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答え
俗世への制裁
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更に場は転じ――ココは、簡素に写る藁葺屋根が特徴的な狭い小屋の中である。
そこの窓から覗ける屋外には、同様の小屋が幾つも建っていて、そこが集落の内の一棟である事が解る。
「はは♪、ザマぁねぇ恰好だね――"何時ぞやの"、"短槍の美少女"サマも♪」
――と、そこから聴こえた楽しげな声の主は、そんな皮肉めいた言葉を吐きながら、トンと手元の灰皿にキセルを叩いて、溜まった灰を捨ててみせる。
「けっ!、何だい――てめぇの娘に伸された、"短槍のオバちゃん"を笑いに来たのかい?」
その言葉に対して、そう毒づき、口を尖らせて声の主を睨んでいるのは――前後の会話が匂わしたとおりに、ブスッと頬を膨らませたスズであった。
会話にあった、そのスズの『ザマぁない恰好』というのは――頬は腫れ上がり、骨折した顎を固定する装具をはめている姿の事で、その原因とはもちろん、タマが放った、あの"渾身の一撃"である。
そんなスズの風貌を――ニヤニヤと見据えている、キセルを吹かした黒い猫耳の美女とは、"コケツ衆頭目"の座を担っている、シュリという猫族の女だ。
そう――この集落は、連邦北部の奥地にあるコケツ村――コケツ衆が拠を構えている里である。
スズが率いていた南コクエ……いや、正しくは北コクエに雇われていたコケツ衆の者たちは、凶刃の変での混乱に乗じ、契約破棄の三行半を南コクエに突きつけてココは、コケツ村へと戻って来ていた。
その際、シロの機転で、倒れ込んでいたスズも救出され、彼女も怪我の療養のために里帰りを決め込んでいた。
「へへ――♪、さっすがはアタシが見込んだ娘だってハナシさね♪
母親の顎を、躊躇い微塵の無く、見事に打ち砕くなんてさ♪、良い士に育ってるよ♪、"アタシの弟子"はってね♪」
シュリは腕を組み、スズから聞かされたらしい、タマとの母子対決の顛末を思い出して、満足気に笑みを浮かべた。
シュリは、"無手の達人"として、コケツ衆内では名が通っており、タマに無手の技を教え込んだのも彼女である。
その戦闘力は、状況次第ではスズをも凌駕するほどというのが、コケツ衆内でのもっぱらな評判。
それが、頭目に推された理由でもあるのだが――彼女は、傭兵仕事以外で外部の者と接する事を極端に嫌っているため、それ故に大武会の出場歴も無く、あまり俗世には知られていない、知る人ぞ知る隠れた猛者である。
ちなみに――この二人は、同い年の幼馴染というカンケイであり、共に傭兵として切磋琢磨し合った仲。
今は、スズは実働隊の長として働き、シュリは頭目として全体の把握と村の運営と防備を担う事で、コケツ衆の両輪として、組織を支えていた。
「けっ!、アンタの仕込みが良過ぎたから、アタシはボロ負けさね」
スズは、皮肉めいた言い方で、シュリに礼染みた賛辞を投げ――
「――でも、修行の旅に出しちまうのは、ちいと早かったかねぇ?
すっかり、ヒトの世の中に毒されちまってさ」
――と、娘の予期せぬ成長ぶりへの愚痴も乗せ、溜め息混じりに呟く。
「ふん――アンタが言えたセリフかい?
