、ウチの頭領は今でも『お嬢』でさぁ、がはははっ!」
タツゴロウは、大口を開けて快活に笑い、晴れた青空を仰いで胸を張った。
「まあ、お許しくだせぇや?
俺は、これが――"最後の御目どおり"となりやすので」
タツゴロウはそう言うと、先程とは違った寂しげな笑みに表情を変える。
「そう言えば……前回の来航の際、言っていましたね。
次が、最後の航海だと……」
アヤコも、そのタツゴロウの顔に応じて、苦笑から残念な顔に変え、口をへの字に結ぶ。
もうすぐ、六十を越す齢であるタツゴロウにとって、今回の航海は隠居前、最後の航海であった。
腕利きの漁師として、船の扱いに長ける所を見込まれ、先代の頃から商会で働いている、タツゴロウからすれば、娘ほどの年頃のオリエは『お嬢』で、アヤコは『姫様』という言い分にも納得かもしれない。
「そーだ姫様、お嬢から――"荷とは別の用"を預かってます。
おい、ヨシゾウの旦那」
タツゴロウは、アヤコにとっては見慣れない、武官風の身なりをした男を手招きする。
「アヤコ様――お初に御目にかかります」
ヨシゾウは丁寧に畏まり、桟橋の上に片膝を着いて深々と拝礼し、アヤコに初見の挨拶をする。
「商船である風聖丸には似付かない、侍の作法と恰好ですね?
"鳳凰紋の鞘ごしらえ"の殿方よ」
アヤコは、少し怪訝な表情を造り、スヨウの国の紋を残した、ヨシゾウの鞘を指して皮肉染みた事を言う。
「!?、こっ、これは失礼を――急な出立だった故、鞘を作り替える間が無く……」
「いえ、お気になさらず――もはや、スヨウが事を、敵国などとは微塵も思っておりませんから。
ただ、見慣れぬ御方ゆえ……ちょっとからかっただけですわ」
アヤコが放つ、高貴な者ゆえの威厳と余裕に気圧され、ヨシゾウは冷や汗を掻いてうろたえる。
「ヨシゾウ殿、何やら故あって、最近商会に加わった方なのでしょう?
それに――"急"云々が付く、オリエ様からの御用……詳しく、お聞かせ願えますか?」
アヤコは、ヨシゾウを安心させようと、嫋やかな笑みを作って、彼に向けて手を差し出す。
「――はっ!、まずは、頭領からの書状を――」
――
――――
「――そう、"先日の事変"の生き残りが……」
アヤコは、書状に書かれたヤマカキ事変から、先日の屋敷への襲撃までの顛末――そして、風聖丸に乗せたヨシゾウたちを、スヨウの刺客から匿ってやって欲しいという旨を理解し、眼前に畏まるヨシゾウに――
「――わかりました。
皆様の身柄――ツツキ領主の名の下に、庇護する事をお約束致します。
それで?、その生き残りの少女と、盲目の娼婦とはいずこに?」
――疎開の要請を快く承諾し、レンたちとの目通りを願った。
「はっ、風聖丸の船室に控えておりますので、呼んで参ります」
ヨシゾウは改めてまた、アヤコに拝礼し、レンたちを呼びに甲板へと戻り、タツゴロウも荷の摘み降ろしの指図のために、アヤコの元から去ると――
「……アヤコ様、その少女とは、もしや――」
――書状を読む際、アヤコの隣に居たタマキは、何故か嬉しそうに、アヤコの顔を覗いた。
「……ええ、私も一瞬思いました。
メグミとスミノブに縁する者ではないのかと……でも、それは実に勝手な、我らだけの高望みでしょう。
オリエ様からの書状にも、唯一の生き残りであったとの記述もあるのですから、それが、我らと縁ある者であったならと願うのは、勝手が過ぎるというモノ……」
そう――アヤコにとって、ヤマカキ村とは、かつて自分の侍女を務めていたメグミと、旧ハクキ第一軍の近衛兵として、自分に仕えていたスミノブの夫婦が、まだ赤子だった娘を連れて移り住んだ場所だった。
なので、ヤマカキ事変を告げた占報を見聞きした時、アヤコを初めとして、夫婦の事を知る者は一様に泣き崩れたモノだった。
タマキの嬉しそうな顔とは――その少女が、二人の縁者である事を期待してのモノである。
「そうは仰いますが、あの二人が連れて行った娘とは……」
