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フィンネルとヘレナ 其の二
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日が暮れはじめ、通りを歩いていた人々は自らのホームか早い者は酒場へと消えていく頃。
一番街のとあるファミリアのホームにも所属する団員達が集まりつつあった。
ここは海と地震を司る神ポセイドンを主神として置く、ポセイドンファミリアのホーム。
彼らは一番街と呼ばれる、最もダンジョンに近い居住区にホームを置いている。
冒険者達の間ではダンジョン通りと呼ばれている、昼には多くの露店が夜には人気の酒場で賑わう通りに面した一等地。
全ファミリア中でも5本の指に入る大規模ファミリアのため、ホームの建物自体の大きさも相当なものである。
正面入り口には三叉の矛トリアイナを手にした荘厳なポセイドンの像が置かれ。
三メートル程の高さの頑強な塀に囲まれたホームは、この世界では珍しい3階建の屋敷になっている。
派手さの少ないシンプルな造りだが、力強さと重厚感のある海神ポセイドンの名に恥じぬ建物である。
ポセイドンの像の横を通り、両開きの重厚な扉を開き二人の少女が入って来る。
一人は褐色の肌のラ・フィンネル、もう一人が金髪の長い髪を持つヘレナ・ミカエラ・ファンブルク。
二人は玄関を入ってすぐのところにいた薄い色の金髪をオールバックにしている大柄な男、ポセイドンファミリア団長ルブルムの前へと進むと。
二人に気付いたルブルムが先に口を開いた。
「その様子だと、手掛かりは無しか。それにしても随分汚れたな、二人で泥遊びでもしてたのか?」
いつもは陽気に扉を勢いよく開けて帰って来るフィンネルの姿を見て、ルブルムはそう問いかけた。
しかしその問いは半分正解で半分不正解であった。
「えーっと団長。手掛かりはありました。汚れてるのはヘレナとちょっと言い争いをして、それで───」
「───ちょっとやめてよラフィー、|兄(あに)様の前で余計な事言わないで頂戴」
アマゾネスの数ある種族の中の一つ、ラ族のフィンネルということで、親しいものからはラフィーと呼ばれている。
そしてルブルムはヘレナの義理の兄にあたる。
「相変わらず仲がいいな二人とも」
「よくないし!」「よくありませんわ!」
睨み合っていた二人が全く同じタイミングで振り向き否定する。
ルブルムからすればその姿がどうしても仲がいいようにしか見えないわけだが、いつも押し問答に変わるため苦笑いを浮かべるだけに留めた。
それに今日はそれよりも大事な話があったためだ。
「それで?どんな手掛かりを掴んできたのか話してくれるか」
「わかりました兄様」
「全員集まれ、二人が今日の事件の犯人の手掛かりを話す」
ルブルムの言葉を聞いた団員達はすぐに集まってきた。
必死に押さえ込みながらも僅かに漏れ出る、只ならぬ殺気を放ちながら。
「ダンジョン35階層の攻略成功を女王様自ら祝うと、白鳴城に呼んでくれためでたい日に仕掛けてきた馬鹿がわかったのかい」
「|ポセイドンファミリア(うち)に仕掛けてくることが、どれだけ身の程知らずか思い知らせてやらねぇと」
「何年振りだっけ、ファミリア間抗争なんて」
自らのファミリアに誇りを持つ団員達は、喧嘩をふっかけられたことに憤りを露わにしている。
それがまさか偶発的な事故だったとは知らずに。
しかし、その事はフィンネルとヘレナもまだ知らなかった。
「落ち着けお前ら。落とし前は付けさせる、ポセイドンファミリア団長ルブルム・ミカエラ・ファンブルクの名に誓って」
ルブルムがフルネームを出したことで決意の固さが伝わり全員が押し黙った。
そしてその沈黙の中、まだ確定ってわけじゃないけどと前置きし、フィンネルが口を開く。
