婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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密談 シュバルツバルト家の男達

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丸鳥を狩り、隊員に預け俺とトールは父上に呼ばれて父上の馬車に居る。
遮音したうえでの話……何だろう、真剣だから変な話では無いと思うが……

「キャスバル、トール。とうとう不味い事になりそうだぞ……」

「父上、何ですか?」

「そうですよ、勿体ぶらないで。」

いつになく真剣だ、でも時々真顔で変な事言ったりするからな。

「伝えるのを忘れていたが、俺の執務室が埋まったらしい。」

「は?ま……さか…………」

「ちょっ!父上それって……」

両手で顔を覆ったかと思ったら、そのまま天を仰いで……

「俺の執務室から書類が溢れた。」

「ちっ……父上!婚約者だがルークを使いましょう!」

「側近を早々に付けて頑張って貰いましょう!」

父上は顔を下げ両手を外し、俺達を見た……交互に、何回も。

「お前達……そうだな。領地に着いた頃には後一部屋……いや二部屋は潰れるな。早急に側近を選んで貰おう。あの王子と違って頭も良さそうだし、中々見所もある。何と言ってもエリーゼを大切にしてくれる。」

「その事ですが、やはりエリーゼはシルヴァニア家の血が強く出てるのではないかと。」

「兄貴、シルヴァニア家の血って?」

「ああ、そうだな。それは俺も感じた。トールには言ってなかったか?フェリシアは帝国貴族シルヴァニア公爵家令嬢だった事は知っているな。」

「はい。それが何か。」

「シルヴァニア家の女性は好きな男の所に行くんだ。それがどんな立場でも、お構いなしだ。エリーゼはルーク殿下を好いている。俺が止めても無駄だ。」

「そんな……だって…………ジークフリート殿下は……」

「あぁ……小さい頃は好きだったと思う。でなければ婚約なぞ受けなかったし、その関係も殿下が破棄するまで何だかんだで続いていた。」

「じゃあ……」

「うむ、破棄されて気持ちが無くなって切れたのだろう。清々しい程、全てを捨てたな……フェリシアは何もかもエリーゼが選んでると言ったが、これ程とは思わなかった。側近に関してはエリーゼも理解しているから、何も言わないだろう。」

「そうですね……ですが、エリーゼは何やらやりたい事でもあるのでは?」

「そう言えば何か言ってたな……」

「うむぅ……エリーゼは言った事は必ずやろうとするからな。我が娘ながら末恐ろしい。」

「恐ろしいと感じてるのは父上だけではありません。」

俺もだ。

「そろそろ外に行った方が良さそうだな。」

「そうか。父上、この話はまた近い内に。」

「そうだな、ではそろそろ外に行こうか。」

三人揃って馬車の外に出る。
何だか騒がしい……………立ち歩きネコか……仕方ないな。
どうせエリーゼかルーク殿下が原因だろ?全く……
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