ヒトの男――それも、"刀聖リョウゴ"なんかに惚れて、散々みんなを巻き込んだ上に、大損させたのは……どこの誰だったかねぇ?」
シュリがまた、ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべながらそう言うと、スズは顔を引き攣らせて渋い顔をする。
「――っ!、そうだねぇ……その『誰か』の娘、だからかね……」
スズは、納得した体で額を手で押さえ、彼女もニヤッと笑う。
そう――シュリが挙げた『誰か』とは、スズ自身の事。
そして、スズは大武会で対戦して敗れた、先の刀聖――リョウゴに惚れ、一時は種間の禁忌を受け入れてでも、リョウゴと夫婦に成りたいとまで言って、憚らなかった過去を持っていた。
その縁もあり、先の大戦時はリョウゴが当時、加わっていたスヨウ側への、コケツ衆参戦の仲介に尽力し、それを請け負ったコケツ衆も、スヨウ側の勝利に貢献したのだが――
「――ヒトが声高に言う、"大儀だ"、"志しだ"とかの御題目を並べて、金払いを渋る様な客の仕事を請け負わせた――アタシだからこそ、今のあの娘の入れ込みぶりが、頗る勘に障るんだろうね」
――スズが続けたセリフのとおり、スヨウが大戦終結後にコケツ衆へ支払った報酬が……踏み倒しに等しい少額であった事が、コケツ衆がスヨウからの仕事を避ける様になった理由であった。
「――でも、アンタはこないだ、帰って来た時、随分と嬉しそうに言ってたじゃないかい?
"アタシの娘は、ちゃんとオトコを見る目も受け継いでたよ"ってさ?」
シュリは、またも皿へ灰を落とし、もう一服、口に含んで、その煙を一息に吐く。
「それに、ヒトの世の『情』ってヤツを知ったからこそ、村に居ただけでは得られない、別の意味の"強さ"を手に入れられたって、アタシに熱弁を振るったのはアンタじゃないかい?」
シュリが、そんな諭す様な言葉を続けると、スズは渋い顔をしてうな垂れる。
「アタシは――"二五年前みてぇな大戦"が、近々待ってるんじゃないかと思ってる。
だから、あん時みてぇなタダ働きを、今の若いみんなや、あの娘にはさせたくねぇのさ」
「それは――頭目のアタシも同じ考えだよ。
だからこそ、ヒトってモンの酸いも甘いも知った、アンタの経験を頼りしてんだ。
何時までも、娘に伸されて、落ち込んでられちゃあ困るよ?」
スズの真意に同調したシュリは、彼女の肩に手を置き、励ます様な言葉を彼女に送った。
場面は――またも転じ、ココはオウビの港。
そこに停泊している風聖丸の舳先に立ち、眼前を覆う大海原の様を見据えているのは――オリエである。
「――お嬢っ!、出港準備は整いやしたぜ!」
そう、彼女に声を掛けたのは、引退したタツゴロウに替わって、風聖丸の新しい船頭に任じられたトウベイだった。
「あいよっ!、んじゃ――街の衆に挨拶して来る、ちいと待ってな!」
オリエは、商会の名が詩集された羽織りを潮風に靡かせ、身を翻して桟橋が敷かれた方へと歩き出した。
「いよいよ行くか――お嬢」
桟橋の手前で、キセルを咥えたまま立っているのは……着流して、片身を隠した格好のチョウゴロウ。
「ちいと寂しくはなるが――刀聖の意を汲んだでかい仕事なんだ、頑張んなよ?」
そう言って、彼女の肩に手を置いたのは、留袖姿のフミである。
「なんですお二人さん?、行き遅れな娘を、ついに嫁へ出すような気持ちですかい?」
――と、オリエはからかう様な口調で、二人からの見送りの挨拶に対してそう返した。
そう――オリエはこれから、この風聖丸に乗り込んで、しばらくオウビを出る。
その目的とは、ツクモ中に拡がっているヨクセ商会所有のモノとカネ――これを、風聖丸を旗艦とした大船団へと全て積み込み、それをツツキの地へと運んでしまう計画を指揮するためだ。
その計画とは……そのモノとカネの流れを、オウビーツツキ間"だけ"に集約してしまうという、実に荒唐無稽で、フツーではあり得ない策である。
同時にそれは、ツクモ経済の大半を担っているヨクセが、俗世全てに対して、物止めと金止め――言わば、"超大規模な経済制裁"を、仕掛けるという事であるっ!
