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家族会議 2
「ジークフリートは三番目の王子だ、あれの臣籍降下は生まれる前から決まっていた。どこの家にやるか……五つ六つの年の差ならばどうとでもなる。だが、私が慕う学園時代からの大切な友人であるハインリッヒ……シュバルツバルト侯爵家に一人の令嬢が誕生した。エリーゼ嬢だ。私もグレースも喜んだ、ジークフリートの婚約者に……と。名だたる貴族家もシュバルツバルト侯爵ならば、何一つ問題は無いむしろ喜ばしい……と。だが私達には壁が……高い壁があったのだ。」
「フェリシア様ですね。」
「その通りだ、キャロライン妃。」
「侯爵夫人フェリシア……彼女は元は帝国貴族シルヴァニア公爵家令嬢だが、シルヴァニア公爵家に限らずその傍系もだが好きな男を追い掛けて行く。侯爵夫人も本来なら帝国に帰るのが普通だった、だがハインリッヒと出会い彼女は侯爵夫人となったのだ。私達は何度も話し合い、ジークフリートが五歳になって初めて顔合わせだけでも……と懇願し顔合わせをしたんだ。ジークフリート自らがエリーゼ嬢に申し込み、エリーゼ嬢も受けてくれた。そうして成された婚約だった。」
国王は新たに淹れられた温かい紅茶を一口飲み、喉を潤した。
「ジークフリートが学園に入った頃、私とグレース、シュバルツバルト侯爵夫妻の四人で新たな話し合いを行った。今回の討伐隊の目的地である、王家直轄地。作付の余り出来ない土地だが、王都から最も離れた直轄地……あそこをジークフリートの領地に出来ないか?と言われてな。不毛な土地が多く人の住める所も限られている、だが広さはあるのだし何せ王都とシュバルツバルト領のちょうど中程。決めてくれれば、領都と領主の住む邸は用意しよう……と。どれ程の金がかかるのか……娘を思うハインリッヒの親心とシュバルツバルト侯爵家の財力というものを見せ付けられたよ……一大事業だ。だが、それもジークフリートがエリーゼ嬢と婚約破棄するまでの事だ。婚約破棄と同時にあの直轄地から多くの職人等が……いや、シュバルツバルト領から来ていた者達やそれ以外からも来ていたのか……それら全ての者達が一斉にあの直轄地から去って行ってのだ。あの直轄地へ同道しているシュタインも元は塩街道方面の伯爵家の出だ。ジークフリートが何を思い、どう考えるのかを彼に託した。」
「では、父上の望む答えは……」
「あれには良く考えて欲しい。自分達の行った事の代償を。その上で決めて貰うしかあるまい。」
「そうですか……では、この先の事はジークフリート次第なのですか……」
「そうだ……王子としての責任を負わねばならん。どれだけ時間が掛かってもな。」
国王は空いた席を見つめる、日々政務に追われ親子としての時間は碌々とれなかった。
兄王子二人は問題なく育ったのに、王女達も皆同じように育ったのに……何故末のジークフリートだけが、あのようになったのか……
「私は今でも覚えておるよ……幼いあれが、頬を染めてエリーゼ嬢と婚姻するのだ……と言った時の事を。なぁグレースよ。」
「はい、陛下。あれほど輝かしく誇らしげに告げたジークフリートの事、私も覚えてますわ。」
国王は深くため息をつく。
「第三王子ジークフリートは帰還次第、早々に側妃との婚姻が控えている。キンダー侯爵、ロズウェル伯爵の両家の支えを持ってあれの立場は王族として何とか保たれる。これまでの様に勝手気ままな態度であれば、王子であろうとも庇い立ては難しい。あれ自身の希望を聞いた上で、先を決める。キンダー侯爵、ロズウェル伯爵両家からの申し出で廃嫡を簡単に決断してくれるなと言われた。其方等には苦労を掛ける、だが両家の立場等を考えると頷くしかなかった事を許してほしい。」
「……父上……確か、キンダー侯爵及びロズウェル伯爵両家のご令嬢の婚約は……」
「エリーゼ嬢からの進言だった筈だが……」