「最近七番街に物凄い爆裂魔法を使う奴が現れたらしい。という話なんだけどね。前に他のファミリアがダンジョンから出てきたチビ飛竜の討伐サボって、それが誰も退治せず七番街に巣食ってて。それを三人だけで木っ端微塵に吹き飛ばしたとかなんとか」
「急に現れて頭角を現してきたらしいんですけど。かなり自己主張の強い性格で、色んなことに首を突っ込んでは派手に盛り上げようとするのが好きな人物だと聞きました」
かなり的を得ている性格な情報をこれだけの短時間で集められたのは、単にヘレナが優秀だったからというだけでなく。
ポセイドンファミリアに対する信頼と、美少女に尋ねられ冒険者達の口が緩んだからに他ならない。
もう一つ付け加えるならば、まさかポセイドンファミリアにファイヤーボールを放ったなどと予想だにしなかったからだろう。
「それでその男の所属するファミリアはどこだ?我らに仕掛けたという事は、間違いなく敵派閥だろうが」
そこでフィンネルとヘレナは互いの顔を見合わせ逡巡する。
それはこれから先、自分か相手が口にする言葉はあまりにも突拍子も無い言葉だったからだ。
ヘレナが話せ、嫌よラフィーが話してよ。
無言のままの視線のやりとりを文字にするならばこうだろう。
「どうした?そこまではわからなかったのか?ヘレナ」
ルブルムは自身の義妹に問いかけた。
「それがそのぉ、兄様。敵派閥ではなく、アテナファミリアに所属していると冒険者組合の受付が申しておりました」
ヘレナの言葉を聞き、全員が明らかに動揺した素ぶりを見せる。
ダンジョン攻略でどんな不測の事態が起ころうとも、狼狽えることないルブルムですら例外ではなかった。
「それは本当か!だがしかし、アテナファミリアは数年前に全滅したはず?いや、あの方がまたファミリアを立ち上げたのか?でも何故うちに敵対を?わからん、わからない事だらけだ」
「あり得ないとしか言いようがないのう団長。最も気高いファミリアとまで称されたあの方のファミリアだぞ。それにアテナファミリアといえば以前は我々のポセイドンファミリアとは協力関係にあったはず」
「もしかすると、アテナファミリアを騙る偽物かもしれませんねぇ。それに再びファミリアを立ち上げたなら、私達の主神ポセイドン様が知らぬ筈はないでしょうから」
困惑するルブルムに代わり口を開いたのは、口元が隠れるほどの立派な無精髭を撫でるドワーフのドロイ・カムチャッカ。
それに続いたのが、ウィーニア・ファンファーレである。
ドロイはドワーフ特有のずんぐりとした体型ながら、隆起した分厚い胸筋と一般的な女性の太腿より太そうな二の腕。
普段は自身の背丈と同等の盾で味方を守り、圧倒的破壊力の巨斧を振るう戦士である。
ウィーニアはドロイとは対照的に背の高い落ち着いた雰囲気の美しい女性で。
ゴテゴテとしたヘレナのローブのような派手さはないが、ウエストと腰のラインに若干フィットした形の水色と白のドレスローブを着ている。
戦闘では味方の回復と大火力の魔法を発動する魔法職である。
そんな彼らが揃って首をかしげる中、玄関正面にある大人五人が手を広げて通れるほど広い階段がみしりみしりと音を立てた。
音のする方向へと視線をやると、全員がピタリと揃って足を揃え頭を下げた。
「ポ、ポセイドン様っ!すみません緊急事態にて報告遅れまして、ただいま帰りました」
「あっ、うんみんなおかえりー。緊急事態ってなんかあったの?」
大柄な体躯のルブルムですら小さく見えるほどの巨躯を持つこの人物こそ、ポセイドンファミリアの主神ポセイドンである。
二メートルを優に超える巨躯、長く伸びた真っ白な顎髭と頭髪、古代ローマ人が着用していたトガのようなものを左肩から下げた格好。
