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逃亡 5 注意!このお話は少し未来のお話です!
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しばらくの間、マキナさん達は姉さんの事をそっとしておいてくれた。
王都に行ったマリアンヌ姉様の為に僕と姉さんは娼館で客を取るようになった、客を取らないとマリアンヌ姉様をヒドく折檻すると言われたから……マリアンヌ姉様の生活を支えるのは僕たちだからと言われたから……客さえ取れれば、食事も温かい寝床も許された。逆に客が取れなければ食事は小さなパン一つと水しか貰えなかった、それでも僕はマシだった……僕以外は折檻されてたから。薄暗い部屋で吊されて皆の前であの男が飽きるまで犯される……抵抗すれば犯されたまま打たれる。折檻が終わっても石床の上で水をぶっ掛けられて、寒い時期は何人もの男の子が死んだ。あそこで生きていくのは僕と姉さん以外は大変だった。
「落ち着いたみたいだね……知らなかったんだね。まぁ、仕方ない事だ……コイツに良く似た薬草は赤い花だし珍しいからね……聞いた話じゃドゥルテ領の娼館は下は幼い娘から上は天井知らずだって本当かい?」
「それは……」
「本当です。」
「マリウスって言ったね、知ってるのかい?」
「知ってます。僕が知ってる一番幼い子は五つでした。それも女の子と男の子の二人、でも客を取る前に娼館主のあの男の仕打ちに耐えられなくて死にました。」
「そ……れは……本当なのかい…………」
「本当です。無駄金を払った……と大層怒って、七つになる男の子をグッタリするほど犯してましたから。」
「狂ってる……だいたい、なんでそんな幼い子が娼館なんかにいるんだ……」
「税が高くて払えないって売られて来るんです。でも……立ち居かない村とかは攫ってくるって噂もあって……」
「じゃあ、高い税を払う代わりに女子供を売ってたのか……」
「それだってもう沢山の子供たちが売られてきたけど、皆一年と持たないのよ……買うような客は殆どいないから……幼い子や年のいった女を買う人は、その……」
「じゃあ、客が取れるようなのはいないって事か……」
「でも、今のドゥルテ領はどこもそんな風だって聞きました。」
「誰から聞いたんだい。」
「いつだったかしら……数日前に来た客……行商人が、私達が一番まともで安心出来るって言っていたわ。どこもかしこも痩せ衰えた娼婦ばかりで目は虚ろで、とてもじゃないが買えなかったとも言ってて驚いたの。」
「なる程……行商人は普通そんな事は言わない、よっぽどだったって事だ。」
「マキナ、来たよ…………捕まえたってさ。」
「そうか。ティナ、里に今の話を送ってくれ。セリカ、大婆様のお姫様にも送ってくれ。」
「「はい。」」
返事と共に、食堂から出て行ってしまった。
「何日かここで厄介になったら、行き先が決まるだろうから安心してゆっくり過ごしな。」
マキナさんは、そう言うと女将さんに小さな皮袋を渡した。
女将さんと旦那さんを見たら、二人とも目が真っ赤だった。
「あんた達は、もう少し幸せになったって良いと思うよ。ここには浴室もあるから湯あみをさせて貰うと良いよ。頼んだよ、女将。」
「ああ、ああ、勿論だよ。アンタァ、湯入れておくれ。」
「おう。たっぷりの湯に浸かって、うんとあったまると良い。」
そう言うとバタバタと女将さんと旦那さんはどこかに行ってしまった。
「湯あみって何だろう……姉さんは知ってる?」
「さあ……でも湯で体を拭くと、とても気持ち良いのよ。だからきっと気持ち良いのよ。でも湯につかるって何かしら?」
「湯って飲むものじゃないの?湯で体を拭いた事なんて僕、無いよ。」
「そうね、普通は湯って飲むものだものね。」
僕と姉さんの話を聞いていた人達は、それぞれ立ち上がって何処かに行ってしまった……
「行っちゃったね。」
「そうね、どうしたのかしら?何だか、何人かは泣いてたみたいだったわ。」
「ふぅん……でも、紅茶が飲めて嬉しかったよ。美味しいね。」