「恐ろしいですね。」
「誠にな。会議はこれで終いとする。よいな。」
国王の言葉で一堂はこの部屋を後にした。
国王が歩く隣には王妃グレースがいた。
二人は前を向き、連れだって玉座へと進む。
粛々と。粛々と……
「フェリシア様ですね。」
「その通りだ、キャロライン妃。」
「侯爵夫人フェリシア……彼女は元は帝国貴族シルヴァニア公爵家令嬢だが、シルヴァニア公爵家に限らずその傍系もだが好きな男を追い掛けて行く。侯爵夫人も本来なら帝国に帰るのが普通だった、だがハインリッヒと出会い彼女は侯爵夫人となったのだ。私達は何度も話し合い、ジークフリートが五歳になって初めて顔合わせだけでも……と懇願し顔合わせをしたんだ。ジークフリート自らがエリーゼ嬢に申し込み、エリーゼ嬢も受けてくれた。そうして成された婚約だった。」
国王は新たに淹れられた温かい紅茶を一口飲み、喉を潤した。
「ジークフリートが学園に入った頃、私とグレース、シュバルツバルト侯爵夫妻の四人で新たな話し合いを行った。今回の討伐隊の目的地である、王家直轄地。作付の余り出来ない土地だが、王都から最も離れた直轄地……あそこをジークフリートの領地に出来ないか?と言われてな。不毛な土地が多く人の住める所も限られている、だが広さはあるのだし何せ王都とシュバルツバルト領のちょうど中程。決めてくれれば、領都と領主の住む邸は用意しよう……と。どれ程の金がかかるのか……娘を思うハインリッヒの親心とシュバルツバルト侯爵家の財力というものを見せ付けられたよ……一大事業だ。だが、それもジークフリートがエリーゼ嬢と婚約破棄するまでの事だ。婚約破棄と同時にあの直轄地から多くの職人等が……いや、シュバルツバルト領から来ていた者達やそれ以外からも来ていたのか……それら全ての者達が一斉にあの直轄地から去って行ってのだ。あの直轄地へ同道しているシュタインも元は塩街道方面の伯爵家の出だ。ジークフリートが何を思い、どう考えるのかを彼に託した。」
「では、父上の望む答えは……」
「あれには良く考えて欲しい。自分達の行った事の代償を。その上で決めて貰うしかあるまい。」
「そうですか……では、この先の事はジークフリート次第なのですか……」
「そうだ……王子としての責任を負わねばならん。どれだけ時間が掛かってもな。」
国王は空いた席を見つめる、日々政務に追われ親子としての時間は碌々とれなかった。
兄王子二人は問題なく育ったのに、王女達も皆同じように育ったのに……何故末のジークフリートだけが、あのようになったのか……
「私は今でも覚えておるよ……幼いあれが、頬を染めてエリーゼ嬢と婚姻するのだ……と言った時の事を。なぁグレースよ。」
「はい、陛下。あれほど輝かしく誇らしげに告げたジークフリートの事、私も覚えてますわ。」
国王は深くため息をつく。
「第三王子ジークフリートは帰還次第、早々に側妃との婚姻が控えている。キンダー侯爵、ロズウェル伯爵の両家の支えを持ってあれの立場は王族として何とか保たれる。これまでの様に勝手気ままな態度であれば、王子であろうとも庇い立ては難しい。あれ自身の希望を聞いた上で、先を決める。キンダー侯爵、ロズウェル伯爵両家からの申し出で廃嫡を簡単に決断してくれるなと言われた。其方等には苦労を掛ける、だが両家の立場等を考えると頷くしかなかった事を許してほしい。」
「……父上……確か、キンダー侯爵及びロズウェル伯爵両家のご令嬢の婚約は……」
「エリーゼ嬢からの進言だった筈だが……」
「恐ろしいですね。」
「誠にな。会議はこれで終いとする。よいな。」
国王の言葉で一堂はこの部屋を後にした。
国王が歩く隣には王妃グレースがいた。
二人は前を向き、連れだって玉座へと進む。
粛々と。粛々と……
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