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三者会談
抱擁
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「――ソウタぁぁぁぁぁぁ~~~~っ!!!!!」
ここは、オウクからハクキ連邦との境へと続く、街道沿いの林の中。
そして、これは女がソウタの名を叫ぶ声と、その女が駆け寄って抱き着き、彼を茂みに押し倒した様である。
「ソウタぁぁぁ~っ!、ソウタソウタソウタソウタソウタソウタ、ソォウゥタァ~~~っ!!!!」
それに加えて、彼の名を連呼しながら、彼の背に手を回して抱き寄せ、彼の胸の中に蹲っている、その声と押し倒した者の正体は――当世皇、サトコである。
少し、状況を説明すると、一連の公開裁判への乱入作戦が一段落し、オウクを脱して逃亡者となったソウタたちは、以前からアオイやギンたちと打ち合わせていた、合流地点であるこの林の一角へとやって来た。
そして、その合流地点へと、アオイに連れて来られていたサトコが、ソウタの姿を視認した瞬間、狂ったように突然駆け出し、抱き着いて茂みに押し倒したのが、この状況なのである。
「――無事で良かったな、サトコ」
「ううっ……ソウタぁ~~!」
彼女が行ったこの行為と、その緊張の糸が切れた様な狂乱ぶりから、彼女の心中を慮ったソウタは、励ます体で彼女の身体を更に抱き寄せてやり、優しく頭を撫でてやる。
「わっ、私はやはり、民を――国を守れず、それどころか、この世界に更なる動乱を招いて苦しめてしまった……
どうしようもなく、愚かでダメな皇でした……」
サトコは、ソウタの胸元にボロボロと涙を溢し、後悔に満ちた咽びを繰り返す。
「愚かで、ダメだったのは、刀聖の方だよ。
光刃を見せただけで、今の混沌も晴れて、皆、大人しくなってくれるモンだと、昔からの伝承を鵜呑みにしてた……
今の思想を付けちまった、この世界の人たちじゃ――逆に、煽っちまう事になると気付かなかったんだからな」
彼女を抱いているソウタも、そんな後悔の念を吐露し、彼女を慰め続ける。
「いっ、意外よなぁ……あの、凛として聡明な若き皇様が、この様に乱れた様を御見せになられるとは……」
合流地点に設けられていた、野営のための焚き火の側で、そのサトコとソウタの様子を眺めていたヨシゾウは、驚いた体でそう呟いた。
「あの年齢の娘なりの、弱さを抱えたあの様子こそが――ツツキの者が知る"チハエノ・サトコ"、その人の姿よ」
――と、側で焚き火の様子を観ていたアオイは、補充用に集めた薪を茂みに置きながらそう応じた。
「特に、市井降りの際に、護衛と世話人を兼ねた学友となった――我とソウタ、ヒカリに対しては、立場を忘れた態度で接してしまうのよぉっ!」
アオイは薪を手に取り、サトコとソウタの――見方に因れば、ラブシーンに見えなくもない、くんずほぐれづの様を眺め、ピクピクとこめかみを震わせながら、力を込めて薪を割る。
(やれやれ――モテる男というのも、面倒で厄介な性だな)
ヨシゾウは、心中でそんな事を呟き、同情的な眼差しをソウタに送った。
「――ソウタ、殿……」
くんづほぐれづなソウタたちの側にやって来たのは、傷の応急手当を終えたカオリであった。
「カオリさん――アンタも、無事で良かった」
「お気遣いは、無用にござる……この傷は、自らの弱さの表れに過ぎませんから。
それよりも今は、たとえ御叱りを請け様とも――『刀聖様』と呼ばせて頂きます」
ソウタの労いと心配に対し、カオリは平手を出してそれを断わり――
「刀聖様――皇軍が、タマさんたちを遣わせて願った、再度の御助力の願いを応じて頂き、誠に感謝に堪えませぬ」
――と、武人の作法で諂い、ソウタに礼を述べた。
「いや、今の俺は――そんな堅苦しい挨拶に応えてやれる状況に居ないんだけど?」
ソウタは、自分の胸元に顔を寄せ、離れようとしないサトコの背中を指差し、困った表情でそう言う。
「サトコぉ~?、そろそろ離れるべきじゃないかなぁ~?
