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家族会議
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王宮の一室、大きな円卓には王家の者が一名除いて全員がついていた。
国王陛下・王妃陛下・王太子・王太子妃・王太子第一側妃・王太子第二側妃・第二王子・第二王子正妃・第二王子第一側妃・第二王子第二側妃
の十名だ、無論空いている椅子は四つ第三王子とその正妃・第一側妃・第二側妃の分だ。彼等四名の内一名は不在、他一名は参加不可他二名は入宮していない為空席となっている。
最初に一名と言ったのは、まだ婚姻して間もない為だ。正妃・側妃は宣言した子供を産みきるまでは部屋から出られない為数には入れられてない。だが婚姻して王族となった以上、椅子は用意され設置される。
「今日も朝早くに王都を抜ける荷馬車が走ったそうだ。」
「今日もですか……」
「塩街道方面に行ったとの事だ。」
「大丈夫なのでしょうか?」
「数日前にシュバルツバルト侯と我が討伐隊が行った故に、何とかなるだろう。」
「まだ、多くの高位貴族の当主は王都に残っています。ただし、塩街道方面の貴族家ばかりです。もう一本の大街道方面は当主代行へと代わってます。」
「それは本当か?」
「はい、陛下。私が開催するお茶会の面々は半分近くはお若い方になりましたわ。」
「そうか……問題はあるか?」
「いえ。今回の騒動で塩街道方面の方々は静観なさる方ばかり。特にキンダー侯爵夫人には助けられてばかりですわ。ただ、ウナス伯爵家だけが当主代行に変わると手紙が届きました。これはウナス伯からの思いやりだと、私は思っています。」
「……そうか、久し振りに我が娘の顔が見れるか。」
「はい、私も心待ちにしております。」
「このまま、王都から民は減り続けていくのでしょうか?」
「いや、これで少しは王都から出る民は落ち着くだろう。」
「父上は本当にそう、お思いなのですか?」
「魔物除けを持っている者ならば、出るかも知れん。だが……そうではない者は簡単には出られん、ただの民草では相手は出来ぬ。だが、側妃入宮が済み塩街道方面の貴族家が王都を去るとなった時……その時だけは多くの民がついて行くかも知れん。」
「ジークフリートが!あいつがっ!」
「もはや言ってもどうにもならぬ。」
「父上、何故急に討伐隊が向かう地を変えさせたのですか?」
「ふむ……お前達には言って無かったな。あの直轄地は本当ならジークフリートに渡す筈だったのだ。エリーゼ嬢と婚姻していればな。」
国王陛下と王妃陛下以外の者は目を見開き、国王陛下を無言で見つめ言葉を待った。
その静寂の中、国王陛下と王妃陛下だけが静かに紅茶を優雅な仕草で飲む。
カップが置かれ、一堂を見回す国王陛下のお顔には苛立ちも悲しみも怒りも無かった。
国王陛下・王妃陛下・王太子・王太子妃・王太子第一側妃・王太子第二側妃・第二王子・第二王子正妃・第二王子第一側妃・第二王子第二側妃
の十名だ、無論空いている椅子は四つ第三王子とその正妃・第一側妃・第二側妃の分だ。彼等四名の内一名は不在、他一名は参加不可他二名は入宮していない為空席となっている。
最初に一名と言ったのは、まだ婚姻して間もない為だ。正妃・側妃は宣言した子供を産みきるまでは部屋から出られない為数には入れられてない。だが婚姻して王族となった以上、椅子は用意され設置される。
「今日も朝早くに王都を抜ける荷馬車が走ったそうだ。」
「今日もですか……」
「塩街道方面に行ったとの事だ。」
「大丈夫なのでしょうか?」
「数日前にシュバルツバルト侯と我が討伐隊が行った故に、何とかなるだろう。」
「まだ、多くの高位貴族の当主は王都に残っています。ただし、塩街道方面の貴族家ばかりです。もう一本の大街道方面は当主代行へと代わってます。」
「それは本当か?」
「はい、陛下。私が開催するお茶会の面々は半分近くはお若い方になりましたわ。」
「そうか……問題はあるか?」
「いえ。今回の騒動で塩街道方面の方々は静観なさる方ばかり。特にキンダー侯爵夫人には助けられてばかりですわ。ただ、ウナス伯爵家だけが当主代行に変わると手紙が届きました。これはウナス伯からの思いやりだと、私は思っています。」
「……そうか、久し振りに我が娘の顔が見れるか。」
「はい、私も心待ちにしております。」
「このまま、王都から民は減り続けていくのでしょうか?」
「いや、これで少しは王都から出る民は落ち着くだろう。」
「父上は本当にそう、お思いなのですか?」
「魔物除けを持っている者ならば、出るかも知れん。だが……そうではない者は簡単には出られん、ただの民草では相手は出来ぬ。だが、側妃入宮が済み塩街道方面の貴族家が王都を去るとなった時……その時だけは多くの民がついて行くかも知れん。」
「ジークフリートが!あいつがっ!」
「もはや言ってもどうにもならぬ。」
「父上、何故急に討伐隊が向かう地を変えさせたのですか?」
「ふむ……お前達には言って無かったな。あの直轄地は本当ならジークフリートに渡す筈だったのだ。エリーゼ嬢と婚姻していればな。」
国王陛下と王妃陛下以外の者は目を見開き、国王陛下を無言で見つめ言葉を待った。
その静寂の中、国王陛下と王妃陛下だけが静かに紅茶を優雅な仕草で飲む。
カップが置かれ、一堂を見回す国王陛下のお顔には苛立ちも悲しみも怒りも無かった。
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