婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚姻式の日  ~王子宮にて~

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フェリシアは実に満足そうにガラス壷を見つめ、蓋をした。
エミリはガラス壷を銀盆の上に置いた。
美しい細工のされた銀盆の上に、持ち手が美しい意匠で造られたフルートグラスと花を模した蓋付きのガラス壷はまるで寝台を飾る美術品のようだった。
フェリシアは次に青色のガラス瓶を手にすると、エミリは透明な液体が入ったガラス瓶を手にした。
青色のガラス瓶の蓋が開けられると、エミリも蓋を外す。
フェリシアは淀みない動きで青色のガラス瓶の中身を透明な液体が入ったガラス瓶へと注ぐ。
青色のガラス瓶の中身は蜂蜜色で、透明な液体に蜂蜜色の液体が混ざる。
先程と同じように、マドラーで液体を丁寧に混ぜてゆくフェリシア。
透明な液体はやはり特産品の蜜水で、部屋の中は蜂蜜の匂いと桃の匂い……そして、青色のガラス瓶の中身からは甘い甘い花の香りがした。
蜜水は強い花の香りのする薄い蜂蜜色へと変わった。
しっかり混ざり合った中身を確認すると、エミリは蓋をした。

フェリシアとエミリは目配せし、ドロリと甘い笑みをこぼした。

「失礼致します。浴室の準備も整いました。」

シンシアとソニアが連れ立って、静に近寄りシンシアが報告をあげる。
2人の目はガラス壷とガラス瓶を注視していた。

「ご苦労さま、こちらも殆ど出来たわ。後はご令嬢が来られてからかしら?」

「左様で……」

「ではシンシアとソニアはご令嬢を出迎えて浴室へと連れて行って、湯浴みをお願いね。塩で少し揉んで頂戴。」

「はいっ。塩を使って磨きあげておきます。」

「エミリはご令嬢を浴室から受け取ったら、寝台に案内して頂戴。マッサージは本人に聞いてからにしましょう。聞く前に火照った体ですもの、喉も渇いているでしょうからワインを飲んで頂きましょう。勿論呑みやすくするために特製の蜂蜜を混ぜてからにしましょう。ここまでで何かありますか?」

「問題ありません。」
「はい、私も特にありません。」
「はい、私も何もありません。」

エミリ・シンシア・ソニアと確認作業を行い、問題が無い事に頷くフェリシア。
3人も頷き、任務遂行の為に最も適した場所へと移動した。
シンシアとソニアは居室の居間に続く扉の近くへ、エミリとフェリシアは寝台の側で待機する。

4人共に優しい笑顔を浮かべ、婚姻式を終えたご令嬢を待つ。
その笑顔は誰が見ても、初夜を迎える令嬢を磨き上げようとする忠実な者達の笑顔にしか見えなかった。
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