顔には深く刻まれた皺と瞳には叡智と力強さの篭った輝き、それ故に初対面の人物であれば、深みのある渋い声ながらかなりフランクな喋り方は強い違和感を感じさせるだろう。
「はい、それが……ですね。今日城に向かう途中、妨害を受けたのですが。その妨害を行なった人物というのが、アテナファミリアに所属しているという話がありまして。あれ以来アテナ様はお隠れになられたと聞いておりますし、もちろん偽情報だとは思うのですが。ポセイドン様は何かご存知ありませんか?」
人の頭程ある巨大な握り拳を作ると、自身の手のひらを軽く打つ。
普通の人がやれば、あー、うっかりうっかりという仕草であろう。
しかしポセイドンがやるとやはり違和感しか感じられなかった。
「アテナちゃんね。そういえば今度またファミリア作るって言ってたわー。すぐにまた一番街に来るからよろしくって言ってたよ。そんでゼウスに異世界と扉を繋げてくれーって頼みに行くって、一緒にワッフル食べながら話したの言うの忘れてたわ。すまんすまん」
ガハハハハハと笑うポセイドンの適当な性格をよく知る団員達が苦笑いしていると、再び玄関の扉の片方が小さく開いた。
この世で最も美しい花畑とまで称される、ダンジョン下層に咲く白いルーワカッサですら彼女には劣るだろう。
そんな美の結晶がそこにはいた。
「おー、アテナちゃん。こないだ振り。ちょうど今アテナちゃんファミリアの話ししてたとこだよぉ」
「そのことでちょっと頼みがあるんだがいいかいポセイドン」
「もちのろんだよ。なんでも言ってごらん」
久々に孫が顔を見せた時のような、実家の好々爺を思わせる大らかな態度である。
何か欲しいものがあれば言ってごらん。
お爺ちゃんが買ってあげよう、そんな口ぶりだった。
それを聞きアテナは微笑む。
大輪の花が咲き誇るように、ではなく。
詐欺師が裏で見せるような悪い笑みを浮かべ告げる。
「ちょっと懲らしめて欲しい子供達がいてね。ちょっと君のファミリアの子供達を貸してくれないか」
威厳溢れるポセイドンの見た目に反した軽い調子に負けず劣らず、あまりにも似合わない笑い方でアテナは告げたのである。
ケン達を懲らしめてくれと。
一番街のとあるファミリアのホームにも所属する団員達が集まりつつあった。
ここは海と地震を司る神ポセイドンを主神として置く、ポセイドンファミリアのホーム。
彼らは一番街と呼ばれる、最もダンジョンに近い居住区にホームを置いている。
冒険者達の間ではダンジョン通りと呼ばれている、昼には多くの露店が夜には人気の酒場で賑わう通りに面した一等地。
全ファミリア中でも5本の指に入る大規模ファミリアのため、ホームの建物自体の大きさも相当なものである。
正面入り口には三叉の矛トリアイナを手にした荘厳なポセイドンの像が置かれ。
三メートル程の高さの頑強な塀に囲まれたホームは、この世界では珍しい3階建の屋敷になっている。
派手さの少ないシンプルな造りだが、力強さと重厚感のある海神ポセイドンの名に恥じぬ建物である。
ポセイドンの像の横を通り、両開きの重厚な扉を開き二人の少女が入って来る。
一人は褐色の肌のラ・フィンネル、もう一人が金髪の長い髪を持つヘレナ・ミカエラ・ファンブルク。
二人は玄関を入ってすぐのところにいた薄い色の金髪をオールバックにしている大柄な男、ポセイドンファミリア団長ルブルムの前へと進むと。
二人に気付いたルブルムが先に口を開いた。
「その様子だと、手掛かりは無しか。それにしても随分汚れたな、二人で泥遊びでもしてたのか?」
いつもは陽気に扉を勢いよく開けて帰って来るフィンネルの姿を見て、ルブルムはそう問いかけた。
しかしその問いは半分正解で半分不正解であった。
「えーっと団長。手掛かりはありました。汚れてるのはヘレナとちょっと言い争いをして、それで───」
「───ちょっとやめてよラフィー、|兄(あに)様の前で余計な事言わないで頂戴」
