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仁義
仁義(前編)
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場面は替わり、ここは今、ソウタとシオリが向かっている会議場の門前。
そこには、明らかに"その筋"の者だと解かる、着流しの強面男が二名立っている。
「――おう、警護、ご苦労さん」
――と、会議場から出てきた、派手な柄の羽織りを纏うリュウジは、門前に立つ二人に労う言葉を口にする。
「へぇっ!、お頭ぁ!、ありがとうごぜぇやすっ!」
その言葉を聞いた門前の二人は、低く構えて仰々しく礼を尽くす。
「寄り合いは……終わったんスか?」
「いんや、まだだ……街を守るための大事な話し合いみてぇだから、パッパッパッと終われるシロモンじゃあねぇのよ」
警護をしている子分たちからの質問に、リュウジはキセルを吹かしながら、険しい表情でそう答えた。
「この調子じゃあ、晩飯を挟んだ一服がありそうだ。
だから、適当に食材を買って来いって、おフミ婆さんから頼まれた。
それまで、警護は替わってやっから、おめぇら一っ走り、市場に行って来い」
そう前置きをして、リュウジは金がたんまりと入った小袋を子分に握らせ、顎を市場のある方向に杓った。
「へいっ!、解かりやしたぁっ!」
……子分たちが去った後、キセルを吹かしながら、夕方の空へと目線を寄せていたリュウジの耳に――
「――おやっ?、随分と珍しい人が警護をしてんだね」
――そんな声が聞こえ、彼は怪訝として、その声が聞こえた方へと目線を移す。
「?!、おめぇ――っ!」
リュウジは、その声の主を視認すると、驚いた様子で立ち上がり、咥えていたキセルを地面へと落とした。
「なっ!、南コクに向けて、"物止め"をするですと?」
オウビ商工組合代議員、十一名の中の一人である、ホウチ商会頭領――カズユキは、据わった目つきをして睨んでいる、眼前のオリエに真意を問う様に聞き返した。
『物止め』――それは、読んで字の如く、物資を中心に対象との取引を一切合切停止する事……いわゆる"経済制裁"の事だ。
「ああ、南コクは、"この世界の道理"には合わねぇコトをやらかしてんだ。
相応の制裁を与えてやろうってのは、トーゼンの考えでしょうよ?」
カズユキと対したオリエは、そのギラついた視線を辺りの皆にも向けて、自分の意見の正当性を主張する。
「『この世界の道理』と来たか――へっ!、ヨクセのお嬢が、熱心な"尊皇論者"だったとは、始めて知ったぜ」
そう言って、茶化しに入ったのは、不敵に笑ってキセルの灰を落とした初老の強面――チョウゴロウである。
「尊皇だぁ、反皇だぁを言ってるんじゃあないんですよ……大親分。
アタシが言いたいのは、コウオウの国と歴世の皇様たちには、この街の者――いや、そもそもアタシら"流者"には、忘れちゃあいけねぇ"義理"があるんじゃねぇのかい?、そう言ってるんですよ」
オリエは、大親分とも呼ばれる生粋の大侠客を相手に、まったく億尾も見せずに凄んでみせる。
「確かに――嬢ちゃんの言い分には、一理あるよ。
このオウビの街と、辺りの流領は……元々、当時の皇様が、流者たちの拠り所にすれば良いと、流者に領地の一部を切り分けてくれた土地だ。
言わば、名目上は、ココだって"コウオウの中"に当たるんだからね」
そう呟き、目の前の茶托の茶を一服飲んだフミは、ニヤッと笑ってオリエに同調する。
「そのっ!、『名目上』ってのが問題なんですよぉ~っ!
だから、連中はこのオウビの街にも、南コクが施政権を主張して来たんじゃないですかぁ~っ!
とりあえず今は、あの偏屈どもの機嫌を損ねない様に、当たらず障らずの立場に立って、やり過ごす方が無難でしょうよぉ~っ!