「けっ!、嫁に出すには、あんなとんでもねぇ事を考える阿婆擦れ娘で、婿の方に申し訳なくなっちまうよ!」
フミは呆れた様で、オリエの返しを笑いながら受けた。
「それにしてもお嬢……これで、おめぇの儲けは半分――いや、ほとんどねぇに等しいだろうが?
これから、どうシノぐつもりでぇ?」
チョウゴロウは現実的に、オリエの暴策とも言える今回の決断に、否定的な立場から疑問をぶつけた。
「――なぁに、先代から積んだ貯えを還すつもりになれば、しばらくは儲けが無くても、従業員をそれなりに養うぐらいには困らねぇでしょうし、アタシがやろうとしている事、アタシの"侠気"ってヤツを皆にぶつけて、それでも付いて来てくれるってモンだけを、側に残したつもりです。
全員――これで朽ち果てても、別に悔いはねぇって輩しか、今のアタシの周りにはいませんからね」
オリエは、笑みを浮かべながらも、顔付はちっとも笑ってはおらず――意を決した表情で、チョウゴロウたちの顔を見やる
(へっ!、まったく、"ウチの若頭"も、とんでもねぇ女に惚れたモンだ♪)
苦笑いをするチョウゴロウの心中には、そんな言葉とリュウジの顔が浮かんでいた。
「刀聖――ソウタが世に撒き散らした、鬼面の刀聖への畏怖。
それにアンタが始める、"俗世への制裁"――これで、この世界の進退が、いよいよ極まっちまう時が迫る――少なくとも、街の外は苦しい世の中になるんだろうね」
フミは目を瞑り、同情する様な態度で辛そうに呟く。
「でも――それを願ったのは民。
そうなる様に事を進めたのは、そんな"民が選んだ者"の所業――"自業自得"ってヤツさね。
自分たちの世界が、これまで育んで来た――"道理"ってヤツを忘れて、それを望んだんだからさ」
オリエは、フミの呟きにそう応じると、残念そうな表情で空を見上げた。
そこの窓から覗ける屋外には、同様の小屋が幾つも建っていて、そこが集落の内の一棟である事が解る。
「はは♪、ザマぁねぇ恰好だね――"何時ぞやの"、"短槍の美少女"サマも♪」
――と、そこから聴こえた楽しげな声の主は、そんな皮肉めいた言葉を吐きながら、トンと手元の灰皿にキセルを叩いて、溜まった灰を捨ててみせる。
「けっ!、何だい――てめぇの娘に伸された、"短槍のオバちゃん"を笑いに来たのかい?」
その言葉に対して、そう毒づき、口を尖らせて声の主を睨んでいるのは――前後の会話が匂わしたとおりに、ブスッと頬を膨らませたスズであった。
会話にあった、そのスズの『ザマぁない恰好』というのは――頬は腫れ上がり、骨折した顎を固定する装具をはめている姿の事で、その原因とはもちろん、タマが放った、あの"渾身の一撃"である。
そんなスズの風貌を――ニヤニヤと見据えている、キセルを吹かした黒い猫耳の美女とは、"コケツ衆頭目"の座を担っている、シュリという猫族の女だ。
そう――この集落は、連邦北部の奥地にあるコケツ村――コケツ衆が拠を構えている里である。
スズが率いていた南コクエ……いや、正しくは北コクエに雇われていたコケツ衆の者たちは、凶刃の変での混乱に乗じ、契約破棄の三行半を南コクエに突きつけてココは、コケツ村へと戻って来ていた。