タマキが小声で、そこまでを口走った時――
「――それより先は、決して、口にしてはならぬと決めたはずですよ?、タマキ」
――と、アヤコは険しい顔をして、タマキに睨んだ目配せをする。
「!、はっ――口が滑りました、お許し下さい」
アヤコの厳しい態度を受け、タマキは青ざめる体で押し黙る。
「あっ、そーいやぁ姫様――」
――と、二人のやり取りの後、ヨシゾウが戻って来る事を待つアヤコたちの前に、一人の水夫が声を掛けて来た。
「ヨシゾウの旦那たちの他に、何でも、ココに用があるて言う女を、キョウカの港で乗せて来たんスけど……」
その水夫は、キョロキョロと甲板の上を見渡し、その女性の姿を探す。
「えっ?、その方はどんな――」
「ああ、居た居た……あの女っス!」
水夫は、見つけたその女――例の、謎めいた片眼鏡女を指差した。
「!!!!!、先――生っ!?」
その片眼鏡女の姿を見たアヤコは、驚いて思わず息を呑み、両手で自分の口を覆う。
「どうも――お久し振りですね、アヤコ様♪」
片眼鏡女も、アヤコの姿を見止めたらしく、甲板から手を振り、桟橋へと歩を進め出した。
「えっ、ええ……本当に、久し振りですね。
チヨ――先生……」
アヤコは、引き攣った笑顔で、片眼鏡女こと、チヨ先生と呼んだ女に会釈をする。
「なんでぇ、チヨさん――用があるだけじゃなく、姫様とも知り合いだったのかい」
桟橋に出迎えた水夫は、意外そうに常に虚ろに見える、チヨの瞳を見詰める。
「うふふ♪、別に隠していたワケではないのだけれど――用があると言っただけで乗せて貰えたから、言いそびれてしまったわね」
チヨは、ゆったりとした態度と口調でそう言うと、水夫の隣に立つアヤコたちも、その虚ろに見える不思議な瞳を向け、ニヤっとアヤしい笑みを浮べた。
「せっ!、先生は――神代文字の研究をしている、旅の学者で……以前にも、その旅すがら、この地を訪れた事があるのよ」
アヤコは何故か、こめかみに冷や汗を滲ませながら、不思議がっていた水夫にチヨとの経緯を告げる。
「なんでぇ、そうですかい。
んじゃ、俺は荷の積み降ろしに戻りますわ」
水夫が去った後、アヤコとチヨは意味深に視線を交えると――
「――タマキ、荷の様子を見て来てくれるかしら?
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口を真一文字に結び、真剣な表情でアヤコはタマキに用を言いつけた。
「わかりました、では、お願い致します」
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タマキが去った後も――アヤコとチヨは、二人だけとなった桟橋上で、視線を交え続けている。
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――と、アヤコが先手を打つ様に、そう口火を切った。
どうやら――チヨは、ソウタにも用があるらしい。
「ええ、もちろん解っています――ですが、その刀聖が、コチラに向かう様でしたので、寄らせて貰ったのです」
「!?」
人を喰った様な物言いで、チヨはアヤコがまだ知らない、ソウタがココへと向かっている事実を告げた。
「"見えた"――いえ、"感じた"のですか?」
「はい、既に、直ぐ近くに来ていますよ。
丁度――今は、"御傍の頭目"と一緒ですから、もう時期、貴女の下へ報せが来るでしょう」
驚くアヤコに、チヨは実に飄々と、ソウタの今の現状を教え――いや、見事に言い当てた。
「そう――あの子が、帰って来てくれるのですね」
先程までの、チヨへの緊張感を忘れ、アヤコは素直にソウタの帰還を喜んで見せる。
「うふふ♪、帰って来るのは――刀聖だけではありませんよ?」
そう言うとチヨは、喜ぶアヤコの耳元に口を寄せ――
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