アマゾネスの数ある種族の中の一つ、ラ族のフィンネルということで、親しいものからはラフィーと呼ばれている。
そしてルブルムはヘレナの義理の兄にあたる。
「相変わらず仲がいいな二人とも」
「よくないし!」「よくありませんわ!」
睨み合っていた二人が全く同じタイミングで振り向き否定する。
ルブルムからすればその姿がどうしても仲がいいようにしか見えないわけだが、いつも押し問答に変わるため苦笑いを浮かべるだけに留めた。
それに今日はそれよりも大事な話があったためだ。
「それで?どんな手掛かりを掴んできたのか話してくれるか」
「わかりました兄様」
「全員集まれ、二人が今日の事件の犯人の手掛かりを話す」
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必死に押さえ込みながらも僅かに漏れ出る、只ならぬ殺気を放ちながら。
「ダンジョン35階層の攻略成功を女王様自ら祝うと、白鳴城に呼んでくれためでたい日に仕掛けてきた馬鹿がわかったのかい」
「|ポセイドンファミリア(うち)に仕掛けてくることが、どれだけ身の程知らずか思い知らせてやらねぇと」
「何年振りだっけ、ファミリア間抗争なんて」
自らのファミリアに誇りを持つ団員達は、喧嘩をふっかけられたことに憤りを露わにしている。
それがまさか偶発的な事故だったとは知らずに。
しかし、その事はフィンネルとヘレナもまだ知らなかった。
「落ち着けお前ら。落とし前は付けさせる、ポセイドンファミリア団長ルブルム・ミカエラ・ファンブルクの名に誓って」
ルブルムがフルネームを出したことで決意の固さが伝わり全員が押し黙った。
そしてその沈黙の中、まだ確定ってわけじゃないけどと前置きし、フィンネルが口を開く。
「最近七番街に物凄い爆裂魔法を使う奴が現れたらしい。という話なんだけどね。前に他のファミリアがダンジョンから出てきたチビ飛竜の討伐サボって、それが誰も退治せず七番街に巣食ってて。それを三人だけで木っ端微塵に吹き飛ばしたとかなんとか」
「急に現れて頭角を現してきたらしいんですけど。かなり自己主張の強い性格で、色んなことに首を突っ込んでは派手に盛り上げようとするのが好きな人物だと聞きました」
かなり的を得ている性格な情報をこれだけの短時間で集められたのは、単にヘレナが優秀だったからというだけでなく。
ポセイドンファミリアに対する信頼と、美少女に尋ねられ冒険者達の口が緩んだからに他ならない。
もう一つ付け加えるならば、まさかポセイドンファミリアにファイヤーボールを放ったなどと予想だにしなかったからだろう。
「それでその男の所属するファミリアはどこだ?我らに仕掛けたという事は、間違いなく敵派閥だろうが」
そこでフィンネルとヘレナは互いの顔を見合わせ逡巡する。
それはこれから先、自分か相手が口にする言葉はあまりにも突拍子も無い言葉だったからだ。
ヘレナが話せ、嫌よラフィーが話してよ。
無言のままの視線のやりとりを文字にするならばこうだろう。
「どうした?そこまではわからなかったのか?ヘレナ」
ルブルムは自身の義妹に問いかけた。
「それがそのぉ、兄様。敵派閥ではなく、アテナファミリアに所属していると冒険者組合の受付が申しておりました」
ヘレナの言葉を聞き、全員が明らかに動揺した素ぶりを見せる。
ダンジョン攻略でどんな不測の事態が起ころうとも、狼狽えることないルブルムですら例外ではなかった。
「それは本当か!だがしかし、アテナファミリアは数年前に全滅したはず?いや、あの方がまたファミリアを立ち上げたのか?でも何故うちに敵対を?わからん、わからない事だらけだ」
「あり得ないとしか言いようがないのう団長。最も気高いファミリアとまで称されたあの方のファミリアだぞ。それにアテナファミリアといえば以前は我々のポセイドンファミリアとは協力関係にあったはず」