ヨクセさんの言い分は、曲がりなりにも一国家であり、コウオウの国をも攻め落とした連中に、戦でも嗾ける様なモノですよぉ~っ!」
カズユキは、熱っぽく捲くし立てているが、その表情は血色を蒼ざめさせ、脅えた様でオリエの主張に食い下がる。
「鎌を刀に、鍬を槍に持ち替えただけみてぇな、急ごしらえな"やっつけ武士"ばかりだとは聞くが、連中の思想に憑りつかれたみてぇに共感して集まった輩な分、士気だけは箆棒に高くて、頭数の多さにも手を焼いた結果、コウオウは先駆けを喰らって負けた。
アタシらの方も、戦うとなったら……似た様なやっつけ武士とヤクザ者が出張る事になるだろうけど、同じ様に数で来られちゃあ、勝ち目は無いね……」
畳をトントンと叩き、胸勘定で戦況を推測した織物職人のフクは、そう遠回しにカズユキを援護して、渋い顔で舌を鳴らし――
「――おらぁ、戦は嫌ぇだ……戦は、せっかく作った作物を灰にしちまうしぃ、人もいっぺぇ死ぬ。
街の衆のみんな……何とか、戦にならねぇ様にしてくんろ」
――更にカズユキの意見に賛同するのは、浅黒い肌に痩せた顔立ちの青年――流領の農民たちの代議員である、タゴスケである。
「どこの国の民にもならず、税も納めず、好き勝手やって暮している――そんなアタシら流者ってのは、南コク……共佑党って奴らの理念の真逆に居る存在だ。
アイツらにとっちゃあ、許す事が出来ねぇシロモノ――機嫌をとっても、自ずと戦を嗾けてくるのは、目に見えてますよ」
オリエは目を瞑り、何度も首を振って、苛立ちを見せながら、据えた眼光を鋭くして――
「皆さんが賛同しなくても、アタシとヨクセの衆は、物止めをさせて頂きますよ。
それが、アタシが思う、流者の矜持――いや、生まれ育ったこの街を与えてくれた、歴世の皇様たちに対する、"仁義"ですんでっ!」
オリエは、交渉決裂を表す意味で、座っている畳を手の平でバンッと叩いて立ち上がり、皆に背を向け、障子に手を掛ける。
「ヨクセさんっ!、お待ちなさいっ!、ウチの対外貿易の殆どは、お宅が担っているんですよっ!?
ヨクセさんが単独で物止めを掛けたら、それは"この街自体"が掛けたのと同じ――」
「――お嬢!、少し冷静になれっ!、
おめぇ……今、スヨウにも物止めを掛けてるのに、これで南コクもとなったら、どこと商売しようってんだっ!?
産物を卸してる、俺たちの事も考えろよっ!」
去ろうとするオリエに、カズユキと、漁師たちの元締めであるカンキチが、怒号混じりに彼女を止めようとする。
「――やぁかましいっ!、ちいと黙りなっ!」
――と、チョウゴロウが声を荒げ、その一喝で騒ぎ出した会議場の空気を替えた。
「お嬢……カタギの、しかも女の身の上なおめぇに、"矜持"だ"仁義"だと言われちゃ、ヤクザ者の頭として見過ごせねぇな?