「そうね、美味しかったわね。」
僕と姉さんはこの先の何が起きるのか知らずにのんきに話をしていた。
王都に行ったマリアンヌ姉様の為に僕と姉さんは娼館で客を取るようになった、客を取らないとマリアンヌ姉様をヒドく折檻すると言われたから……マリアンヌ姉様の生活を支えるのは僕たちだからと言われたから……客さえ取れれば、食事も温かい寝床も許された。逆に客が取れなければ食事は小さなパン一つと水しか貰えなかった、それでも僕はマシだった……僕以外は折檻されてたから。薄暗い部屋で吊されて皆の前であの男が飽きるまで犯される……抵抗すれば犯されたまま打たれる。折檻が終わっても石床の上で水をぶっ掛けられて、寒い時期は何人もの男の子が死んだ。あそこで生きていくのは僕と姉さん以外は大変だった。
「落ち着いたみたいだね……知らなかったんだね。まぁ、仕方ない事だ……コイツに良く似た薬草は赤い花だし珍しいからね……聞いた話じゃドゥルテ領の娼館は下は幼い娘から上は天井知らずだって本当かい?」
「それは……」
「本当です。」
「マリウスって言ったね、知ってるのかい?」
「知ってます。僕が知ってる一番幼い子は五つでした。それも女の子と男の子の二人、でも客を取る前に娼館主のあの男の仕打ちに耐えられなくて死にました。」
「そ……れは……本当なのかい…………」
「本当です。無駄金を払った……と大層怒って、七つになる男の子をグッタリするほど犯してましたから。」
「狂ってる……だいたい、なんでそんな幼い子が娼館なんかにいるんだ……」
「税が高くて払えないって売られて来るんです。でも……立ち居かない村とかは攫ってくるって噂もあって……」
「じゃあ、高い税を払う代わりに女子供を売ってたのか……」
「それだってもう沢山の子供たちが売られてきたけど、皆一年と持たないのよ……買うような客は殆どいないから……幼い子や年のいった女を買う人は、その……」
「じゃあ、客が取れるようなのはいないって事か……」
「でも、今のドゥルテ領はどこもそんな風だって聞きました。」
「誰から聞いたんだい。」
「いつだったかしら……数日前に来た客……行商人が、私達が一番まともで安心出来るって言っていたわ。どこもかしこも痩せ衰えた娼婦ばかりで目は虚ろで、とてもじゃないが買えなかったとも言ってて驚いたの。」
「なる程……行商人は普通そんな事は言わない、よっぽどだったって事だ。」
「マキナ、来たよ…………捕まえたってさ。」
「そうか。ティナ、里に今の話を送ってくれ。セリカ、大婆様のお姫様にも送ってくれ。」
「「はい。」」
返事と共に、食堂から出て行ってしまった。
「何日かここで厄介になったら、行き先が決まるだろうから安心してゆっくり過ごしな。」
マキナさんは、そう言うと女将さんに小さな皮袋を渡した。
女将さんと旦那さんを見たら、二人とも目が真っ赤だった。
「あんた達は、もう少し幸せになったって良いと思うよ。ここには浴室もあるから湯あみをさせて貰うと良いよ。頼んだよ、女将。」
「ああ、ああ、勿論だよ。アンタァ、湯入れておくれ。」
「おう。たっぷりの湯に浸かって、うんとあったまると良い。」
そう言うとバタバタと女将さんと旦那さんはどこかに行ってしまった。
「湯あみって何だろう……姉さんは知ってる?」
「さあ……でも湯で体を拭くと、とても気持ち良いのよ。だからきっと気持ち良いのよ。でも湯につかるって何かしら?」
「湯って飲むものじゃないの?湯で体を拭いた事なんて僕、無いよ。」
「そうね、普通は湯って飲むものだものね。」
僕と姉さんの話を聞いていた人達は、それぞれ立ち上がって何処かに行ってしまった……
「行っちゃったね。」
「そうね、どうしたのかしら?何だか、何人かは泣いてたみたいだったわ。」
「ふぅん……でも、紅茶が飲めて嬉しかったよ。美味しいね。」
「そうね、美味しかったわね。」
僕と姉さんはこの先の何が起きるのか知らずにのんきに話をしていた。
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