「もしかすると、アテナファミリアを騙る偽物かもしれませんねぇ。それに再びファミリアを立ち上げたなら、私達の主神ポセイドン様が知らぬ筈はないでしょうから」
困惑するルブルムに代わり口を開いたのは、口元が隠れるほどの立派な無精髭を撫でるドワーフのドロイ・カムチャッカ。
それに続いたのが、ウィーニア・ファンファーレである。
ドロイはドワーフ特有のずんぐりとした体型ながら、隆起した分厚い胸筋と一般的な女性の太腿より太そうな二の腕。
普段は自身の背丈と同等の盾で味方を守り、圧倒的破壊力の巨斧を振るう戦士である。
ウィーニアはドロイとは対照的に背の高い落ち着いた雰囲気の美しい女性で。
ゴテゴテとしたヘレナのローブのような派手さはないが、ウエストと腰のラインに若干フィットした形の水色と白のドレスローブを着ている。
戦闘では味方の回復と大火力の魔法を発動する魔法職である。
そんな彼らが揃って首をかしげる中、玄関正面にある大人五人が手を広げて通れるほど広い階段がみしりみしりと音を立てた。
音のする方向へと視線をやると、全員がピタリと揃って足を揃え頭を下げた。
「ポ、ポセイドン様っ!すみません緊急事態にて報告遅れまして、ただいま帰りました」
「あっ、うんみんなおかえりー。緊急事態ってなんかあったの?」
大柄な体躯のルブルムですら小さく見えるほどの巨躯を持つこの人物こそ、ポセイドンファミリアの主神ポセイドンである。
二メートルを優に超える巨躯、長く伸びた真っ白な顎髭と頭髪、古代ローマ人が着用していたトガのようなものを左肩から下げた格好。
顔には深く刻まれた皺と瞳には叡智と力強さの篭った輝き、それ故に初対面の人物であれば、深みのある渋い声ながらかなりフランクな喋り方は強い違和感を感じさせるだろう。
「はい、それが……ですね。今日城に向かう途中、妨害を受けたのですが。その妨害を行なった人物というのが、アテナファミリアに所属しているという話がありまして。あれ以来アテナ様はお隠れになられたと聞いておりますし、もちろん偽情報だとは思うのですが。ポセイドン様は何かご存知ありませんか?」
人の頭程ある巨大な握り拳を作ると、自身の手のひらを軽く打つ。
普通の人がやれば、あー、うっかりうっかりという仕草であろう。
しかしポセイドンがやるとやはり違和感しか感じられなかった。
「アテナちゃんね。そういえば今度またファミリア作るって言ってたわー。すぐにまた一番街に来るからよろしくって言ってたよ。そんでゼウスに異世界と扉を繋げてくれーって頼みに行くって、一緒にワッフル食べながら話したの言うの忘れてたわ。すまんすまん」
ガハハハハハと笑うポセイドンの適当な性格をよく知る団員達が苦笑いしていると、再び玄関の扉の片方が小さく開いた。
この世で最も美しい花畑とまで称される、ダンジョン下層に咲く白いルーワカッサですら彼女には劣るだろう。
そんな美の結晶がそこにはいた。
「おー、アテナちゃん。こないだ振り。ちょうど今アテナちゃんファミリアの話ししてたとこだよぉ」
「そのことでちょっと頼みがあるんだがいいかいポセイドン」
「もちのろんだよ。なんでも言ってごらん」
久々に孫が顔を見せた時のような、実家の好々爺を思わせる大らかな態度である。
何か欲しいものがあれば言ってごらん。
お爺ちゃんが買ってあげよう、そんな口ぶりだった。
それを聞きアテナは微笑む。
大輪の花が咲き誇るように、ではなく。
詐欺師が裏で見せるような悪い笑みを浮かべ告げる。
「ちょっと懲らしめて欲しい子供達がいてね。ちょっと君のファミリアの子供達を貸してくれないか」
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