おめぇの言うとおり、学のねぇ俺でも解かる――南コクは、"手打ち"にすんなり乗る様なタマじゃあねぇ……」
チョウゴロウはスリスリと薄くなっている自分の頭頂部を撫で、キセルの煙を一服吐き、まずはオリエの主張に理解を示す。
「――だが、物止めに反対してる衆が言うとおり、今の俺たちじゃあ南コクの勢いを止めるだけの力がねぇのも事実だ。
ヤクザ者同士の喧嘩なら……その矜持や仁義で意地を張ってやるのが常套だが、カタギ衆の事も絡む街自体の事だと、気軽にそうは出来ねぇ……」
――と、もう片方の意見にも配慮を示し、苦笑いをしながらうな垂れて舌を鳴らす。
「――大親分、それに皆の衆。
だったら――南コクとの喧嘩に『勝ち目』ってヤツがあんのなら、アタシの意見、通して貰えるのかい?」
半身で振り向いたオリエは、眼前の代議員十名の顔を見渡し、試す様な目付きで全員を見やる。
「……そりゃあ、そうだろうさ。
矜持や仁義は、この街の者が最も欠けちゃならなぇ思想よ。
寄り集まって、ただ、自由だぁ民意だぁと喚いている、どこぞの青い思想なんかより、よっぽど年季と筋が通ったヤツさ――勝ち目があんのなら、それを貫きたいのが、この場にいるモンの人情だろうよ?」
喧騒から距離を置いていた、フミが口を開き、オリエ同様、決意を試す様な眼光を皆に向ける。
「そう、ですね……」
「ああ、あの民衣なんていうダサい着物、仕立てたくはないからね」
「そうだっ!、誰が好き好んでっ!、あの天敵みてぇな連中の言う事を聞きたいモンかよぉっ!」
「おらぁ、作物が無事で、みんながいっぱい死なねぇのが良い……」
オリエの意見に反対していた皆は、『勝ち目』の一言に空気が一変する。
「大親分――ホントは、"頼るべきじゃない"し、アタシだって、本意じゃあないが……」
「!?、お嬢――おめぇ、まさか……」
オリエの秘めた考えと、チョウゴロウの推測が薄っすらと合致した、その時――
「――皆の衆っ!、親分っ!、失礼致しやすっ!」
――と、障子を開き払って現われたのは、険しい表情のリュウジだった。
「――なんだリュウジ!、今は取り込み中……」
「――へぇっ!、この寄り合いの場に、とびきり大事なお客人が来てございやす!」
そう言って、リュウジは自分の背後に立つ、編み笠を深く被った男に向けて手を指し出した。
そこには、明らかに"その筋"の者だと解かる、着流しの強面男が二名立っている。
「――おう、警護、ご苦労さん」
――と、会議場から出てきた、派手な柄の羽織りを纏うリュウジは、門前に立つ二人に労う言葉を口にする。
「へぇっ!、お頭ぁ!、ありがとうごぜぇやすっ!」
その言葉を聞いた門前の二人は、低く構えて仰々しく礼を尽くす。
「寄り合いは……終わったんスか?」
「いんや、まだだ……街を守るための大事な話し合いみてぇだから、パッパッパッと終われるシロモンじゃあねぇのよ」
警護をしている子分たちからの質問に、リュウジはキセルを吹かしながら、険しい表情でそう答えた。
「この調子じゃあ、晩飯を挟んだ一服がありそうだ。
だから、適当に食材を買って来いって、おフミ婆さんから頼まれた。
それまで、警護は替わってやっから、おめぇら一っ走り、市場に行って来い」
そう前置きをして、リュウジは金がたんまりと入った小袋を子分に握らせ、顎を市場のある方向に杓った。
「へいっ!、解かりやしたぁっ!」
……子分たちが去った後、キセルを吹かしながら、夕方の空へと目線を寄せていたリュウジの耳に――
「――おやっ?、随分と珍しい人が警護をしてんだね」
――そんな声が聞こえ、彼は怪訝として、その声が聞こえた方へと目線を移す。
「?!、おめぇ――っ!」
リュウジは、その声の主を視認すると、驚いた様子で立ち上がり、咥えていたキセルを地面へと落とした。
「なっ!、南コクに向けて、"物止め"をするですと?」