大変だった気持ちが解るから、しばらく黙ってたけど――そろそろ流石に、黙って居られなくなりそうなんだけどぉ~?」
「そうだな――もう、慰めの抱擁というより、単に好いた男に甘えている、色欲に溺れた女にしか見えんぞ?、サトコよ」
タマとアオイは、サトコたちの側に仁王立ちし、鋭い眼光でその様を見据えていた。
なるほど確かに、よく観れば――今のサトコの表情は、先程の悲壮感を醸した皇としての顔ではなく、ただデレ~っと幸せそうに、ソウタの胸元に顔を寄せ、そこから小さなハートマークが沢山漏れている様な姿である。
「きっ!、貴様ぁっ!、皇様に向かって、色欲女などとぉっ!?、ぐぅぅぅぅっ……!!」
アオイの、サトコへの侮蔑を交えた指摘を怒り、カオリは彼女に迫ったが、負傷した傷が痛み、その場に蹲ってしまう。
「――だから、まだ無理に動くなと言っただろう……
俺の癒しの界気では、所詮、獲物の反撃を受けた狩人が、応急処置に使う程度のモノなのだからな」
蹲ったカオリに手を差し伸べたのは、彼女に治療を施したギン――彼は、呆れた様子ではあるが、彼女を気遣って介抱する。
「カオリさん――悪ぃが傷、もうちょっと我慢してくれな?
次に連れてくつもりのトコでは、"箆棒に凄ぇ界気使い"と合流する予定だからさ」
ソウタは申し訳なさそうに、後頭部を掻きながらそうカオリに告げる。
「"凄い界気使い"?、もしや――ヒカリも?」
ソウタの胸元から起きたサトコは、彼が並べた言葉から、一人の人物の事を連想し、嬉しそうに頬を緩めながら尋ねる。
「ああ、ヒカリも来てる――今は、ちょいと別な用で動いて貰ってるけどな」
「あはぁ♪、嬉しいっ!、嬉しいわぁっ!!、ソウタぁっ!!!」
ヒカリも、ツツキからコチラに出向いていると知ったサトコは、その喜びを抑えきれず、またソウタに抱き着く。
「……だけど、アヤコ様がアオイやヒカリという重臣を貴方に預け、そのヒカリを別働で動かしている――という事は、私たちの事や、此度の有事に限った出動ではない……という事なのでは?」
サトコは、顔を寄せた所で急に顔色と表情をシリアスなモノに変え、彼女は――
「――私とカオリは、直ぐに幽閉されてしまったので、敗戦後の情勢がすっかり抜けてしまっています。
ですからまず、今の状況と――ソウタ、貴方が一体、何のために動いているのかを教えて下さい」
――その真剣な眼差しをソウタへと向け、状況説明を願った。
ここは、オウクからハクキ連邦との境へと続く、街道沿いの林の中。
そして、これは女がソウタの名を叫ぶ声と、その女が駆け寄って抱き着き、彼を茂みに押し倒した様である。
「ソウタぁぁぁ~っ!、ソウタソウタソウタソウタソウタソウタ、ソォウゥタァ~~~っ!!!!」
それに加えて、彼の名を連呼しながら、彼の背に手を回して抱き寄せ、彼の胸の中に蹲っている、その声と押し倒した者の正体は――当世皇、サトコである。
少し、状況を説明すると、一連の公開裁判への乱入作戦が一段落し、オウクを脱して逃亡者となったソウタたちは、以前からアオイやギンたちと打ち合わせていた、合流地点であるこの林の一角へとやって来た。
そして、その合流地点へと、アオイに連れて来られていたサトコが、ソウタの姿を視認した瞬間、狂ったように突然駆け出し、抱き着いて茂みに押し倒したのが、この状況なのである。
「――無事で良かったな、サトコ」
「ううっ……ソウタぁ~~!」
彼女が行ったこの行為と、その緊張の糸が切れた様な狂乱ぶりから、彼女の心中を慮ったソウタは、励ます体で彼女の身体を更に抱き寄せてやり、優しく頭を撫でてやる。
「わっ、私はやはり、民を――国を守れず、それどころか、この世界に更なる動乱を招いて苦しめてしまった……
どうしようもなく、愚かでダメな皇でした……」
サトコは、ソウタの胸元にボロボロと涙を溢し、後悔に満ちた咽びを繰り返す。
「愚かで、ダメだったのは、刀聖の方だよ。
光刃を見せただけで、今の混沌も晴れて、皆、大人しくなってくれるモンだと、昔からの伝承を鵜呑みにしてた……
今の思想を付けちまった、この世界の人たちじゃ――逆に、煽っちまう事になると気付かなかったんだからな」
彼女を抱いているソウタも、そんな後悔の念を吐露し、彼女を慰め続ける。
「いっ、意外よなぁ……あの、凛として聡明な若き皇様が、この様に乱れた様を御見せになられるとは……」