その際、シロの機転で、倒れ込んでいたスズも救出され、彼女も怪我の療養のために里帰りを決め込んでいた。
「へへ――♪、さっすがはアタシが見込んだ娘だってハナシさね♪
母親の顎を、躊躇い微塵の無く、見事に打ち砕くなんてさ♪、良い士に育ってるよ♪、"アタシの弟子"はってね♪」
シュリは腕を組み、スズから聞かされたらしい、タマとの母子対決の顛末を思い出して、満足気に笑みを浮かべた。
シュリは、"無手の達人"として、コケツ衆内では名が通っており、タマに無手の技を教え込んだのも彼女である。
その戦闘力は、状況次第ではスズをも凌駕するほどというのが、コケツ衆内でのもっぱらな評判。
それが、頭目に推された理由でもあるのだが――彼女は、傭兵仕事以外で外部の者と接する事を極端に嫌っているため、それ故に大武会の出場歴も無く、あまり俗世には知られていない、知る人ぞ知る隠れた猛者である。
ちなみに――この二人は、同い年の幼馴染というカンケイであり、共に傭兵として切磋琢磨し合った仲。
今は、スズは実働隊の長として働き、シュリは頭目として全体の把握と村の運営と防備を担う事で、コケツ衆の両輪として、組織を支えていた。
「けっ!、アンタの仕込みが良過ぎたから、アタシはボロ負けさね」
スズは、皮肉めいた言い方で、シュリに礼染みた賛辞を投げ――
「――でも、修行の旅に出しちまうのは、ちいと早かったかねぇ?
すっかり、ヒトの世の中に毒されちまってさ」
――と、娘の予期せぬ成長ぶりへの愚痴も乗せ、溜め息混じりに呟く。
「ふん――アンタが言えたセリフかい?
ヒトの男――それも、"刀聖リョウゴ"なんかに惚れて、散々みんなを巻き込んだ上に、大損させたのは……どこの誰だったかねぇ?」
シュリがまた、ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべながらそう言うと、スズは顔を引き攣らせて渋い顔をする。
「――っ!、そうだねぇ……その『誰か』の娘、だからかね……」
スズは、納得した体で額を手で押さえ、彼女もニヤッと笑う。
そう――シュリが挙げた『誰か』とは、スズ自身の事。
そして、スズは大武会で対戦して敗れた、先の刀聖――リョウゴに惚れ、一時は種間の禁忌を受け入れてでも、リョウゴと夫婦に成りたいとまで言って、憚らなかった過去を持っていた。
その縁もあり、先の大戦時はリョウゴが当時、加わっていたスヨウ側への、コケツ衆参戦の仲介に尽力し、それを請け負ったコケツ衆も、スヨウ側の勝利に貢献したのだが――
「――ヒトが声高に言う、"大儀だ"、"志しだ"とかの御題目を並べて、金払いを渋る様な客の仕事を請け負わせた――アタシだからこそ、今のあの娘の入れ込みぶりが、頗る勘に障るんだろうね」
――スズが続けたセリフのとおり、スヨウが大戦終結後にコケツ衆へ支払った報酬が……踏み倒しに等しい少額であった事が、コケツ衆がスヨウからの仕事を避ける様になった理由であった。
「――でも、アンタはこないだ、帰って来た時、随分と嬉しそうに言ってたじゃないかい?
