婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚姻式の日  ~後宮にて~

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今日はあの小娘とバカ王子の婚姻式の日、待ち望んだ日。
2種類の秘薬を隠し持ち、後宮のグレースの元へと馬車を走らせる。
陽が上って間もない時間帯だが、我が家の使用人は慣れたものだ。

馬車の中には、他に細々とした物も乗っている。
私の侍女エミリも当然同行している。

今日の私は地味な装いで来ている。
なぜなら、今日の私は王宮勤めの侍女になるからだ。
しかも王妃付きの侍女として。
ふふ……あの愚かしい小娘は、どれ程努力しても正妃に相応しくなることは無いでしょう。
一生王子宮の部屋から出る事なく過ごせば良い。

「フェリシア様、とうとうですね。」

「えぇ。帰りはシンシアとソニアも一緒よ。」

目的達成してしまえば、貸しておく必要は無いもの。
帰りの馬車では、愚痴を聞いてあげないとダメかしら?あの有り様では、到底貴族女性の何たるかを分かっているとは思えないもの。
そうね……侍女は自分の命令を全て聞く、召使いか奴隷かみたいな扱いをしてたり……なんて、まさかね。
いくら何でも、そんなバカな扱いをするとは思えないけど……
でも可能性が無い訳では無いわ……庶出だと報告が上がっていたし、何か勘違いしているかも知れないわ……

ドゥルテ男爵も、そろそろどうにか出来るように動いて起きましょうか。
他領の貧しい家の年端もいかぬ娘を買い、娼婦にするならばまだしも何やら怪しげな薬を試したり高い金額で他人に売り捌いたりと目に付く。
更に庶出の弟に娼館をやらせているが、見目の良い少女はそこで直ぐさま客を取らされる。
報告には10才にも満たない者も数多くいたとあった。
人品卑しく、下品極まりない男の何が良かったのか奥方に聞きたいとも思ったが数年前には亡くなっているならば聞きようも無い。
手を出していた女は数知らずで、子供もそれなりに居たらしい。
最も見目良い娘を養女に迎え入れたが、その娘以外は弟にくれてやったとか……
自身の奥方との間に授かった子供は男子だが、その息子は本人が18才の学園卒業後に消息不明になっている。
生きているならば、今23才だとか……
後ろ暗い世界に、それらしい者は居なかった。
帝国に逃れている可能性もあるか……お母様に動いて貰った方が良いかしら?もし、父親譲りのゲスだと面倒だもの。

色々、考えておかないと……旦那様の邪魔になられては困りますもの。
あぁ、もう王宮に着くわね。
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