婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
188 / 756

侯爵家からの使い 注意!このお話は少し未来のお話です!

「旦那様!お客様です……旦那様!」

うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!
クソッ!折角あの娘が王子と婚姻して何とかなると思ったのに!あの娘が婚姻した事で行商人達が減って、弟が客が減ったとか泣き言言いやがって!税金が払えなければ取り上げられるんだぞ!

「旦那様……」

「初めてお目にかかります。」

「おい!誰が通して良いと言った!」

何だって言うんだ!だいたい何で勝手に通しやがるんだ!クソッ!

「私、キンダー侯爵家から参りました。ギルバート・ラスティと申します。」

「こっ……侯爵家からでしたか……それは失礼を……そっそれでラスティ様は一体何故我が家へ?」

まずい!使いとはいえ、侯爵家なんて……とにかく何とか上手く切り抜けないと……

「ええ、我が主キンダー侯爵家令嬢アンネローゼ様がジークフリート殿下の第一側妃として入宮したのですが……」

なんだ、驚かせやがって!うちの娘の方が偉いじゃないか!全く、偉そうな顔しやがって!

「正妃様の輿入れ道具の中に王室典範と改定書類が無かった……と連絡が参りまして。最も大事な王室典範と改定書類を如何致したのか?と侯爵家で騒ぎになりまして。」

騒ぎ?騒ぎだと!あのやたらと大きくて分厚い見ただけで頭の痛くなるアレが大事だと!

「輿入れの前に王宮に届けておくのが当然で、もし万が一紛失や損傷となれば不敬罪の上莫大な弁償金が発生します。王宮では確認済みになっておりますので、衛兵等が来る前に早急かつ穏便に片付けたいと仰られましてね。」

不敬罪だと!弁償金なんて払える訳あるか!クソッ!ろくな事がない!何のために、あの娘を引き取ったと思うんだ!クソッ!クソッ!クソッ!

「ドゥルテ男爵閣下、王室典範と改定書類はこちらのお邸にございますか?」

「ああ!あるとも!あんな物、早く持ってってくれ!邪魔で叶わん!」

あんな物、何だと言うんだ!何がしっかり読んで輿入れに備えてだ!バカにしやがって!持ってってくれるなら、早く持ってってくれらば良いんだ!

「そうですか、こちらにあるんですね。では、頂いて行きます。それと、もしご令嬢の物で持たせたい物があるようならお預かりするよう言付かっております。」

ふん!あの娘の物なんかろくに無いが、持ってってくれるなら助かるか……片付ける手間が省けるってもんだ。

「こっちだ!」

慇懃無礼な物言いのラスティとか言う男の後ろに、身なりの良い男達がゾロゾロと付いて来る。全く腹立たしい……
あの娘の使っていた部屋の扉を開いて、中に入る。
王家に輿入れなんだから、何から何まで王家が揃えてくれるだろうに何が持たせたいだ!詰まらん嫌味を言いやがって!
王室典範を置くのが精一杯のテーブルに積んでおいた王室典範と改定書類。こんな山のようになってる物なんか邪魔以外の何でも無い。

「ほら、ここにある!さっさと持って行ってくれ!後この部屋にある物は、あの娘の物だ。どうせ要らないんだ、持ってくなら持って行ってくれ!」

ふん!驚いた顔なんぞしやがって!

「この部屋の物は全てですか?そのテーブルや床に敷かれた絨毯もですか?」

ん?何を言っとるんだ?テーブルに絨毯だと?

「ああ……そうだな。テーブルも絨毯もだな、まぁ持って行けるものなら持って行っても構わないぞ。」

どうせ、持っていける訳もないだろうがな。

「左様ですか、では粗方持って行かせて頂きます。ジャス、馬車で待機しているメイド達を連れて来てくれ。さすがにご令嬢のドレス等は同じ女性の方が良かろう。」

「はっ!」

「王室典範と改定書類は私の馬車に運んでくれ。ベッド以外は全て運び出すぞ。では、ドゥルテ男爵閣下ベッド以外は全てお運び致します。輿入れに何一つ運ばれてないと宮廷雀が姦しくあちこちで吹聴しておりましたので、これで少しは宮廷雀も黙るでしょう。」

何?何だと……何を言ってる?どう言う事だ?

「何一つ運び込まれてない……とは、一体。」

「ああ、輿入れの際は家具からドレスまで全ての物を可能な限り持たせて送り出すのが当たり前ですからね。」

何だと!そんな事誰も言わなかったぞ!何人もの人間がバタバタと動き回っている。

「誰もそんな事……」

「知っておられると思ったのでしょう。」

ただでさえ荷物の少ない、あの娘の部屋はベッド以外何もかも持ち出され無くなっていた。

「どうやら運び終わったようですね。では、私共はこれで失礼致します。」

年老いてろくに仕事が出来ない執事が見送る姿を見て、腹立たしさに手近にあった壺を誰もいない壁に向けてぶん投げた。

「何なんだ!あの男は!俺は男爵なんだぞ!」

「旦那様、先程の方はキンダー侯爵家の寄子貴族ラスティ子爵家御当主様です。」

子爵家当主だと!何だって……

「旦那様、旦那様には申し訳ありませんが本日を持ってお邸を去らせて頂きます。老いた私めでは、お若い旦那様の助力は難しくなりました。では、失礼致します。」

確かにじじいには、俺に付いて来れないか。
まぁ、あの子爵家当主とか言う奴は二度と来ないだろうしな。

「良いだろう。今から俺の部屋に来い。今日までの給金を払わねばな。」

老い先短いじいさんだ、少しははずんでやらんとな。
俺は王子様の正妃の父親なんだからな。
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。