合流地点に設けられていた、野営のための焚き火の側で、そのサトコとソウタの様子を眺めていたヨシゾウは、驚いた体でそう呟いた。
「あの年齢の娘なりの、弱さを抱えたあの様子こそが――ツツキの者が知る"チハエノ・サトコ"、その人の姿よ」
――と、側で焚き火の様子を観ていたアオイは、補充用に集めた薪を茂みに置きながらそう応じた。
「特に、市井降りの際に、護衛と世話人を兼ねた学友となった――我とソウタ、ヒカリに対しては、立場を忘れた態度で接してしまうのよぉっ!」
アオイは薪を手に取り、サトコとソウタの――見方に因れば、ラブシーンに見えなくもない、くんずほぐれづの様を眺め、ピクピクとこめかみを震わせながら、力を込めて薪を割る。
(やれやれ――モテる男というのも、面倒で厄介な性だな)
ヨシゾウは、心中でそんな事を呟き、同情的な眼差しをソウタに送った。
「――ソウタ、殿……」
くんづほぐれづなソウタたちの側にやって来たのは、傷の応急手当を終えたカオリであった。
「カオリさん――アンタも、無事で良かった」
「お気遣いは、無用にござる……この傷は、自らの弱さの表れに過ぎませんから。
それよりも今は、たとえ御叱りを請け様とも――『刀聖様』と呼ばせて頂きます」
ソウタの労いと心配に対し、カオリは平手を出してそれを断わり――
「刀聖様――皇軍が、タマさんたちを遣わせて願った、再度の御助力の願いを応じて頂き、誠に感謝に堪えませぬ」
――と、武人の作法で諂い、ソウタに礼を述べた。
「いや、今の俺は――そんな堅苦しい挨拶に応えてやれる状況に居ないんだけど?」
ソウタは、自分の胸元に顔を寄せ、離れようとしないサトコの背中を指差し、困った表情でそう言う。
「サトコぉ~?、そろそろ離れるべきじゃないかなぁ~?
大変だった気持ちが解るから、しばらく黙ってたけど――そろそろ流石に、黙って居られなくなりそうなんだけどぉ~?」
「そうだな――もう、慰めの抱擁というより、単に好いた男に甘えている、色欲に溺れた女にしか見えんぞ?、サトコよ」
タマとアオイは、サトコたちの側に仁王立ちし、鋭い眼光でその様を見据えていた。
なるほど確かに、よく観れば――今のサトコの表情は、先程の悲壮感を醸した皇としての顔ではなく、ただデレ~っと幸せそうに、ソウタの胸元に顔を寄せ、そこから小さなハートマークが沢山漏れている様な姿である。
「きっ!、貴様ぁっ!、皇様に向かって、色欲女などとぉっ!?、ぐぅぅぅぅっ……!!」
アオイの、サトコへの侮蔑を交えた指摘を怒り、カオリは彼女に迫ったが、負傷した傷が痛み、その場に蹲ってしまう。
「――だから、まだ無理に動くなと言っただろう……
俺の癒しの界気では、所詮、獲物の反撃を受けた狩人が、応急処置に使う程度のモノなのだからな」
蹲ったカオリに手を差し伸べたのは、彼女に治療を施したギン――彼は、呆れた様子ではあるが、彼女を気遣って介抱する。
「カオリさん――悪ぃが傷、もうちょっと我慢してくれな?
次に連れてくつもりのトコでは、"箆棒に凄ぇ界気使い"と合流する予定だからさ」
ソウタは申し訳なさそうに、後頭部を掻きながらそうカオリに告げる。
「"凄い界気使い"?、もしや――ヒカリも?」
ソウタの胸元から起きたサトコは、彼が並べた言葉から、一人の人物の事を連想し、嬉しそうに頬を緩めながら尋ねる。
「ああ、ヒカリも来てる――今は、ちょいと別な用で動いて貰ってるけどな」
「あはぁ♪、嬉しいっ!、嬉しいわぁっ!!、ソウタぁっ!!!」
ヒカリも、ツツキからコチラに出向いていると知ったサトコは、その喜びを抑えきれず、またソウタに抱き着く。
「……だけど、アヤコ様がアオイやヒカリという重臣を貴方に預け、そのヒカリを別働で動かしている――という事は、私たちの事や、此度の有事に限った出動ではない……という事なのでは?」
サトコは、顔を寄せた所で急に顔色と表情をシリアスなモノに変え、彼女は――
「――私とカオリは、直ぐに幽閉されてしまったので、敗戦後の情勢がすっかり抜けてしまっています。
ですからまず、今の状況と――ソウタ、貴方が一体、何のために動いているのかを教えて下さい」
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