"アタシの娘は、ちゃんとオトコを見る目も受け継いでたよ"ってさ?」
シュリは、またも皿へ灰を落とし、もう一服、口に含んで、その煙を一息に吐く。
「それに、ヒトの世の『情』ってヤツを知ったからこそ、村に居ただけでは得られない、別の意味の"強さ"を手に入れられたって、アタシに熱弁を振るったのはアンタじゃないかい?」
シュリが、そんな諭す様な言葉を続けると、スズは渋い顔をしてうな垂れる。
「アタシは――"二五年前みてぇな大戦"が、近々待ってるんじゃないかと思ってる。
だから、あん時みてぇなタダ働きを、今の若いみんなや、あの娘にはさせたくねぇのさ」
「それは――頭目のアタシも同じ考えだよ。
だからこそ、ヒトってモンの酸いも甘いも知った、アンタの経験を頼りしてんだ。
何時までも、娘に伸されて、落ち込んでられちゃあ困るよ?」
スズの真意に同調したシュリは、彼女の肩に手を置き、励ます様な言葉を彼女に送った。
場面は――またも転じ、ココはオウビの港。
そこに停泊している風聖丸の舳先に立ち、眼前を覆う大海原の様を見据えているのは――オリエである。
「――お嬢っ!、出港準備は整いやしたぜ!」
そう、彼女に声を掛けたのは、引退したタツゴロウに替わって、風聖丸の新しい船頭に任じられたトウベイだった。
「あいよっ!、んじゃ――街の衆に挨拶して来る、ちいと待ってな!」
オリエは、商会の名が詩集された羽織りを潮風に靡かせ、身を翻して桟橋が敷かれた方へと歩き出した。
「いよいよ行くか――お嬢」
桟橋の手前で、キセルを咥えたまま立っているのは……着流して、片身を隠した格好のチョウゴロウ。
「ちいと寂しくはなるが――刀聖の意を汲んだでかい仕事なんだ、頑張んなよ?」
そう言って、彼女の肩に手を置いたのは、留袖姿のフミである。
「なんですお二人さん?、行き遅れな娘を、ついに嫁へ出すような気持ちですかい?」
――と、オリエはからかう様な口調で、二人からの見送りの挨拶に対してそう返した。
そう――オリエはこれから、この風聖丸に乗り込んで、しばらくオウビを出る。
その目的とは、ツクモ中に拡がっているヨクセ商会所有のモノとカネ――これを、風聖丸を旗艦とした大船団へと全て積み込み、それをツツキの地へと運んでしまう計画を指揮するためだ。
その計画とは……そのモノとカネの流れを、オウビーツツキ間"だけ"に集約してしまうという、実に荒唐無稽で、フツーではあり得ない策である。
同時にそれは、ツクモ経済の大半を担っているヨクセが、俗世全てに対して、物止めと金止め――言わば、"超大規模な経済制裁"を、仕掛けるという事であるっ!
「けっ!、嫁に出すには、あんなとんでもねぇ事を考える阿婆擦れ娘で、婿の方に申し訳なくなっちまうよ!」
フミは呆れた様で、オリエの返しを笑いながら受けた。
「それにしてもお嬢……これで、おめぇの儲けは半分――いや、ほとんどねぇに等しいだろうが?
これから、どうシノぐつもりでぇ?」
チョウゴロウは現実的に、オリエの暴策とも言える今回の決断に、否定的な立場から疑問をぶつけた。
「――なぁに、先代から積んだ貯えを還すつもりになれば、しばらくは儲けが無くても、従業員をそれなりに養うぐらいには困らねぇでしょうし、アタシがやろうとしている事、アタシの"侠気"ってヤツを皆にぶつけて、それでも付いて来てくれるってモンだけを、側に残したつもりです。
全員――これで朽ち果てても、別に悔いはねぇって輩しか、今のアタシの周りにはいませんからね」
オリエは、笑みを浮かべながらも、顔付はちっとも笑ってはおらず――意を決した表情で、チョウゴロウたちの顔を見やる
(へっ!、まったく、"ウチの若頭"も、とんでもねぇ女に惚れたモンだ♪)
苦笑いをするチョウゴロウの心中には、そんな言葉とリュウジの顔が浮かんでいた。
「刀聖――ソウタが世に撒き散らした、鬼面の刀聖への畏怖。
それにアンタが始める、"俗世への制裁"――これで、この世界の進退が、いよいよ極まっちまう時が迫る――少なくとも、街の外は苦しい世の中になるんだろうね」
フミは目を瞑り、同情する様な態度で辛そうに呟く。
「でも――それを願ったのは民。
そうなる様に事を進めたのは、そんな"民が選んだ者"の所業――"自業自得"ってヤツさね。
自分たちの世界が、これまで育んで来た――"道理"ってヤツを忘れて、それを望んだんだからさ」
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