婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚姻式の日  ~王子宮にて~

王宮にて行われている婚姻式は、ここ最近では最も時間が掛かっており王子宮での準備は早々に済んでしまった。
男爵令嬢の荷物も少なく、室内の家具や調度品の数々も最低限必要な物だけであった為だ。
今までの輿入れを経験して必要であろう人員を配置したのだが、王太子妃・第2王子妃とそれぞれの側妃と比べても圧倒的に少なかった。
ガランと広い居室にわずかばかりの家具……大した調度品も無く華やかさの欠片も無い。
あえて言うならば、学園寮の荷物が運び込まれた?位の少なさであった。

早々に終わってしまった以上、する事が無くなった者達は王子宮から退き詰め所に戻ったのだが第3王子妃の荷物の話はその日のうちに王宮中に広まる事となる。

さて、荷物の搬入や配置も終わった第3王子妃の居室では新たに配置された侍女頭と部屋付きの侍女及び護衛の女騎士とメイド達が集まっていた。
彼女達が浮き立つ気持ちで入った居室は、
大層貧相で一瞬で気持ちが萎んでしまった。
この先王宮勤めの者達から、さぞかし同情されるであろう事は想像に難しく無かった。
何人産むか分からないが、数年間出られない暮らしをするのに何とも寂しい限りの居室の主を思うと不安しか無かった。
侍女頭から幾つかお決まりの注意事項を聞かされたが、その程度では済まないだろうと皆一様に浮かない顔になっていた。

誰も一言も話すこと無く、部屋の隅にそれぞれかたまっていた。

ーコンコンコンー軽いノックが響く

居室に居た全員が扉を注視した。

「失礼いたします。」

そう言って入室してきたのは、王妃付きの侍女のお仕着せを着た女性が4人だった。

「どういった御用でございましょう?」

侍女頭が1番年嵩の行っている侍女に聞いたが、その侍女はもう少しだけ若い侍女を見やるとコクリと頷きその侍女は1歩前に出て侍女頭へと話しかけてきた。

「前婚約者だった侯爵家から参りました。私達は証立ての儀を迎えるにあたって様々な技術を磨き、また快く臨めるよう準備してきました。お話が消えた事は残念ですがこの日の為に頑張って参りました。侯爵様より事情を伺い、せめて私達だけでもお輿入れする令嬢に証立ての儀を快く臨めるようお手伝いしたいと申し出ました所侯爵様が許して下さりこちらに伝手を聞いていただきました。僅かばかりのお時間ですが、是非とも私達にご令嬢の準備を任せていただけないでしょうか?」

侍女として述べるフェリシアの言動に、悪意も害意も感じる事が出来なかった侍女頭はこの申し出を喜び受け入れた。
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