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婚姻式の日 ~王子宮にて~
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第3王子妃の居室に無事入った4人は、その貧相なありように無言になった。
離宮の居室はある程度、家具や調度品が運び込まれていて不都合も無く過ごせる様になっていた。
王子宮の妃の住まう居室は基本的に輿入れする家が用意するために、前もって居室の広さ等を聞いて様々な物を用意するのだが余りの物の無さに驚く他無かった。
「………離宮もこんな感じだったのかしら……」
フェリシアがポツリと呟いた独り言は思いのほか、部屋に響き殆どの者に聞こえてしまった。
「いえ、離宮は最初から家具や調度品が備え付けられていたので……その……ここまでは。」
シンシアが心苦しそうに答えたが、この先ずっと仕えねばならない者達からすれば余計に落ち込む言葉でしかなかった。
「とにかく、王子妃様には万全の状態で証立ての儀に臨めるようにしましょう。その為の道具も持ってきたのですしね。」
フェリシアの言葉に侍女頭も侍女も女騎士もメイドも、興味をそそられたのか近寄ってきた。
ソニアは自身が持つ大きめの箱を、たった1つしかないテーブルの上にソッと置く。
箱を開けると、中にはワインクーラーとワイン・液体が入った美しいガラス瓶・優美な小さな壷が幾つか・柔らかく織られた布類・塩が入ったガラスの壷等が見える。
どれもこれも美しい意匠で近寄って見た者達はホゥと嘆息をもらした。
「本当でしたら、こういった品々を使われている方をお迎えしてたのに……」
誰かがボソリと漏らした一言に数名の侍女とメイドが悔しさの余り嗚咽を漏らした。
普段使いの消耗品を入れる器1つとっても、美しく女性なら憧れるような物だ。
それが幾つもあり、ワインは侯爵領で生産される希少な逸品で滅多に口に入らないもので貴族の中には空のボトルを貰っていって飾っている者が居る等と言われる程に人気がある物だった。
侯爵家とはいえ、王太子妃や第2王子妃にも引けを取らないと思っていたのに一月前の騒ぎでどこをどうしても負けてしまう男爵家からの輿入れにがっかりしていたのだ。
侯爵家から来たと言う侍女の方々が持ち込んだ品々を見て、更に落ち込んでしまったのだ。
侯爵家からの侍女達の内、若い2人は離宮で仕えてたらしく小声であれこれ相談していた。
「私達は浴室の方を担当致します。」
若い2人の侍女は、そう言って浴室へと消えて行った。
残った2人は若い2人を見送ると、頷き合った。
「では、私達は湯浴みの後の手入れを致しましょう。こちらの品々を持って行きますが、宜しいですか?」
そう告げられれば、名残惜しくても了承するしかなかった。
「見せて頂きありがとうございました。侯爵家がこれ程とは思っていなかっただけに残念で仕方ありません。」
侍女頭が精一杯の笑顔で挨拶をしたが、そこには隠しきれない悔しさが滲んでいた。
離宮の居室はある程度、家具や調度品が運び込まれていて不都合も無く過ごせる様になっていた。
王子宮の妃の住まう居室は基本的に輿入れする家が用意するために、前もって居室の広さ等を聞いて様々な物を用意するのだが余りの物の無さに驚く他無かった。
「………離宮もこんな感じだったのかしら……」
フェリシアがポツリと呟いた独り言は思いのほか、部屋に響き殆どの者に聞こえてしまった。
「いえ、離宮は最初から家具や調度品が備え付けられていたので……その……ここまでは。」
シンシアが心苦しそうに答えたが、この先ずっと仕えねばならない者達からすれば余計に落ち込む言葉でしかなかった。
「とにかく、王子妃様には万全の状態で証立ての儀に臨めるようにしましょう。その為の道具も持ってきたのですしね。」
フェリシアの言葉に侍女頭も侍女も女騎士もメイドも、興味をそそられたのか近寄ってきた。
ソニアは自身が持つ大きめの箱を、たった1つしかないテーブルの上にソッと置く。
箱を開けると、中にはワインクーラーとワイン・液体が入った美しいガラス瓶・優美な小さな壷が幾つか・柔らかく織られた布類・塩が入ったガラスの壷等が見える。
どれもこれも美しい意匠で近寄って見た者達はホゥと嘆息をもらした。
「本当でしたら、こういった品々を使われている方をお迎えしてたのに……」
誰かがボソリと漏らした一言に数名の侍女とメイドが悔しさの余り嗚咽を漏らした。
普段使いの消耗品を入れる器1つとっても、美しく女性なら憧れるような物だ。
それが幾つもあり、ワインは侯爵領で生産される希少な逸品で滅多に口に入らないもので貴族の中には空のボトルを貰っていって飾っている者が居る等と言われる程に人気がある物だった。
侯爵家とはいえ、王太子妃や第2王子妃にも引けを取らないと思っていたのに一月前の騒ぎでどこをどうしても負けてしまう男爵家からの輿入れにがっかりしていたのだ。
侯爵家から来たと言う侍女の方々が持ち込んだ品々を見て、更に落ち込んでしまったのだ。
侯爵家からの侍女達の内、若い2人は離宮で仕えてたらしく小声であれこれ相談していた。
「私達は浴室の方を担当致します。」
若い2人の侍女は、そう言って浴室へと消えて行った。
残った2人は若い2人を見送ると、頷き合った。
「では、私達は湯浴みの後の手入れを致しましょう。こちらの品々を持って行きますが、宜しいですか?」
そう告げられれば、名残惜しくても了承するしかなかった。
「見せて頂きありがとうございました。侯爵家がこれ程とは思っていなかっただけに残念で仕方ありません。」
侍女頭が精一杯の笑顔で挨拶をしたが、そこには隠しきれない悔しさが滲んでいた。
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