オウビ商工組合代議員、十一名の中の一人である、ホウチ商会頭領――カズユキは、据わった目つきをして睨んでいる、眼前のオリエに真意を問う様に聞き返した。
『物止め』――それは、読んで字の如く、物資を中心に対象との取引を一切合切停止する事……いわゆる"経済制裁"の事だ。
「ああ、南コクは、"この世界の道理"には合わねぇコトをやらかしてんだ。
相応の制裁を与えてやろうってのは、トーゼンの考えでしょうよ?」
カズユキと対したオリエは、そのギラついた視線を辺りの皆にも向けて、自分の意見の正当性を主張する。
「『この世界の道理』と来たか――へっ!、ヨクセのお嬢が、熱心な"尊皇論者"だったとは、始めて知ったぜ」
そう言って、茶化しに入ったのは、不敵に笑ってキセルの灰を落とした初老の強面――チョウゴロウである。
「尊皇だぁ、反皇だぁを言ってるんじゃあないんですよ……大親分。
アタシが言いたいのは、コウオウの国と歴世の皇様たちには、この街の者――いや、そもそもアタシら"流者"には、忘れちゃあいけねぇ"義理"があるんじゃねぇのかい?、そう言ってるんですよ」
オリエは、大親分とも呼ばれる生粋の大侠客を相手に、まったく億尾も見せずに凄んでみせる。
「確かに――嬢ちゃんの言い分には、一理あるよ。
このオウビの街と、辺りの流領は……元々、当時の皇様が、流者たちの拠り所にすれば良いと、流者に領地の一部を切り分けてくれた土地だ。
言わば、名目上は、ココだって"コウオウの中"に当たるんだからね」
そう呟き、目の前の茶托の茶を一服飲んだフミは、ニヤッと笑ってオリエに同調する。
「そのっ!、『名目上』ってのが問題なんですよぉ~っ!
だから、連中はこのオウビの街にも、南コクが施政権を主張して来たんじゃないですかぁ~っ!
とりあえず今は、あの偏屈どもの機嫌を損ねない様に、当たらず障らずの立場に立って、やり過ごす方が無難でしょうよぉ~っ!
ヨクセさんの言い分は、曲がりなりにも一国家であり、コウオウの国をも攻め落とした連中に、戦でも嗾ける様なモノですよぉ~っ!」
カズユキは、熱っぽく捲くし立てているが、その表情は血色を蒼ざめさせ、脅えた様でオリエの主張に食い下がる。
「鎌を刀に、鍬を槍に持ち替えただけみてぇな、急ごしらえな"やっつけ武士"ばかりだとは聞くが、連中の思想に憑りつかれたみてぇに共感して集まった輩な分、士気だけは箆棒に高くて、頭数の多さにも手を焼いた結果、コウオウは先駆けを喰らって負けた。
アタシらの方も、戦うとなったら……似た様なやっつけ武士とヤクザ者が出張る事になるだろうけど、同じ様に数で来られちゃあ、勝ち目は無いね……」
畳をトントンと叩き、胸勘定で戦況を推測した織物職人のフクは、そう遠回しにカズユキを援護して、渋い顔で舌を鳴らし――
「――おらぁ、戦は嫌ぇだ……戦は、せっかく作った作物を灰にしちまうしぃ、人もいっぺぇ死ぬ。
街の衆のみんな……何とか、戦にならねぇ様にしてくんろ」
――更にカズユキの意見に賛同するのは、浅黒い肌に痩せた顔立ちの青年――流領の農民たちの代議員である、タゴスケである。
「どこの国の民にもならず、税も納めず、好き勝手やって暮している――そんなアタシら流者ってのは、南コク……共佑党って奴らの理念の真逆に居る存在だ。
アイツらにとっちゃあ、許す事が出来ねぇシロモノ――機嫌をとっても、自ずと戦を嗾けてくるのは、目に見えてますよ」
オリエは目を瞑り、何度も首を振って、苛立ちを見せながら、据えた眼光を鋭くして――
「皆さんが賛同しなくても、アタシとヨクセの衆は、物止めをさせて頂きますよ。
それが、アタシが思う、流者の矜持――いや、生まれ育ったこの街を与えてくれた、歴世の皇様たちに対する、"仁義"ですんでっ!」
オリエは、交渉決裂を表す意味で、座っている畳を手の平でバンッと叩いて立ち上がり、皆に背を向け、障子に手を掛ける。
「ヨクセさんっ!、お待ちなさいっ!、ウチの対外貿易の殆どは、お宅が担っているんですよっ!?
ヨクセさんが単独で物止めを掛けたら、それは"この街自体"が掛けたのと同じ――」
「――お嬢!、少し冷静になれっ!、
おめぇ……今、スヨウにも物止めを掛けてるのに、これで南コクもとなったら、どこと商売しようってんだっ!?
産物を卸してる、俺たちの事も考えろよっ!」
去ろうとするオリエに、カズユキと、漁師たちの元締めであるカンキチが、怒号混じりに彼女を止めようとする。
「――やぁかましいっ!、ちいと黙りなっ!」
――と、チョウゴロウが声を荒げ、その一喝で騒ぎ出した会議場の空気を替えた。
「お嬢……カタギの、しかも女の身の上なおめぇに、"矜持"だ"仁義"だと言われちゃ、ヤクザ者の頭として見過ごせねぇな?
おめぇの言うとおり、学のねぇ俺でも解かる――南コクは、"手打ち"にすんなり乗る様なタマじゃあねぇ……」
チョウゴロウはスリスリと薄くなっている自分の頭頂部を撫で、キセルの煙を一服吐き、まずはオリエの主張に理解を示す。
「――だが、物止めに反対してる衆が言うとおり、今の俺たちじゃあ南コクの勢いを止めるだけの力がねぇのも事実だ。
ヤクザ者同士の喧嘩なら……その矜持や仁義で意地を張ってやるのが常套だが、カタギ衆の事も絡む街自体の事だと、気軽にそうは出来ねぇ……」
――と、もう片方の意見にも配慮を示し、苦笑いをしながらうな垂れて舌を鳴らす。
「――大親分、それに皆の衆。
だったら――南コクとの喧嘩に『勝ち目』ってヤツがあんのなら、アタシの意見、通して貰えるのかい?」
半身で振り向いたオリエは、眼前の代議員十名の顔を見渡し、試す様な目付きで全員を見やる。
「……そりゃあ、そうだろうさ。
矜持や仁義は、この街の者が最も欠けちゃならなぇ思想よ。
寄り集まって、ただ、自由だぁ民意だぁと喚いている、どこぞの青い思想なんかより、よっぽど年季と筋が通ったヤツさ――勝ち目があんのなら、それを貫きたいのが、この場にいるモンの人情だろうよ?」
喧騒から距離を置いていた、フミが口を開き、オリエ同様、決意を試す様な眼光を皆に向ける。
「そう、ですね……」
「ああ、あの民衣なんていうダサい着物、仕立てたくはないからね」
「そうだっ!、誰が好き好んでっ!、あの天敵みてぇな連中の言う事を聞きたいモンかよぉっ!」
「おらぁ、作物が無事で、みんながいっぱい死なねぇのが良い……」
オリエの意見に反対していた皆は、『勝ち目』の一言に空気が一変する。
「大親分――ホントは、"頼るべきじゃない"し、アタシだって、本意じゃあないが……」
「!?、お嬢――おめぇ、まさか……」
オリエの秘めた考えと、チョウゴロウの推測が薄っすらと合致した、その時――
「――皆の衆っ!、親分っ!、失礼致しやすっ!」
――と、障子を開き払って現われたのは、険しい表情のリュウジだった。
「――なんだリュウジ!、今は取り込み中……」
「――へぇっ!、この寄り合いの場に、とびきり大事なお客人が来てございやす!」
そう言って、リュウジは自分の背後に立つ、編み笠を深く被った男に向けて手を指し出した。
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